「夫婦で歩くスイスアルプス」

テット・ド・ラン〜モン・ラシーヌ縦走ハイキング

2015年5月7日。今回のヌシャテル滞在で一番の好天になりそうなので、アルプスの峰々を遠望できそうなハイキングコースに出掛けます。国鉄電車でラ・ショー・ド・フォン駅へ行き、写真のレ・ポン・ド・マルテル行きローカル電車に乗り換えます。ここも1両編成です。

2駅目のル・レモンで下車します。車内で請求ボタンを押さないと停車しない無人駅で駅舎も無く、周囲には牧草地が広がっているだけです。分かりづらいですが写真中央付近を横に線路が走っていて、写真左端がル・レモン駅です。中央奥にラ・ショー・ド・フォン市街が見えています。

ル・レモン駅から南東方向の丘に向かって緩やかに登り、「モン・サーニュ農園」という農家(写真左)の前を通過。奥に見えるラ・ショー・ド・フォン市街の背後の山(写真中央)はル・グロ・クレ(1,276m)です。

モン・サーニュの丘の頂に建つ農家付近から、南西方向にラ・サーニュ谷(別名ポン谷)を眺めます。先程乗ってきた電車はこの谷を走って行きます。写真右奥の方向が下流ですが、そこから流れ出る川は無く、「ボワ・デ・ラット」という湿地帯の中にル・ビエ川が伏流して消えるという興味深い地形になっています。これから我が家が歩こうとしているのは、このラ・サーニュ谷の左側の山脈です。山脈の最奥でル・ソリア山(1,464m)がクルー・デュ・ヴァンに落ち込む垂直の岩壁を見せています。

ラ・サーニュ谷の最奥部を横断しているところ。写真後方が越えてきたモン・サーニュの丘です。ここから森に入って階段で急坂を登ります。

階段を登り切って尾根の東側に出ると、平坦な道になります。左に見えている車道は、先程ラ・サーニュ谷の底で横断した道が再び寄り添って来ているもの。この先、前方に見える丘の手前を左手(東方向)へトラバースしつつ進みます。

ラ・ヴュー・デ・ザルプ峠(海抜1,283m)に到着。週末と祝日にはラ・ショー・ド・フォン駅前からここまでバスの便がありますが、今日は平日なのでル・レモン駅から歩いてきたという訳です。大きな駐車場と立派なホテル・レストランがあります(写真左、その左奥は観光案内所)。右手前はここから見えるアルプスの峰々の解説板(何故か屋根付き)で、峠の名のとおり中央スイス方面からベルナー・アルプスやヴァリス・アルプスを経てモン・ブラン方面まで一望できるようですが、午前中は光線の方向も良くなくて余りハッキリしませんでした。

ラ・ヴュー・デ・ザルプ峠からトボガン(台車に乗って下る滑り台)のコースの脇を登り、尾根上の道を南へ進みます。この付近の草原にはラッパ水仙が一面に咲いていて見事でした。奥に見えているのはヌシャテル湖です。

行く手にテット・ド・ランの頂(1,422m)が近づいてきました。手前の建物はホテル・レストラン「ラ・クレ・デ・シャン」です。

ホテルの裏手からテット・ド・ランの山頂を目指して斜面を登ります。写真は山腹から見下ろすホテル「ラ・クレ・デ・シャン」。ラ・ヴュー・デ・ザルプ峠からここまで車道が通じているので、大型観光バスもやって来ています。我が家は写真左上の方向から尾根上の遊歩道を歩いてきました。

テット・ド・ラン山頂。電波塔の他には何もありませんが、眺望の良い草原の頂です。写真は北東側の眺めで、中央がラ・ヴュー・デ・ザルプ峠の東側に位置するモン・ダマン(1,417m)、その右奥がシャスラル山(1,606m)です。

南東側にはヴァル・ド・リュ盆地が一望です。菜の花畑の黄色がパッチワークのようで綺麗でした。盆地の中央がフォンテーヌ村で、手前がレ・ゾー・ジュヌヴェ村、左端がシェザール・サン・マルタン村とその奥にドンブレソン村。盆地を挟んだ向こう正面に連なっている山脈が3日前に行ったショーモン(1,171m)で、その向こう側にヌシャテル市街があります。

テット・ド・ラン山頂から南側に眺めるヌシャテル湖。左奥にムルテン湖も見えています。

テット・ド・ラン山頂から北側に望むラ・ショー・ド・フォン市街。写真右端で岩壁を見せている山はロシュ・オ・クロ(1,329m)です。

テット・ド・ラン山頂から尾根伝いに更に南下します。写真はラ・サーニュ谷へ下る道を右に分けるプエ・カールの分岐(海抜1,405m)。エンツィアン等の草花が咲く草原の尾根が続きます。

やや下り道となり、農家小屋のあるレ・グランド・プラディエール・ドシュー(海抜1,365m)へ。ラ・サーニュ谷(右手)とヌシャテル方面(左手)へ下る道が交差する峠のような場所です。農家脇の石垣に腰掛け、持参したおにぎりを食べました。写真正面の山がこれから目指すモン・ラシーヌ(1,439m)で、左の丘はクレ・ド・クルティ(1,401m)です。

