「夫婦で歩くスイスアルプス」

キッツシュタインホルン山頂展望台へ

2019年9月13日。前日夕刻にザルツブルク州の湖畔リゾート、ツェル・アム・ゼーの貸アパートに入りました。毎週金曜の朝には教区教会前の広場「シュタットプラッツ」に青空市が立つというので、朝一番に出掛けてみました。狭い広場なので店は数軒しか出ていませんでしたが、目の前のツェル湖で獲れた魚の燻製を売っていたので迷わずゲット。その隣に栗の蜂蜜を売っている店があり、栗の花なんて栗の味も香りもしないだろうと思いつつ、珍しい気がしたのでこれも購入しました。

9時20分に郵便局前広場始発のカプルン村方面行きポストバスに乗って出発です。バスはお年寄りの乗客がいっぱいで座れませんでした。カプルン村を過ぎると霧の中から青空の下へ抜け出し、カプルン谷の奥にあるゴンドラリフト「パノラーマバーン」の乗場に到着。かつてここから出ていた地下ケーブルカーが2000年に火災を起こし、日本人を含む155人もの犠牲者を出した痛ましい事故の現場でもあります。我が家は貸アパートから「サマー・カード」を貰っていたので、切符を買うために窓口に並ぶ必要もなく、スムーズにゴンドラに乗り込めました。

ゴンドラリフトは谷間の急斜面を上り切ると、なだらかな草原「ラングヴィートボーデン」の上を進みます。眼下にザルツブルガー小屋が見え、その近くには沢山の羊がいました。小屋の後方の小山はホーエス・カンプエック(1,868m)で、その背後に広がる雲海の下に我が家が滞在しているツェル・アム・ゼーの町があります。

ゴンドラリフトは圏谷の奥にあるホイズルアルムに到着し、ここで4人乗りのチェアリフト「ラングヴィートバーン」に乗り換えます。ところがここにも高齢者の先客がいっぱい。皆さんリフトの動きをいったん止めないと乗降できないので、そう長くないリフトなのに物凄く時間が掛かりました。

ようやく「アルピーンツェンター」(海抜2,450m)に到着。写真左の高峰がキッツシュタインホルン(3,203m)で、その右肩に見える展望台へこれから上ります。

大型ロープウェイ「ギプフェルバーン」に乗り換え、いざキッツシュタインホルンへ。


ロープウェイはシュミーディンガー氷河の上を上っていきます。氷河末端に見えるシュミーディンガー湖の左後方がロープウェイに乗った「アルピーンツェンター」で、その左後方の峰はトリストコーゲル(2,642m)。遠くに並んでいる峰々は、写真左がローフェラー・シュタインベルゲ山塊、その右にレオガンガー・シュタインベルゲ山塊を挟んで中央がドイツ領のベルヒテスガーデナー・アルペン、更にシュタイナーネス・メーア山塊を経て写真右端がホッホケーニッヒ(2,941m)です。谷底の霧が晴れつつあり、シュミーディンガー湖の右後方にカプルン村とツェル湖が見えてきています。

ロープウェイの山頂駅を出たところが「トップ・オブ・ザルツブルク」展望台(海抜3,029m)です。交通機関を使って行けるザルツブルク州の最高地点という訳です。

「トップ・オブ・ザルツブルク」展望台から北側に見下ろすシュミーディンガー氷河。その向こう側の峰は左がマウラーコーゲル(2,995m)、右がグローサー・シュミーディンガー(2,957m)。写真右手前の岩山はマグネートケップフル(2,957m)です。遠望できている山々は写真左端がカールヴェンデル山群、マウラーコーゲルの背後がローファン山群、グローサー・シュミーディンガーの右後方がヴィルダー・カイザー山脈。

ロープウェイの山頂駅からシュミーディンガー氷河の雪原まで下るケーブルカー「グレッチャー・シャトル」。冬季と盛夏のみの運行で今は乗車できませんが、作業員を運んでいるのか車両が動いていました。

「トップ・オブ・ザルツブルク」展望台から西側の眺望。最も目立つ写真中央右寄りの白峰がグロースヴェネーディガー(3,666m)で、その右はケースコーゲル(3,291m)を経てツィラーターラー・アルペンのライヒェンシュピッツェ(3,303m)。左はホーアー・アイヒハム(3,371m)を経て氷河を纏ったシュトゥーバッハー・ゾンブリック(3,088m)です。

ホーアー・アイヒハム(写真左の最も高い峰)方面のズームアップ。その右手前のホーエ・アクセル(3,161m)を挟んで右隣がグローサー・ヘクセンコップフ(3,314m)、更にその右にヒンテラー・ゼーコップフ(3,234m)、フォルデラー・ゼーコップフ(3,280m)、ヴァイスシュピッツェ(3,300m)が連なり、写真右端やや手前にヴィルデンコーゲル(3,021m)。ホーアー・アイヒハムの左はヴーンシュピッツェ(3,217m)を経て写真左端がゾイルコップフ(3,209m)です。

ケースコーゲル(写真左端から3つ目の頂)方面のズームアップ。ケースコーゲルの左はホーエ・フュルレーク(3,243m)を経てプラティガー・ハーバッハ(3,207m)で、その下方がタウエルンコーゲル(2,988m)。写真右奥の最も高い峰がライヒェンシュピッツェで、その右隣にガブラー(3,263m)を経てヴィルトゲルロスシュピッツェ(3,280m)です。

