「夫婦で歩くスイスアルプス」

ティーフェンバッハ氷河末端からフェント村へ展望ハイキング

2014年9月15日。晴天の朝です。ゼルデン村から「氷河行き」のバスに乗り、レッテンバッハ氷河停留所(海抜2,670m)で下車しました。バスの乗客は大半が終点のティーフェンバッハ氷河まで行くハイカー達で、ここで降りたのは我が家だけでしたが、氷河の末端がすぐ目の前です。写真右の建物は今は運行されていないチェアリフト乗場で、その奥に運行中のゴンドラリフト乗場があります。

ゴンドラリフトはレッテンバッハ氷河の西縁に沿って上っていきます。写真左端がバスを降りた駐車場で、その右の氷河末端には池が点在しています。氷河の向こう側の峰はオイセレ・シュヴァルツェ・シュナイト(3,255m)です。

ゴンドラリフトは中間駅のレッテンバッハヨッホで少し方向を変え、更に上っていきます。写真はゴンドラから西側の眺望で、眼下を流れ下っているのはカールレス氷河。その末端の先にブラウンシュヴァイガー小屋が見えます(小屋の背後の谷を右手へ下るとピッツ谷のマンダルフェン村へ至ります)。写真左上の高峰はヒンテラー・ブルンネンコーゲル(3,440m)。

シュヴァルツェ・シュナイト山頂駅(海抜3,250m)に到着。レッテンバッハ氷河の最上部にあたる場所ですが、スキーヤーの滑走出発点という感じで周囲には何もありません。南側と西側の視界が尾根で遮られているため眺望も限られます。

西側(写真右)に見えるインネレ・シュヴァルツェ・シュナイトの頂(3,367m)に向かって下った先に尾根の南側(ティーフェンバッハ氷河側)へ抜けるトンネルがあり、そちらへ行けばヴィルトシュピッツェを眺められた筈です。また尾根上の展望所にも片道15分で登れるようですが(写真左に見える踏み跡がその道でしょうか)、この時は我が家の他にハイカーがおらず、案内標識も無くてよく分かりませんでした。次のバスに乗り遅れたくなかったので早々に諦めてゴンドラリフトで下ることにしましたが、今から思えば少々心残りでもあります。

ゴンドラリフトから見下ろす中間駅のレッテンバッハヨッホ(海抜2,993m)。ここは西側が切れ落ちていて手軽に眺望を楽しめそうです。後方の峰はカールレスコーゲル(3,106m)。

レッテンバッハヨッホから南に見上げるインネレ・シュヴァルツェ・シュナイト。先程上ったゴンドラリフトの山頂駅が左の尾根上に小さく見えています。そのゴンドラリフト駅と山頂との中間付近の尾根直下(Tバーリフトが上っていく先)に見えているのがティーフェンバッハ氷河へ抜けるトンネルのようです。

インネレ・シュヴァルツェ・シュナイトの右隣にはリンカー・フェルナーコーゲル(写真左、3,277m)。べったりと纏った山腹氷河は手前でカールレス氷河に合流しています。右肩に覗いているのはシュフトコーゲル(3,471m)とその右奥にペーターゼンシュピッツェ(3,472m)で、そこから手前へミッテルベルク氷河が流れ下っています。写真右の山はヒンテラー・ブルンネンコーゲル。残念ながらチロル州最高峰のヴィルトシュピッツェはリンカー・フェルナーコーゲルに隠されてここからは見えません。

シュフトコーゲルのズームアップ。ヴィルトシュピッツェの前衛峰的な存在の山です。

ヒンテラー・ブルンネンコーゲルのズームアップ。山頂まで通じているゴンドラリフトがよく見えました。

再びバスに乗り込み、トンネルを潜って終点のティーフェンバッハ氷河停留所(海抜2,790m)へ。写真右端が乗ってきたバスで、建物の背後の岩山の上はザイター氷河です。写真左に迫っているのがティーフェンバッハ氷河の末端で、その奥に見える右側の峰がティーフェンバッハコーゲル(3,307m)、左側の峰がムートコーゲル(3,309m)。ここからティーフェンバッハコーゲル山の右肩まで上るゴンドラリフトがあるんですが、既に7月下旬までで今夏の運行を終えているため、乗場はひっそりと静まり返っていました。バスの乗客は全員が我が家と同じハイキングコースへ向かいました。

ティーフェンバッハ氷河末端の駐車場付近から東に望むシュトゥーバイアー・アルペンの山々。左端がシャウフェルシュピッツェ(3,332m)で、その右にシュスグルーベンコーゲル(3,211m)とアーペラー・プファッフ(3,353m)を挟んで雲の左側が山群最高峰のツッカーヒュットル(3,507m)です。手前の山塊は左端が山頂小屋の建つフォルデラー・ブルンネンコーゲル(2,761m)、その右にロートコーゲル(2,894m)とヴィルデ・レーテシュピッツェ(2,966m)を挟んで中央がヴァンネンコーゲル(3,088m)、更にシュラーコーゲル(3,137m)とヨッホケップフル(3,143m)を経て右端がティンメルスヨッホベルク(2,970m)です。つまり写真右端が前日に行ったティンメルスヨッホ峠方面ということになります。