モン・ラシーヌ山頂へ向かう道から左手(南側)に望むヌシャテル湖。写真中央手前はアルーズ川の河口で、左下端がコロンビエ村付近、湖の対岸はヨットハーバーがあるシェヴルー村です。後方にはアルプスの峰々が次第にハッキリ確認できるようになってきました。左に白く見えている高峰がヴィルトホルン(3,248m)、右で雲の上に頂を見せているのがレ・ディアブルレ連峰(3,210m)です。

モン・ラシーヌ山頂に到着。写真中央に見える建物の向こうがレ・グランド・プラディエール・ドシュー、その後方の翳っている尾根が歩いてきたルートです。右のクレ・ド・クルティの丘の背後にシャスラル山が見えています。

モン・ラシーヌ山頂から、ヌシャテル湖とその奥のムルテン湖越しに遠望するベルナー・アルプス。写真左端から順にヴェッターホルン(3,692m)、ベルグリシュトック(3,656m)、シュレックホルン(4,078m)、アイガー(3,970m)、メンヒ(4,107m)、ユングフラウ(4,158m)、グレッチャーホルン(3,983m)、エブネフルー(3,962m)、アレッチホルン(4,193m)、グロースホルン(3,754m)、ラウターブルンナー・ブライトホルン(3,780m)、ブリュムリスアルプ連峰(3,661m)、ドルデンホルン(3,643m)の峰々です。

アイガー・メンヒ・ユングフラウ三山方面のズームアップ(ノイズが目立つ汚い写真ですみません…)。空中に蜃気楼のように浮かんでいて幻想的でした。アイガーの左奥に覗いているのがフィンスターアールホルン(4,274m)です。

モン・ラシーヌ山頂から北西側の眺望。右手前はラ・サーニュ谷のル・クレ村で、山脈の向こうにル・ロックルの町が見えています。

モン・ラシーヌ山頂から西にはラ・サーニュ谷の下流方面が一望できました。奥に見える家並みがレ・ポン・ド・マルテル村で、その左がボワ・デ・ラット湿原。谷の向こう側の山(写真中央付近)はグラン・ソンマルテル(1,337m)です。

モン・ラシーヌ山頂から更に尾根伝いに暫く南下した後、西側へ斜面を下ると、ラ・グランド・サニュールの農家レストランがあります。立ち寄りませんでしたが、なかなか良い雰囲気でした。

ラ・グランド・サニュールから谷間の道を南へ下ると、リュウキンカ(カルタ・パルストリス)の花で黄色く染まった湿原に出ます。湿原の下手の分岐で右折し、樹林帯の斜面を西へ登ります。写真は樹林帯に入る手前で湿原を振り返って撮ったもの。右へ下っているのが歩いてきた道で、これを遡った奥の丘の上がラ・グランド・サニュールの農家レストランです。

樹林帯を抜けるとグラン・クーリーの広大な草原が広がり、その中を直進します。途中の分岐で右折すれば、ここにも農家レストランがあるようでした。

再び樹林帯に入って南へ下り、本日のゴール地点、ラ・トゥールヌ峠(海抜1,129m)に到着。ここにもレストランがありますが、テラス席からの眺めが余り良くなさそうだったので立ち寄らず(車道を挟んだ向かいの駐車場からはヌシャテル湖が見えたんですが…)、レストラン前の停留所からポストバスに乗り込んでヌシャテルの街へ戻りました。

ヌシャテル市内の滞在アパートから眺める夕暮れのヌシャテル湖。この日は初めて湖の向こうに並ぶアルプスの山々を美しく鑑賞することができました。写真中央がヴィルトホルンやレ・ディアブルレ連峰方面、右がモン・ブラン山群です。

モン・ブラン(写真右、4,810m)のズームアップ。左はダン・デュ・ミディ連峰(3,257m)で、更にその左隣にヴェルト針峰(4,122m)、写真左端がグランド・ジョラス(4,208m)です。

レ・ディアブルレ連峰(写真中央)方面のズームアップ。本峰の右はテット・ロンド(3,037m)とキュラン(2,789m)を挟んで写真右端がポワント・ド・シャティヨン連峰(2,438m)です。レ・ディアブルレ本峰の手前にプラ・ド・クレー(右、2,198m)とヴァニル・カレ(左、2,195m)、そこから左へグロ・ペール(2,208m)、ポワント・ド・パレ(2,375m)、ヴァニル・ド・レクリ(2,376m)と続き、写真左端がヴァニル・ノワール(2,389m)。いずれもラ・グリュイエール谷の東側に並ぶ、フリブール州とヴォー州の境界を成す山々です。

ヴィルトホルン(左奥の白峰)方面のズームアップ。写真中央奥はゲルテホーレ(3,065m)。ヴィルトホルンを隠している手前の峰がダン・デュ・サヴィニー(2,252m)で、その左はホッホマット(2,152m)を経て写真左端がシュヴァル・ブラン(2,147m)。ゲルテホーレの左下はコルヌ・オベール(2,038m)で、写真右はダン・ド・ブランレール(左、2,353m)とダン・ド・フォリエラン(右、2,340m)の尖峰。いずれもフリブール州南部の山々です。

ベルナー・アルプスのズームアップ。左からアイガー、メンヒ、ユングフラウ、グレッチャーホルン、エブネフルーと続き、写真右端がミッタークホルン(3,829m)です。


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