「夫婦で歩くスイスアルプス」

カプルナー・テアル峠越えハイキング

2019年9月15日。今日も好天の予報なので、ロングコースの高地ハイキングに出掛けます。ツェル・アム・ゼー駅から「ピンツガウアー・ロカールバーン(ピンツガウ地方鉄道)」のクリムル行き列車に乗り込み(レトロな雰囲気の気動車でした)、ウッテンドルフ駅で下車しました。ここでエンツィンガーボーデン行きのポストバスに乗り換えます。

ポストバスはシュトゥーバッハ谷を南へ遡り、終点のエンツィンガーボーデンに到着。バス停の隣がヴァイスゼー行きゴンドラリフト乗場です。このリフトには「サマー・カード」が効かないので、1人17ユーロの片道切符を買いました。

ゴンドラリフトに乗り込んで出発。眼下に見える貯水池の手前がエンツィンガーボーデンです。後方に連なる山々は、写真左がレルヒヴァント(2,388m)とその左にフラッハビッヒル(2,050m)で、ケーブルの右がヒンテラー・プラニッツァー(2,562m)とその右手前にケーニッヒスシュトゥール(2,408m)、その右がヤッケザー(2,570m)、写真右上端がハックブレットル(2,708m)です。

中間駅でグリューン湖を通過。鏡のような湖面に景色が映って綺麗でした。中間駅での乗換えは不要で、ゴンドラは更に南へ上っていきます。

東側にタウエルンモース湖とダムが見えました(写真右)。その背後に見える最も高い峰(リフトのケーブルに重なっています)が前々日にロープウェイで上ったキッツシュタインホルン(3,203m)で、その左がマウラーコーゲル(2,995m)を経てグローサー・シュミーディンガー(2,957m)。ダムの左に見える写真中央手前の頂はシュプレングコーゲル(2,204m)です。

山上駅に到着する手前で撮ったヴァイスゼーのダム。写真右上の峰がシュトゥーバッハー・ゾンブリック(3,088m)で、その左のゾンブリック氷河の奥がグラナートシュピッツェ(3,086m)、写真左奥はカルザー・ベーレンコップフ(3,079m)、写真左端がタウエルンコーゲル(2,683m)です。


ゴンドラリフトの山上駅に隣接して建つ「ルドルフス小屋」(海抜2,315m)。「小屋」という名に似つかわしくない、余りにも巨大で立派な山岳ホテルです。

「ルドルフス小屋」(写真右)からヴァイスゼーの湖畔(海抜2,250m)へ下ってきました。写真左の山はシュトゥーバッハー・ゾンブリックの北に連なるホーエ・フュルレーク(2,943m)です。

ヴァイスゼーの東岸からの眺め。右からシュトゥーバッハー・ゾンブリック、グラナートシュピッツェ、カルザー・ベーレンコップフ、タウエルンコーゲルです。

ヴァイスゼーの東岸から東へ続く遊歩道に入ります。写真左の建物は、メデルツコップフの中腹へ通じているチェアリフト乗場。これを利用してメデルツコップフに登頂するのも魅力的なハイキングプランですが、次の機会のお楽しみとします。

右手(南側)に広大なアイスボーデンの圏谷を見下ろしながら進みます。圏谷の奥はエーデンヴィンケル氷河で、その背後の頂がアイスケーゲレ(3,426m)、その右がホーアー・カステン(3,189m)。写真左上の峰はトーテンコップフ(3,151m)で、その右奥がホーエ・リッフル(3,338m)です。写真右下端はヴァイスゼーからアイスボーデンへ流れ落ちる滝の上部で、その向こう側で2人のハイカーが歩いているのはアイスボーデンの谷奥へ向かう道です。

行く手の谷底に見えるタウエルンモース湖を目指し、垂直の岩壁に沿って付けられた狭い道を下ります。この先に梯子もありました。タウエルンモース湖の背後の山はホッホゼードルコーゲル(2,772m)で、その左奥の尖峰がホッホアイザー(3,206m)、更にその左にキッツシュタインホルン。ホッホゼードルコーゲルの右はクライナー・アイザー(2,897m)です。

ようやく傾斜が緩やかな場所に出ましたが、この先にもワイヤーを頼って岩場を下るところがありました。あの岩壁をよく下りられたなぁ〜って感じです。滝の左側の稜線上にメデルツコップフ行きチェアリフトのケーブルが見えます。

アイスボーデンの谷を見下ろして。これから写真左下のアイスボーデン湖の畔へ下ります。写真右上端の頂がメデルツコップフ(2,761m)です。

アイスボーデン湖畔から眺める「逆さ滝」。

スキーリフトの乗場(写真右の建物)の脇を通って川沿いに進みます。写真は歩いてきた方向を振り返って撮っていて、滝の上がスタート地点のヴァイスゼー方面。写真左の頂がメデルツコップフです。

タウエルンモース湖畔(海抜2,023m)に到着。手前の橋を渡り、写真右端の斜面を登ります。

登り道の途中から見下ろすタウエルンモース湖。右奥のダムで堰き止められた人造湖です。対岸に見える道を辿ってシュプレングコーゲルの向こう側へ下れば、ゴンドラリフトに乗り込んだエンツィンガーボーデンへ至ります。