ツッカーヒュットルとプファッフェン氷河のズームアップ。

広い道を少し登った先から、フェント谷の北西斜面のトラバース道「パノラーマヴェーク」が始まります。正面に並ぶのはフェント谷とグルグル谷の間に聳える山々で、写真左端がシュトックコーゲル(別名ツィルムコーゲル、3,278m)、ガンプレスコーゲル(3,399m)の長い尾根を経て写真中央がラーモルコーゲル(3,549m)です。

ラーモルコーゲルのズームアップ。主峰(グローサー・ラーモルコーゲル)の左奥がミットレラー・ラーモルコーゲル(3,518m)で、手前はガンプレスコップフ(3,165m)です。

「展望の道」の名のとおり、左手にフェント谷を挟んで常に高峰のパノラマを楽しみながら進みます。ラーモルコーゲルの右はフィルミスアンシュナイデ(3,491m)、ミットレラー・シュピーゲルコーゲル(3,311m)、ミットレラー・ディームコーゲル(3,342m)、フォルデラー・ディームコーゲル(3,372m)、ムートマルシュピッツェ(3,522m)、マルツェルシュピッツェ(西峰、3,540m)と続き、右端の白い峰がシミラウン(3,599m)です。

ザイター・カールの斜面をトラバースする緩やかな下り道です。写真右上の頂はムートコーゲルで、その山腹に見えているのはティーフェンバッハ氷河の上部です。

ムートボーデンへ向かうトラバース道から歩いてきた方向を振り返って。写真右奥に見える頂がオイセレ・シュヴァルツェ・シュナイトです。

フェント谷に向かって張り出した場所にムートボーデンと呼ばれる平原が広がっていて、放牧された羊がのんびりと草を食んでいました。谷の向こう側に並ぶ峰は、左がゼルデン村からも目立つネーダーコーゲル(3,163m)、中央がオイセラー・グリースコーゲル(3,105m)、右がインネラー・グリースコーゲル(3,107m)。写真左端はシュラーコーゲル(左)とヨッホケップフル(右)です。

ムートボーデンから眺める(左から順に)ミットレラー・ディームコーゲル、フォルデラー・ディームコーゲル、ムートマルシュピッツェ、マルツェルシュピッツェ(西峰)、シミラウンの峰々。

シミラウン山のズームアップ。写真中央手前へ流れ下っているのはマルツェル氷河、右の尾根マルツェルカムの奥はニーダーヨッホ氷河です。

ムートボーデンからヴァイスカールへ向かいます。正面奥の峰がヴァイスカール氷河を纏ったヴァイサー・コーゲル(3,409m)で、左手前はヴァイスカールコーゲル(2,996m)です。

ヴァイスカールの奥には池があり、その畔に「海抜2,656m」の案内標識と記念スタンプ台がありました。

ヴァイスカールバッハ川を渡ります。

ヴァイスカールバッハ河畔から東側に眺めるシュトックコーゲル(別名ツィルムコーゲル、左)とガンプレスコーゲル(右)。ガンプレスコーゲルの左山腹にシュタイニグレーン氷河、右山腹にグラーザイル氷河が見えます。

ヴァイスカールコーゲルの山腹を廻り込み、その東斜面をトラバースして進みます。写真右の日陰になったフェント谷の底に見える集落はヴィンターシュタル村。少し下流の日なたにザイテンの集落も見えています。谷の出口にはシュトゥーバイアー・アルペンの峰々が並んでいます。

シュトゥーバイアー・アルペンのズームアップ。右端がツッカーヒュットルで、そこから左へ順にアーペラー・プファッフ、シュスグルーベンコーゲル、シャウフェルシュピッツェ、シュトゥーバイアー・ヴィルトシュピッツェ(3,341m)、ヴァーレンカールザイテンシュピッツェ(写真中央、3,345m)、ヴィンダッハー・ダウンコーゲル(3,348m)、少し間を置いてヴィルデ・レック(3,361m)、アッターカールシュピッツェン(3,244m)、クーシャイベ(3,189m)の山々です。

進む左手には谷越しにガンプレスコップフの急峻な山腹が迫ります。右奥はラッチ氷河を纏ったラーモルコーゲルです。

ブレスラウアー小屋へ向かう道を右に分けて下り道に入ると、前方の谷底にフェント村が見えてきました。村の背後に聳えるタールライトシュピッツェ(3,406m)の端正な姿が印象的。その左をシミラウン山に向かって延びているのがニーダー谷、写真右奥へ延びるのがローフェン谷です。

やがて広い道に出ました。写真左上はガンプレスコップフ、右は奥のラッチ氷河から流れ下るラッチバッハ川です。

フェント村は近くに見えてなかなか到着しませんが、ようやく村の上手まで下ってきました。フェント谷の下流方面を撮った図です。写真右上がガンプレスコップフ。

フェント村に到着。雰囲気の良さそうなホテル・レストランが並んでいますが、最も手前に建っていた「ケラーホーフ」(写真右端)のレストランに入りました。

「ケラーホーフ」のテラス席。目の前をシュタブライン行きチェアリフトが行き来しています。メニューを見るとピッツァが大半で、「何だピザかぁ」と思いつつマッシュルームのピザと白ビールを注文しましたが、このピザが実はとても旨くて大満足でした。近くの停留所からバスに乗ってゼルデン村へ戻り、スーパーマーケット「Mプライス」で買物を楽しみました。


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