「夫婦で歩くスイスアルプス」

トラン峠越えハイキング

2007年9月22日。1週間お世話になったモンタナのアパートを戸締りし、鍵を不動産屋の事務所に返却してからバスでシエールに下ります(滞在中は所要時間の短いケーブルカーを利用してきましたが、大きな荷物があるときは停留所が近いバスの方が便利です)。シエール駅でスーツケースをジュネーヴ空港駅へ託送(駅員に「規定では2日間掛かるので明日中に着かないかも知れませんよ」と念を押されましたが…)。身軽になってポストバスに乗り込み、一昨日に歩いたモワリー・ダムに再びやって来ました。今日はここから西側の峠を越え、今夜宿泊予定のエラン谷へ下ろうという計画です。

バス停とレストランのあるダムの東縁からアーチ状のダムの上を西へ渡ってきました。振り返って撮った写真の左上端が一昨日に越えてきたソルボワ峠です。

モワリー湖畔を奥へ向かう道と分かれ、草原の斜面を緩やかに登っていきます。湖の奥にはモワリー氷河。モワリー・ダムからは前山に遮られて氷河の上部しか見えませんが、湖の東側からは全容を眺めることができます。

モワリー氷河のアップ。写真左上端の山がピーニュ・ド・ラ・レ(3,396m)、氷河の上に覗く山は写真中央がグラン・コルニエ(3,962m)で、そこから右へ順にダン・ブランシュ(4,357m)、ダン・デ・ロス(3,613m)、ポワント・ド・ムルティ(3,564m)と並び、右端がポワント・ド・モワリー(3,303m)。

やがて広大なトラン・アルプの真ん中に建つ農家小屋の脇を通過。背後の山は左がポワント・デュ・プレレ(3,000m)、右がサスネール(3,254m)で、その間の鞍部が目指すトラン峠です。この辺りでモワリー湖を見下ろしながら休憩しているハイカーが多く、我が家も昼食休憩にしました。

トラン・アルプからもう一段登ると、オタンヌ湖が現れます。あいにく空に薄雲が広がってきてしまいましたが、ダン・ブランシュ山群とモワリー氷河を背景にしてなかなか美しい眺めです。写真左上にはツィナールロートホルン(4,221m)も姿を見せてきています。

トラン峠に向けて最後の登りにかかります。オタンヌ湖(写真左手前)の向こうに再びモワリー湖が見え出しました。遠景の山は写真右上のツィナールロートホルンから左へ順に、モマン南峰(3,963m)、モマン北峰(3,863m)、シャーリホルン(3,975m)、ヴァイスホルン(4,506m)、ビスホルン(4,153m)。

ツィナールロートホルンの手前にベッソ(3,668m)の頭。写真中央がトリフトホルン(3,728m)、その右はヴェレンクッペ(3,903m)を経てオーバー・ガーベルホルン(4,063m)。

トラン峠(海抜2,916m)に到着。モワリー湖畔からの標高差は約660mです。大きな十字架が建っていて、これは遠くからでもよく見えます。

トラン峠から東に広がるエラン谷の眺望。写真中央奥へ延びているのがアローラ谷です。

アローラ谷方面のアップ。谷の奥にアローラ村が見えています。背後の山は左がピーニュ・ダローラ(3,790m)、中央がラ・セルパンチーヌ(3,789m)、右がモン・ブラン・ド・シェロン(3,870m)とその右奥にラ・リュイネット(3,875m)で、写真右端がラ・カッソルト(3,301m)。ピーニュ・ダローラの右を流れ下るのがツィジオール・ヌーヴ氷河で、左側を下るのはピエース氷河です。

トラン峠からエラン谷に向かって東斜面を下り始めたところです。

南側の谷奥に高峰と氷河を眺めつつ下ります。写真左上がダン・ブランシュ、その右はダン・デラン(4,171m)。写真中央を流れ下るフェルペークル氷河の右上のピークがテット・ブランシュ(3,707m)で、その背後にテット・ド・ヴァルペリーヌ(3,799m)。その右はモン・ミネ氷河の奥にブクタン(3,838m)とその右手前にダン・ド・ベルトール(3,547m)。その右に大きく見えているのはポワント・デ・ジュヌヴォワ(3,674m)とダン・ド・ペロック(3,676m)の連山です。

ダン・ブランシュ、ダン・デランとフェルペークル氷河のアップ。

写真の小さな池の畔を過ぎると広々とした草原の中の道になり、快適にずんずん下っていきます。写真左上のギザギザの山はエギュイーユ・ルージュ・ダローラ(3,644m)で、その右はポワント・ド・ヴワソン(3,490m)。ラ・メーナ峠の鞍部を経て写真右上の山がピック・ダルツィノール(2,998m)です。

谷底が近づくにつれ、それまでポワント・デ・ジュヌヴォワの手前に重なっていたグランド・ダン・ド・ヴェージヴィ(3,418m、写真中央の山塊の左のピーク)がひときわ高く目立って見えてきました。その右手前のピークはプチット・ダン・ド・ヴェージヴィ(3,184m)。谷底の奥に見える家並みはレ・ゾデールの村。我が家のゴールは手前の斜面に見えているヴィラの村です。

再び青空が戻ってきました。黒牛の群れるアルプを下り続けますが、トラン峠からヴィラ村までは1,100m余りの標高差があり、近くに見えてもなかなか着きません。

ようやくヴィラ村に到着。バス停前の大きなシャレーにその名も「トラン峠」というレストランがあり、写真左奥のテラス席でバス待ちの間ビールを楽しみました。ポストバスをレ・ゾデール村で乗り換え、今夜の宿があるエヴォレーヌ村に向かいました。


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