「夫婦で歩くスイスアルプス」

ランダの吊り橋ハイキング

2018年8月22日。朝食後に姪っ子が鼻血を出してしまい、大事をとってカミさんと姪っ子はアパートに居残ることになりました。私は一人でツェルマット駅から電車に乗り、ランダ駅で下車。ここからハイキングに出掛けます。

ランダ村の中心にある教会(写真中央)の脇を抜け、東側の高台まで登ってきました。村には伝統的な石葺きの木造家屋が多く残っています。教会の背後の山はメッテルホルン(3,406m)で、写真左端に見えている高峰はブライトホルン(4,164m)とその右にクライン・マッターホルン(3,883m)です。

ランダ村の高台から眺めるビス氷河。ツェルマットへ向かう電車の車窓からもよく見える氷河です。写真右端は1991年に発生した大規模な山崩れ「グロースグーファー」の跡。


樹林帯に入って南寄りに登って行くと、案内標識に「クロイツ(十字架)」と表示された少し開けた場所(立ち寄りませんでしたが大きな木製の十字架が建っているようです)を通過します。写真はその少し先で撮ったビス氷河です。

ビス氷河のズームアップ。右の頂がビスホルン(4,153m)で、左はヴァイスホルン(4,506m)ですが頂上が雲に隠されています。

ヴァイスホルンの左手にはホーリヒト氷河が見えてきました。氷河の背後の高峰がツィナールロートホルン(4,221m)で、その右はモマン南峰(3,963m)とモマン北峰(写真右端、3,863m)。写真中央の峰はオーバー・エッシュホルン(3,669m)とその左にウンター・エッシュホルン(3,618m)、写真左端がメッテルホルンです。

道はこの分岐から折り返すように北(写真左手)へ向かいます。引き続き南寄り(写真右手)に登ればキン小屋への道だと表示されています。この先は傾斜が緩やかになって歩きやすかったです。

次の分岐点に自然木を使った面白い案内標識が立っています。左の平坦な道を進みます。

上の分岐点を過ぎると間もなくハウシュピール(またはヘウシュビール)という開けた場所に出ます。草地に大きな岩が点在しています。この少し先で「オイローパヴェーク」(ツェルマットとグレヒェンを結ぶトレッキングコース)に合流します。

「チャールズ・クオーネン吊り橋」の袂に到着。2017年に設置された世界最長(494m)の歩行者用吊り橋です。橋の建設において最大のスポンサーになったサルゲッシュ村のワイナリーの息子の名が付けられています。橋の袂でトランペットを吹き出したフランス語圏のハイカーがいて、音色が山にこだまして良い感じでした。

吊り橋の幅は65pしかなく、荷物を背負ったハイカーと擦れ違うのがちょっと大変ですが、両側に頑丈なワイヤーとフェンスがあるので安心です。

チャールズ・クオーネン吊り橋から眺めるビス氷河。写真右の峰はブルネックホルン(3,833m)で、氷河の右奥がビスホルン、左奥がヴァイスホルン、写真左がヴィセ・シーイェン(3,368m)です。写真中央下方にマッター谷の底が見えています。

写真を撮りながらゆっくり15分ほど掛けて吊り橋を渡り切りました。

吊り橋の北側の斜面を登ります。随分と下に吊り橋が見えるようになりました。

登り切ったところからドーム小屋への登り道が分岐していますが、上級者向けの青色コースです。写真右は吊り橋の上手にあるガレた急斜面「グラーベングーファー」。かつて「オイローパヴェーク」はここを横断していましたが、2010年に架けられた吊り橋も開通後すぐに落石で破壊されてしまい、そのためずっと下方に「チャールズ・クオーネン吊り橋」が新たに設けられたという次第です。写真右上端のメッテルホルンの左奥に見えている尾根は、マッターホルンの南側に連なるフルクグラートです。

オイローパ小屋(海抜2,264m)に到着しました。

ヴァイスホルン等の峰々を眺めながらテラス席でコーヒーをいただきました。

オイローパ小屋から眺めるマッター谷奥の峰々。左からブライトホルン、クライン・マッターホルン、テオドゥルホルン(写真中央、3,469m)、フルクホルン(3,451m)、フルケン(3,492m)です。

オイローパ小屋(写真左)から更に北へ進みます。途端にハイカーを殆ど見掛けない静かな道になりました。写真中央の山崩れ「グラーベングーファー」の下方(写真右下)にチャールズ・クオーネン吊り橋が見えています。

ミースボーデンという尾根の突端に眺めの良いテーブルとベンチがありましたので、ここで持参したおにぎりを食べました。

ミースボーデンから眺めるヴァイスホルン(左)、ビスホルン(右)とビス氷河。ようやくヴァイスホルンの頂上が見えました。

ミースボーデンから眺めるツィナールロートホルン(写真右上)とホーリヒト氷河、エッシュホルン(中央)、メッテルホルン(左)。

ミースボーデンから北東側に仰ぐディルホルン(写真右上、4,035m)とホーベルク氷河の末端。正面(写真左)の尾根はディルホルンから延びるディルグラートで、「オイローパヴェーク」はそちらへ向かって斜面をトラバースしながら続いています。

ディルホルンとホーベルク氷河のズームアップ。写真右上端に覗いている高峰がホーベルクホルン(4,219m)でしょうか。

「オイローパヴェーク」はホーベルク氷河の末端から流れ下っている急流を簡素な吊り橋で渡って行きます。チャールズ・クオーネン吊り橋よりこちらの方が怖いかも…(笑)。幸いにして私はこの橋の手前から下り道に入りましたので、渡らずに済みました。

ホーベルク氷河から流れ下るビルヒバッハ川の急流に沿って下ります。

ガレて荒れた斜面には意外に草花がいろいろ咲いていました。写真はゲンティアナ・ラーモーサ(リンドウの仲間)。

黄花のコゴメグサも見掛けました。

ビルヒバッハ川は滝のようになっている場所もあります。

道がビルヒバッハ川沿いを離れると、農家小屋が点在する牧草地キューボドメンに出ました。ここから南寄りに方向を変えて下って行きます。

谷底近くまで下ってきました。写真右が山崩れ跡「グロースグーファー」です。

マッター谷の下流方面を撮った写真。谷底に見える家並みはヘルブリッケン村で、その背後の山腹にユングー村も見えています。

ドルフベッヒー川を渡る辺りからは東側にチャールズ・クオーネン吊り橋が見えました。写真右上の峰はグラーベンホルン(3,372m)。

ランダ村に戻ってきました。未だブライトホルン方面が綺麗に見えていました。
電車でツェルマットのアパートに戻って姪っ子とカミさんの話を聞きました。鼻血は問題なく、午前中はスネッカ展望台から山麓駅までキックバイクを借りて走り下り、午後は村内の「フォレスト・ファン・パーク」でジップライン等のロープを使ったアスレチックで遊びまくったとのこと。どちらもアパートの大家から半額割引券を貰っていたのでお得に遊べた由でした。姪っ子にとってはハイキングより断然楽しい一日になったようです。


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