「夫婦で歩くスイスアルプス」

オーベレ・ドナウ渓谷ハイキング

2018年5月2日。ラドルフツェル旧市街のアパートを出ると、大聖堂脇のマルクト広場でその名どおりの青空市が開かれていました。新鮮そうな食材が並んでいて惹き付けられますが、今日は遠出する計画なので駅へ急がなければなりません。うーん、残念…。

電車に乗ってインメンディンゲン駅でウルム行きの気動車に乗り換え、フリーディンゲン駅に到着しました。ラドルフツェルから約1時間の旅でした。


駅前からドナウ河畔の車道を南へ歩き、フリーディンゲン村の中心部へ。「シャルフ・エック」という名の古い建物がありました。1階はレストランですが、内部はかつてここに住んでいたハンス・ブッヒャーという画家の博物館になっているようです。この反対側の外壁には、19世紀にボタン職人が森の妖精に導かれてクノップフマッハーフェルスの断崖から転落したという伝説の絵も描かれていました。

「シャルフ・エック」の少し南に建つ聖マルティヌス教区教会(写真右端)。その左が村役場です。

教区教会の裏手から「ブルクシュタイク」という小道に入り、東へ緩やかに登って行きます。

そのまま直進してスキーゲレンデの斜面を登りましたが、本当はその下手から右手の小道に入るべきでした。奥に見えている家並みがフリーディンゲン村です。

スキーゲレンデを登り切ると、草地の平原が広がってました。写真右奥に見える建物がマティアス礼拝堂で、ライプフェルゼン展望台をパスしてショートカットしてしまったことに気付きました。

断崖沿いの遊歩道を戻ってライプフェルゼン展望台(海抜720m)へ。せっかく登った分の大半を下る羽目になりましたが…。真下を流れるドナウ川の対岸に見える農家はツィーゲルヒュッテです。

上の写真の右側。ドナウ川が直角に曲がっています。写真右奥がフリーディンゲン村です。

同じ道を登り返してマティアス礼拝堂にやってきました。窓にはステンドグラスが嵌められていて、内部は質素ながら良い雰囲気でした。

平原の脇を東へ進むと、ベンチが置かれたシュティーゲレスフェルス展望台(海抜778m)に着きました。かつてここには12世紀に建造された城郭が建っていたそうです。眼下のドナウ川がS字状に蛇行していて、良い眺めです。写真左の山の上にカレンベルク城址が見えています。写真右奥の建物はツィーゲルヒュッテです。

ドナウ川を見下ろしながら尾根上を進みます。河原がタンポポの花で黄色く染まって綺麗です。写真奥に見える堰の後方の山上にロッケンブッシュ城址があるようです(ここから遺構は見えませんが…)。

眼下にレストラン「イェーガーハウス」が見えてきました(写真左)。写真中央の岩山の上に建っているのはブロンネン城です。

ブロンネン城のズームアップ。凄いところに建ってますね。

ドナウ河畔へ下る道の途中に「シュペルバースロッホ」という洞窟がありました。

「シュペルバースロッホ」の入口近くに咲いていたコミヤマカタバミ(オクサリス・アケトセッラ)。

飛び石を伝ってドナウ川を渡ります。橋桁が後方に見えますので、かつては橋が架かっていたようですが…。欧州を代表する大河ドナウを橋を使わずに歩いて渡れたと思うと、ちょっと感慨がありました(笑)。

レストラン「イェーガーハウス」で昼食をいただきました。「猟師の家」という名のとおり、壁に鹿やアルプス山羊の頭骨が所狭しと飾ってあり、意外に広くてしっかりしたレストランでした。ベアラウフ(熊葱)料理があったので頼んでみたら、オムレツのようなものが出てきました。

レストラン「イェーガーハウス」の裏手を登ります。写真右端がブロンネン城の建つ岩山で、その左側(写真中央)の鞍部を越えて行きます。

鞍部の峠には奇岩の下に「イェーガーハウスヘーレ」という洞窟がありました。石器時代の狩猟用の道具が沢山発見された場所だそうです。

狭い鞍部を北へ抜けると、タンポポが一面に咲いた放牧場「ブロンナー・ヴィーゼ」が広がっていて、馬が飼われてました。後方に見えている建物がブロンネン城です。

道なりに「リープフラウエンタール(聖母の谷)」に入って北へ下って行くと、岩壁にルルド洞窟の聖母が祀られていました。手前に屋根付きの礼拝所があり、そこに座って拝めるようになっていました。

ヴィア・ドロローサの各場面を描いた祠が点在する谷底の道を進みます。途中で修道女の方と出会いました。

再びドナウ河畔に出てきました。写真右端に見えてきたのがボイロン村の修道院です。

ボイロン修道院。ボイロン村そのものが修道院という感じの荘厳さです。

ボイロン修道院の聖堂。正面の壁に自身のマントを切り裂いて貧者に与える聖マルティヌスが描かれています。

ボイロン修道院聖堂の内部。

ボイロン駅。駅舎の中は「ハウス・デア・ナトゥール(自然の家)」というビジターセンターのような施設になっていました。ここから再度ウルム行きの列車に乗り込み、ジクマリンゲンの町へ向かいました。

ジクマリンゲンと言えばホーエンツォレルン家のお城です。1時間のガイドツアーに参加して内部をじっくり見学しました(撮影禁止のため写真はありません)。ガイドの説明はドイツ語のみでしたが、英文の説明書を読みながら廻れました。

ドナウ河畔から眺めるジクマリンゲン城。

実はジクマリンゲンにやってきたのはお城の見学が主目的ではなく、我が家が好きなビール「ツォラー・ホーフ」(日本では「ゾラホフ」の名で売られています)の醸造元があるからでした。中心街から少し離れた本社工場まで歩いて行きました。併設されたビヤレストラン(写真左)でビールを味わうつもりでしたが、入ってみると予想に反して場末の居酒屋的な雰囲気だったのでガッカリ。料理の質も期待できなさそうに思えて、出てしまいました。

ジクマリンゲンの中心街へ戻り、歴史のありそうなホテル「トラウベ」(写真右の木組みの壁の建物)のレストランに入りました。

白アスパラガス料理(カミさんはスモークサーモン添え、私は魚のフリッター添え)を頼み、お目当ての「ツォラー・ホーフ」ビールを楽しみました。無濾過ラガー「ツヴィッケル」も飲めましたが、本社工場への往復で気分が萎えてしまったからなのか、味には余り感激しませんでした…。

ジクマリンゲン駅前からシュトックアッハ行きのバスに乗りました。バスに乗り込む際、運転手から「写真を撮っていただろう。バスの運転手を撮るのは禁止なんだ。カメラを見せろ」と注意されましたが、実際に撮った写真(↑)を見せたら余り写っていないということで放免に。そればかりか、何故か「半額にしてやる」と言われ、約1人分の運賃しか取られませんでした。一体どういうことなのか、私にはチンプンカンプンでしたけど…。シュトックアッハでローカル列車に乗り換えてラドルフツェルに戻りました。


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