「夫婦で歩くスイスアルプス」

ラックス山ウィンター・ハイキング

2020年1月2日。今日も快晴の予報なので、姪っ子にもう1日だけ山へお付き合い願うことにしました。ウィーン中央駅から前日と同じグラーツ行き特急電車「レイルジェット」に乗ろうとしましたが、定刻より10分以上も遅れてやってきたのは前日と違って旧型客車の列車でした。ヴィーナー・ノイシュタット駅で普通電車に乗り換える筈が、電車が遅れたために乗り継げず、1時間後の電車を待つ羽目になりました。仕方が無いので、ヴィーナー・ノイシュタットの街を少し散策。大聖堂や修道院を観に行く時間は無いと判断し、駅から近い聖ヤーコプ教会と市民公園を巡りました。写真は市民公園の東に建つ水道塔です。

普通電車をパイエルバッハ・ライヒェナウ駅で下車。プラットフォームの奥に人だかりがあるので行ってみると、冬季は運行されていない筈の軽便鉄道「ヘレンタールバーン」の客車が飾り付けされて停まっていました。結婚式の参列者を運ぶために特別にチャーターされたものらしく、盛装した紳士淑女を乗せて出発していきました。

パイエルバッハ・ライヒェナウ駅の前には蒸気機関車やラックス山行きロープウェイの昔のゴンドラが展示されていました。

駅前からプライン村行きの路線バスに乗り、ヒルシュヴァング村を過ぎた先の「ラックスザイルバーン」停留所で下車。坂道を登った先にラックス山行きロープウェイの乗場があります。写真右奥に見えている雪山は、シュネーベルク山塊の最高峰、クロスターヴァッペン(2,076m)。窓口で1人29ユーロ(姪っ子は子供料金で半額)の往復切符を買いましたが、下りの便の時刻を予約する必要がありました。

ロープウェイの山頂駅に併設された山岳ホテル「ラックスアルム」(海抜1,547m)に到着。テラスに日光浴用の椅子が並んでいます。ウィーン発の電車が遅れたせいで、時刻は既に正午過ぎです。

山岳ホテル「ラックスアルム」前から南側の眺望。谷底の家並みはエドラッハ村で、その背後の低山が前日に反対側から眺めたクロイツベルク(1,084m)。後方の山々は、写真左端がグローサー・オッター(1,358m)で、その右背後にカンプシュタイン(1,467m)、フラウエンアルペ(1,458m)、アルプル(1,499m)を経てゾンヴェントシュタイン(1,523m)、その右背後にニーダーヴェクセル(1,669m)、ウムシュスリーゲル(1,720m)、ホッホヴェクセル(1,743m)を経て前日にソリ滑りを楽しんだヒルシェンコーゲル(1,340m)、その右(写真中央)にピンケンコーゲル(1,292m)、その背後にペーターバウアーコーゲル(1,355m)を挟んでハルターコーゲル(1,523m)、その右にグローサー・プファッフ(1,555m)、クライナー・プファッフ(1,539m)、最も高く見えているシュトゥールエック(1,782m)、プレトゥルアルペの尾根を経てアムンセンヘーエ(1,666m)、写真右端がカンプアルペ(1,535m)です。

山岳ホテル「ラックスアルム」前から西へウィンター・ハイキングコースが延びています。緩やかな登りですが歩きやすい道でした。


「ガッタールクロイツ」という十字架が建つ小高い丘を越えていきます(丘の北側をトラバースする道もありました)。十字架の右に見えている頂がクロスターヴァッペンです。

正面にヤーコプスコーゲル(1,736m)が見えてきました(写真左)。針葉樹の右にドライマルクシュタイン(1,948m)を経てシャイプヴァルトヘーエ(1,943m)、写真右端がハーバーフェルトクッペ(1,865m)です。

