「夫婦で歩くスイスアルプス」

プチ・ムンテ小屋 ハイキング

2007年9月19日。完全に青空が戻ってきましたが、前日の雨天のハイキングで疲れが溜まった感もあり、アパートで朝をゆっくり過ごしてから出掛けることにします。午前11時近くになってアニヴィエ谷最奥の村ジナールにやって来ました。短時間で歩ける目的地として谷奥のプチ・ムンテ小屋を選び、村を南へ抜けて歩き始めます。既に谷の奥にはポワント・ド・ジナールとグラン・コルニエが覗いています。

ラ・ナヴィザンス川の左岸に広がる草原の中の道を、ベッソ(3,668m)を正面に仰ぎつつ谷の奥へ歩いていきます。昨日の雨が高地では雪になったようで、ベッソもうっすら雪化粧しています。この辺りまでは散策する観光客も多いです。

次第に上り坂となり、グラン・ムンテ小屋へ向かう道から右手に分かれて谷の西斜面を進みます。

徐々に左手の視界が開け、ベッソの左にシャーリホルン(写真右、3,975m)とヴァイスホルン(写真中央、4,506m)の姿を眺められるようになります。

正面の小山の上に目指すプチ・ムンテ小屋が見えてきました。その背後の白い山がグラン・コルニエ(3,962m)、谷の奥に尖っているのがポワント・ド・ジナール(3,789m)です。

プチ・ムンテ小屋(海抜2,142m)は新しくて、泊まるのも心地良さそうなところでした。テラス席に座ってファンダン(白ワイン)を飲みつつ休憩です。写真左の谷は土砂で黒く見えていますが、ジナール氷河の末端です。

アルコールが入って気を大きくしたカミさんが地図を眺めつつ「ソルボワのロープウェイ駅まで歩こうか」と言い出しました。確かにこのまま来た道を戻るのは勿体無いような好天です。腕時計を見ると何とか最終のロープウェイには間に合いそうなので、小屋の北側から左手の道に入ります。振り返ると、ポワント・ド・ジナールの左にモン・デュラン(独名アルベンホルン、3,713m)が見えてきていました。

右手にはヴァイスホルンとシャーリホルン、更にその右にモマン北峰(3,863m)とモマン南峰(3,963m)が見えてきました。往路より標高の高い場所を歩いているので、よりスッキリした姿で眺められます。

羊の群れがのんびり草を食むラ・レのアルプを斜めに登っていきます。

カミさんは思っていたより登り道がキツかったようで、ちょっとヘタり気味。でも、山々のパノラマはどんどん広がってきます。ベッソの左にツィナールロートホルン(4,221m)、右にオーバー・ガーベルホルン(4,063m)が全容を現してきました。モン・デュランとポワント・ド・ジナールの間にはマッターホルン(4,478m)の頭も見えてきています。

オーバー・ガーベルホルン、モン・デュラン、マッターホルンのアップ。谷の奥に白く見える氷河は、ジナール氷河の上流にあたるグラン・コルニエ氷河です。

ツィナールロートホルン(左)とベッソ(右)。

ツィナールロートホルンとその左にモマン南峰・北峰、流れ下るモマン氷河。

ラ・レのアルプを北へ抜けると、ガレた斜面を渡って進みます。昨日の雨が氷柱になって未だ幾つも残っていました。

谷底にジナールの家並みが見えてきました。写真右上の山はレ・ディアブロン(3,609m)。

ソルボワのロープウェイ駅が見えてきた頃、カミさんが携帯電話を眺めつつ「ひょっとしてもう17時過ぎてない?」と一言。腕時計を見ると未だ16時半前で、「大丈夫だよ」と一蹴したものの、そう言えば周囲にハイカーの姿が全くありません。念のためにデジカメで時刻を確認して唖然としました。私の腕時計は1時間近くも遅れていたのです。以前から時々調子が悪かったのですが、よりによってこんなところで狂うとは…。
ロープウェイ駅に宿泊施設があればなぁ〜と祈りつつ到着しましたが、やはりもう誰もおらず、建物は固く扉を閉ざしていました。足も疲れていましたが、こうなればジナールまで歩いて下山するしかありません。ロープウェイのケーブルに沿った山道を下りましたが、次第に薄暗くなってくる樹林帯の急坂は精神的にも辛かったです。1時間余りで無事下山できましたが、ジナール発の最終バスには間に合わず、着の身着のまま急遽ジナール村のホテルに泊まる羽目になりました。やれやれ…。


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