「夫婦で歩くスイスアルプス」

ホルラッハ谷ハイキング

2014年9月21日。いよいよゼルデン滞在も最終日です。ゼルデン村から北行きの路線バスに乗り、ウムハウゼン村の消防署前で下車。ここでニーダータイ村行きの「ハイカー用バス」を待ちます。定刻よりかなり遅れてやってきたのは写真のワゴン車でした。運転手のお爺さんが「このバス、明日からは無いからね〜」と念押しします。エッツ谷では今日が今年の夏山シーズンの最終日で、大半のロープウェイ類も今日で運行を終了します。

「ハイカー用バス」は10分余りでニーダータイ村の観光案内所前に到着しました。写真は観光案内所の隣に建つ教会。背後はガイゲンカム連峰で、右端の山腹氷河を纏った山がブロックコーゲル(3,098m)、その左手前がホーエ・ザイテ(2,857m)です。村の駐車場に民族衣装で正装した家族を見掛けたので「一緒に写真を撮らせてもらえませんか?」とお願いしたら、快く応じてもらえました。どうやら今日はニーダータイ村でお祭りがあるようです。

お祭りが始まる前に軽いハイキングに出掛けます。ニーダータイ村から東へ延びるホルラッハ谷を、ホルラッハバッハ川に沿って遡って行きます。正面の山はラルスティックグラート連峰で、左の峰がゼーメンシュピッツェ(2,682m)です。

歩き始めて40分余りでホルラッハ谷の中央に位置するラルスティックアルム(海抜1,777m)に到着。牧畜小屋や白い礼拝堂が建っています。

礼拝堂の上手にレストラン「ラルスティックホーフ」が建っています。誰も客がいなさそうで営業していないのかな、と諦めかけたら、中からご主人が「どうぞ!」と声を掛けてくださいました。

カミさんは林檎ジュース、私はコーヒーをいただきました。ここの歴史は1899年にまで遡るそうで、テーブルに開墾100周年の際に作られた古いアルバムが置いてあり、興味深く拝見しました。

帰りは少し戻った場所で川を渡り、谷の北側斜面に付けられた道「ベルクマーデヴェーク」を歩いてみました。写真は谷奥方向を振り返って撮っています。右下の谷底が往路で歩いた道です。

行く手の正面にガイゲンカム連峰が並んで見えます。左端から右へ順にフェルダーコーゲル(3,071m)、ライザーコーゲル(3,082m)、ルイビスコーゲル(3,112m)、フォイヤーコーゲル(2,954m)、ドリステンコーゲル(2,996m)、ラングカールレスシュナイト(3,044m)、ホーエ・ザイテの奥にプラッティッヒコーゲル(3,089m)、ブロックコーゲルと続き、右端がハイルラッハー・ゼーコップフ(3,040m)です。

左手にはホルラッハ谷を挟んでネーダーコーゲル(2,755m)が間近に聳えています。その右のグラース谷の奥に見える峰はグラースターラー・グリースコーゲル(3,168m)と、その左奥にシュトラールコーゲル(3,288m)。

ニーダータイ村を一望できる場所まで戻ってきました。村は幾つかの集落に分かれています。教会の前に村人が集まっているのが見えたので、急いで村へ下ります。

正装した村人達が教会に勢揃い。教会の中で祈祷が行われている感じでした。

やがて音楽とともにパレードが始まりました。大人達は地区毎に、子供達は学年順に男女が手を繋いで仲良く歩いていました。

パレードは村の公民館前の広場に集結。村役員?の挨拶の後、音楽演奏や民族舞踊が次々に行われて楽しめました。子供達も学年毎にフォークダンスを披露。小学生の男の子も見事にシュープラットラーを踊りました。こうしてしっかり伝統が受け継がれていくんですね。

出し物が一段落したところでニーダータイ村を離れ、川沿いに下ってガストホーフ「シュトゥイベンファル」へ。幸いにお天気も良くなってきたので、テラス席で昼食をいただくことにします。

生簀に鱒が沢山泳いでいて惹かれましたが、鱒はアパートの夕食でも既に食べていたので、今回の旅で未だ食していないヴィーナー・シュニッツェルにしました。カミさんは相変わらずのアプフェルシュトルーデル(アップルパイ)。付け合わせのポテトフライも旨くて、白ビールが進む進む…。

満腹になったところで、シュトゥイベン滝の見物に出掛けます。ガストホーフ「シュトゥイベンファル」から川沿いの遊歩道を歩いて行くと、ホルラッハバッハ川が次第に急流になっていきます。

滝の上部に突き出た展望所がありました。

展望所から見下ろすシュトゥイベン滝。下方にも幾つか展望所が見えますが、人影がありません。おかしいなと思ったら、滝の脇を下る遊歩道は通行止めになっていました。土砂崩れでもあったんでしょうか。う〜ん、残念。

仕方がないので、滝の上手から林道を辿ってウムハウゼン村の方向へ下りました。林道のところどころにマリア像の祠が建っていて、車道が開通するまではこの道がニーダータイ村への街道だったようです。山裾近くまで下った先の分岐で南へ折り返すと、ウムハウゼン村を一望できる場所がありました。背後の山は左がヴェンダーコーゲル(2,200m)、右がクロイツヨッホシュピッツェ(2,675m)で、その間のライアース谷の奥に見えているのは右からオイセラー・ホーアー・コーゲル(2,728m)、インネラー・ホーアー・コーゲル(2,820m)、ドライリンネンコーゲル(2,679m)です。

再びホルラッハバッハ川の谷の入口まで戻ってきました。「シュトゥーベーベレ」という良さそうな「森のカフェ」がありましたが、残念ながらここからでは滝は未だ見えません。写真左後方の山腹に見えているのはファルストのアルムです。

川沿いの急な遊歩道を登り、ようやくシュトゥイベン滝の直下に到達しました。落差159mで、チロル地方最大の滝だそうです。先ほど滝を見下ろした展望所は最上部の左側です。美しい滝で、急坂を登ってきた甲斐がありました。

「森のカフェ『シュトゥーベーベレ』」の近くまで戻り、分岐を左折して山沿いに進むと、石器時代の生活を再現した野外博物館「エッツィ村」があります。当初はここも見物するつもりでしたが、想定外の迂回ルートを歩いたため疲れてしまい、入場せずに通過しました。ウムハウゼン村から路線バスに乗ってゼルデン村へ戻りました。

翌9月22日。小雨の降る肌寒い朝でしたが、お世話になったゼルデン村のアパートを片付けていると、外に綺麗な虹が出ました。

バスと電車を乗り継いでインスブルック駅へ。市内観光するほどの時間も無いので早めにインスブルック空港へ行き、ターミナル2階にあるレストランのテラス席でビールを飲みながら搭乗時刻を待ちました。小さな空港のため屋外でも騒音が少なく、小型機の離発着を眺めつつWi-Fiが使えて快適でした。トランジットしたフランクフルト空港ではレストランがオクトーバーフェストをやっていて、ビール1杯(500ml)を無料で飲めました。最後までほろ酔い気分で帰国の途につきました。


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