ヤーコプスコーゲルの直下に建つオットー小屋が近づいてきました。本日のハイキングの目的地です。

左手にシュトゥールエック(写真左端)方面を眺めると、プレトゥルアルペの尾根上に沢山の発電用風車が建っていて印象的でした。

オットー小屋の手前にある窪地の縁を巻くようにして歩いていきます。写真は小屋の北にある分岐「プラーターシュテルン」付近から歩いてきた方向を撮ったものです。窪地の底までソリ滑りを楽しんでいる人も沢山いました。リフトは無いので、滑り下る度に歩いて登って来ないといけないんですが…。

オットー小屋(海抜1,644m)に到着。

オットー小屋の前に並ぶテラス席でシュネーベルク山塊を眺めつつ寛ぐ人々。クロスターヴァッペンの左肩に覗いている岩峰はシャウアーシュタインで、写真右の頂がヴァックスリーゲル(1,888m)、その右肩に小さく見えている建物が登山鉄道駅の近くにあるエリーザベト礼拝堂です。

南側から見たオットー小屋。南半分の方が古い建物なのか、伝統的な建築様式に見えます。

オットー小屋の南側にある「フィルマ・ハイト展望台」。断崖の縁にあり、眺望は抜群です。

「フィルマ・ハイト展望台」から東側の眺望。左手前の支峰がゼンガーコーゲル(1,264m)で、その左後方にフォイヒターベルク(1,381m)とその背後にガーンス山塊(1,352m)。写真右にグローサー・オッターとその右背後にカンプシュタイン、写真右端がゾンヴェントシュタイン。写真右の谷底がエドラッハ村で、ゼンガーコーゲルの右がライヒェナウ村、その後方にパイエルバッハ村、その更に奥がグロックニッツの町です。

「フィルマ・ハイト展望台」から南側の眺望。写真左のゾンヴェントシュタインの右後方にホッホヴェクセル、写真中央にプファッフ連峰とその右にシュトゥールエック、写真右のカンプアルペの背後にアムンセンヘーエです。

ゾンヴェントシュタイン(左)とホッホヴェクセル(中央奥)のズームアップ。ホッホヴェクセルの下方で幾筋ものスキーゲレンデを見せている山が前日にソリ滑りを楽しんだヒルシェンコーゲルで、その麓にあるゼメリング峠を隠している左手前の山がゼメリングコーゲル(1,166m)、その手前が前日に行った展望台のあるヴォルフスベルクコーゲル(961m)です。手前のクロイツベルクの山中にも幾つもの集落が見えます。

オットー小屋の屋内で昼食をいただきました。クネーデルと煮込みザウアークラウト添えの焼きソーセージを一皿と、揚げ玉入りクリームスープを頼み、3人でシェア。安くて意外に旨かったですが、林檎ジュースは炭酸が苦手な姪っ子にはダメだったようです。

予約した下りロープウェイの時刻を気にしつつ、「プラーターシュテルン」の分岐から北へ進んで別の展望台へ立ち寄ってみることにします。ここは本来スノーシューが必要なコースのようですが、今は積雪量が少ないこともあり、ハイキングブーツだけで問題なく歩けました。

展望台の手前から西へ、グロックニッツァー小屋方面への道が分岐していました。正面がシャイプヴァルトヘーエ、その右奥がハーバーフェルトクッペ、写真右がクローベン(1,697m)です。

オットー小屋から約20分で「ヘレンタール展望台」(海抜1,620m)に到着。これまで歩いてきた場所とは違って北側に開けた展望台です。

ヘレンタール展望台から見下ろすグローセス・ヘレンタール。「地獄谷」の名のとおり、急峻で人を寄せ付けない自然の厳しさを感じさせる眺めでした。写真左上にはライスアルペ(1,399m)やヒンターアルム(1,311m)等のグーテンシュタイナー・アルペンの峰々が見えています。

ヘレンタール展望台から眺めるシュネーベルク山塊。右はクルムバッハシュタイン(1,602m)です。来た道を辿って山岳ホテル「ラックスアルム」へ戻り、予約したロープウェイの発車時刻に無事間に合いました。


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