「トップ・オブ・ザルツブルク」展望台から北側に望むローフェラー・シュタインベルゲ山塊のズームアップ。写真左端がロートホルン(2,409m)で、そこから右へミッターホルン(別名ヒンターホルン、2,506m)、ライフホルン(2,488m)、グローセス・オクセンホルン(写真中央、2,511m)と並んでいます。写真右奥はドイツ国境の山ゾンタークスホルン(1,961m)で、写真右端はレオガンガー・シュタインベルゲ山塊のグリーセナー・ホッホブレット(2,467m)。その手前でスキーゲレンデを見せているのはアジッツ山の西に連なるヴィルデンカールコーゲル(右、1,910m)、プリュンドルコップフ(中央、1,879m)、コールマイスコップフ(左、1,794m)の尾根で、コールマイスコップフの手前がニーデラー・ゲルンコーゲル(2,153m)、その右の頂がオーベラー・ゲルンコーゲル(2,175m)、写真右端手前がローラーコーゲル(1,995m)です。

ベルヒテスガーデナー・アルペン方面のズームアップ。写真左の高峰がホッホカルター(2,607m)で、その左はホッホアイスシュピッツェ(2,523m)を経てカンマーリングホルン(2,484m)。写真中央左寄りはゼーホルン(2,321m)、写真右はグローサー・フンツトート(左、2,594m)とヴァッツマン(右、2,713m)です。写真中央手前はヴァンクラウトコップフ(1,762m)で、そこから尾根を左へ辿ってシュラムバッハコップフ(別名ゾンコーゲル、1,856m)、写真左端がザーラースバッハケップフル(1,934m)。ヴァンクラウトコップフの更に手前はヒルシュコーゲルで、そこから尾根を右へ辿った写真右下端がアライトアルムです。

ホッホケーニッヒ(写真右寄りの高峰)方面のズームアップ。ホッホケーニッヒの右がグローサー・ブラチェンコップフ(2,857m)で、左側は写真中央がラムコップフ(2,846m)、山塊左端がホッホザイラー(2,793m)です。ラムコップフの下方手前の頂はフントシュタイン(2,117m)で、その右はホッホエック(別名ホッホカーゼルン、2,017m)。

ロープウェイ山頂駅の脇から始まる長さ362mのトンネルに入ります。緩やかな下り道で(なので帰りは上り坂になって息が切れました)、途中に鉱物の展示やミニシアターがあります。

トンネルを抜けると、キッツシュタインホルンの西稜に作られた別の展望台に出ます。写真左端の稜線上に小さく見えているのが、先程景色を眺めていた「トップ・オブ・ザルツブルク」展望台です。

西稜の展望台から眺望を楽しむ人々。写真左の白峰はグロースヴェネーディガーです。

グロースヴェネーディガーとシュラーテン氷河のズームアップ。グロースヴェネーディガーの右手前がクラインヴェネーディガー(3,468m)、写真中央の峰がシュヴァルツェ・ヴァント(3,503m)とその背後にライナーホルン(3,559m)、その右奥がホーエス・アーダール(3,506m)、左隣がホーアー・ツァウン(3,457m)、写真左がクリスタルヴァント(3,310m)です。グロースヴェネーディガーの下方に見えている黒い尾根はホッホガッサー(2,922m)。

西稜の展望台の魅力は、「トップ・オブ・ザルツブルク」展望台からは見えなかったオーストリア最高峰、グロースグロックナー(写真中央奥、3,798m)が望めることです。左端に見えている高峰がグローサー・ベーレンコップフ(3,396m)で、その右はミットレラー・ベーレンコップフ(3,358m)、さらにその右奥がフォルデラー・ベーレンコップフ(3,249m)。手前の足許はマウラー氷河です。

グロースグロックナー(写真左上)方面のズームアップ。その右はグロックナーホルン(3,680m)とトイフェルスホルン(3,677m)の尖峰を挟んでグロックナーヴァント(別名ホフマンシュピッツェ、3,722m)。グロースグロックナーの下方がシャットザイトケップフル(3,182m)、その右手前がグローサー・グリースコーゲル(3,066m)で、その下方がゲラルコップフ(2,931m)。写真中央奥はヨハニスベルク(3,453m)で、その左がトイフェルスカンプ(3,511m)、右がロマリスヴァントケップフェ(3,511m)。写真右で大きく見えているのはホッホアイザー(3,206m)で、そこから手前へ流れ下っているのがオーベレス・ホッホアイス氷河です。

グロースグロックナー山群の右には人造湖のヴァイスゼーが見えました。湖の左手前の小山ヒンテラー・シャーフビッヒル(2,352m)を挟んで左側の谷はアイスボーデンです。後方の山々は写真左上がフォルデレ・ケンドルシュピッツェ(左、3,085m)、ヒンテレ・ケンドルシュピッツェ(中央、3,080m)、グラデッツ(右、3,063m)の連山で、その右に大きく見えている峰はグローサー・ムンタニッツ(3,232m)、その下方がメデルツコップフ(2,761m)、右がルッケンコーゲル(3,100m)。写真中央はカルザー・ベーレンコップフ(3,079m)で、その左下方にタウエルンコーゲル(2,683m)、写真右がグラナートシュピッツェ(3,086m)とゾンブリック氷河です。

西稜の展望台からシュミーディンガー氷河を隔てて眺めるマウラーコーゲルとグローサー・シュミーディンガー。

眺望を堪能してロープウェイで下山しました。写真はロープウェイのゴンドラから撮ったシュミーディンガー湖で、その背後の尾根上にクレフェルダー小屋が見えています。谷底の霧もすっかり晴れました。写真中央の尖った峰ガイスシュタイン(2,230m)の背後がカプルン村で、その奥にシュットドルフ村とツェル湖が見えます。写真右手前の岩峰はホーエ・カンマー(2,636m)です。


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