「夫婦で歩くスイスアルプス」

モンテ・コミーノからコスタ村へ

2006年5月1日。雲がやや多いものの、まずまずのお天気。今日は、ロカルノの西に延びるチェントヴァッリの谷を訪ねることにします。先ずはロカルノ駅の地下ホームから電車に乗って出発です。2両編成のローカル電車に乗り込もうとすると、あれ、2両とも1等車。「2等切符しか持ってないんですけど…」と駅員に尋ねると、「あ、何処でも好きな席に座って」との返事。ちょっと得した気分でしたが、もし1等切符を買っていたら釈然としなかったかも…(笑)。

急行電車の停まらない小さな駅ヴェルダージオで下車。駅のホーム脇から谷の南斜面の村ラーザに向かう小さなロープウェイが出ていますが、我が家は駅の上を走る車道に出て少し西へ歩き、そこから谷の北斜面を上るロープウェイに乗り込みます。こちらも4人乗りのミニ・ゴンドラですが、我が家と一緒に9時半発の便に乗ったのは、山林整備ボランティアのワッペンを付けた小父さん1人だけでした。

ロープウェイを下りたところがモンテ・コミーノ(海抜1,138m)で、すぐ脇にグロット(レストラン)がありますが、少し先へ歩くと見晴らしの良い場所に立派な山小屋が建っています。谷の南側の山々が美しく、テラスで食事したら気持ち良さそうです。

そのまま平坦な道を北へ進むと、間もなくマドンナ・デッラ・セーニャ礼拝堂が現れます。森の中に佇む、雰囲気の良い教会です。

セーニャの教会前から東への道を辿ると、広々としたアルプに出て、点在する農家の間を緩やかに登っていきます。上の写真は、歩いてきた道を振り返って写したもの。背後の山は右がピアナッシオ(1,643m)、中央がピッツォ・ルスカーダ(2,004m)で、やや健脚向きですが人気のある登山コースになっているようです。

足許にはエンツィアン(ゲンティアナ・コキアナ)がたくさん咲いていて、目を楽しませてくれます。

右手には、谷の反対側にグリドーネ(2,188m)等の山々が残雪を纏って美しく並びます(山の向こう側はイタリア領です)。写真下方の村が、ヴェルダージオ駅からロープウェイの通じているラーザです。

道は断崖の迫るアウラ山の南斜面を回り込み、やがて静かなドローイの集落に出ます。こんな不便な山上の集落でも村人が農作業に勤しんでいるのには驚かされます。遥か後方にマッジョーレ湖が霞んで見えています。

ドローイから森の中を北へ登ると、道はアウラ山を一周するように西へ向かいますが(直進するとモンテ・コミーノに戻ります)、我が家は間もなく現れる分岐点を東へ折り返すように歩きます。やがて北側の視界が開け、オンセルノーネ谷が一望できます。

森を抜けて再びアルプが広がると、カラッシオの集落に入っていきます。写真左は村の教会。かなり大きな集落で、夏には簡単なレストランもオープンするようです(小父さんが開店準備の作業中でした)。

カラッシオから先は、シーニョの集落を経由する西寄りのコースと、クレマーゾの集落を経由する東寄りの道に分かれます。どちらを通っても構いませんが、我が家は後者を歩きました。クレマーゾは電気も通じている立派な集落で、村人専用?のゴンドラまでありました。

クレマーゾの下手で再び道が分かれ、左へ進むとピーラの集落を経て直接イントラーニャ村へ下りますが、我が家は右手へ進んでコスタの集落に出ました。ここには立派な教会の隣にレストラン(グロッティーノ)があり、「ポレンタと子牛肉シチュー・サラダ添え」の定食に白ワインを頼んで遅めの昼食にしました。この店の主人は大変陽気な親爺で、客の一人がアコーディオン奏者だったこともあり、客を巻き込んでのミニ・歌謡コンサートに大発展。真昼間なのに、如何にもグロットらしい雰囲気を味わえました。

コスタの集落からはイントラーニャ村へ下るロープウェイが出ています(このゴンドラも4人乗りのミニ・サイズ)。先ほどアコーディオンを弾いていた客は、何とロープウェイの管理人でした。背の高い鐘楼がトレードマークのイントラーニャ村を見下ろしながら、ゴンドラで下ります。イントラーニャでは内壁画の美しい教会を訪ねてから、電車に乗ってロカルノへ戻りました。


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