斜面を登った先には小川が穏やかに流れる湿原が広がっていて、その東側に上下2段になって横たわるリッフル氷河が現れました。前を行くカミさんの後方の峰がトーテンコップフで、その右手前がリッフルカールコップフ(3,016m)。写真左の頂はトーアコップフ(3,101m)です。

振り返って西側に眺めるヴァイスゼーとその背後に聳えるグラナートシュピッツェ。写真右がシュトゥーバッハー・ゾンブリック、写真左にカルザー・ベーレンコップフとその下方にタウエルンコーゲル。

ヴァイスゼー、グラナートシュピッツェ(左)、シュトゥーバッハー・ゾンブリック(右)、ゾンブリック氷河のズームアップ。ヴァイスゼーの右に見える小山はヒンテラー・シャーフビッヒル(2,352m)。

圏谷の北側斜面をトラバースしながら奥へ向かって登ります。目指すカプルナー・テアル峠は、写真左端の尖った峰の左側です。写真右のトーテンコップフの左奥がホーエ・リッフルの頂上。

登っても登ってもなかなか峠に行き着かず、心が折れそうになりました(笑)。右手に荒々しい山容のトーテンコップフを間近に眺めます。写真左上が上リッフル氷河、中央手前が下リッフル氷河、写真右奥がリッフルカール氷河です。

カプルナー・テアル峠(海抜2,639m)に到着。「カプルン谷への小門」の名のとおり、岩の裂け目のような狭い峠でした。先に着いて休憩していた若者ハイカー達から「おめでとう!」と声を掛けていただき、持参したおにぎりと茹で卵を食べてひと休みしました。

カプルナー・テアル峠の東側は大岩ゴロゴロのガレた急斜面で、残雪も少しあったので注意して下りました。写真右上がミットレラー・ベーレンコップフ(3,358m)で、そこから尾根を左へ伝った先がシュヴァルツケップフル(3,124m)、写真中央に右からクロッケリン(3,422m)、ヒンテラー・ブラチェンコップフ(3,413m)、グローセス・ヴィースバッハホルン(3,564m)の三峰、写真左がホーアー・テン(3,368m)です。

クロッケリン(右)のズームアップ。その右肩を手前へ流れ下っているのはベーレンコップフ氷河です。中央がヒンテラー・ブラチェンコップフ、左がグローセス・ヴィースバッハホルンとその下方にカインドル氷河。

ガレ場にワスレナグサ(ミオソティス・アルペストリス)が咲いていました。

圏谷を下る途中に小さな湖がありました。写真左がシュヴァルツケップフル、その右がミットレラー・ベーレンコップフで、写真中央がフォルデラー・ベーレンコップフ(3,249m)、右がシャットザイトケップフル(3,182m)です。手前の岩稜の向こう側をカーリンガー氷河が流れ下っています。

モーザーボーデン人造湖(海抜2,036m)の近くまで下ってきました。ゴールは対岸に見えるダムの左側です。背後の山は右がホーアー・テンで、左がバウエルンブラッハコップフ(3,125m)。

モーザーボーデン人造湖の南端から眺めるカーリンガー氷河の末端。滝が流れ下り、モーザーボーデン人造湖に注いでいます。写真中央の峰はシュヴァルツケップフルで、写真右奥がフォルデラー・ベーレンコップフです。

モーザーボーデン人造湖の南東岸に付けられた道を進みます。写真は西側を撮ったもので、対岸の最も高い峰がホッホアイザー、その右隣がグローサー・グリースコーゲル(3,066m)、写真中央がクライナー・グリースコーゲル(2,669m)、写真右がゼードルグラートコップフ(2,541m)です。

モーザーボーデン人造湖の北端までは見た目よりもずっと遠くて時間が掛かりましたが、ようやくダムが近づいてきました。中央の小山ヘーエンブルク(2,108m)を挟んで右がドロッセン・ダム、左がモーザー・ダム。写真左上の山はキッツシュタインホルンです。

東側のドロッセン・ダムを渡っているところ。写真右のキッツシュタインホルンの左手前がホーエス・バイル(3,100m)で、写真中央がゲラルコップフ(2,931m)。写真左はグローサー・グリースコーゲル(右)とホッホアイザー(左)で、グローサー・グリースコーゲルの下方にクライナー・グリースコーゲル。

ドロッセン・ダムの西縁から東側の眺め。右がクロッケリンとクロッケリン氷河、中央がヒンテラー・ブラチェンコップフ、左が右肩にハインリヒ・シュヴァイガー小屋が建つウンテラー・フォッヒェツコップフ(3,022m)です。

モーザー・ダムから北側に見下ろすヴァッサーファルボーデン人造湖。写真左端に見える建物はフュルターモアールアルムのレストランです。ダムの後方に遠望できている山はレオガンガー・シュタインベルゲ山塊のビルンホルン(2,634m)で、その右下に前日に歩いたシュミッテンヘーエ(1,965m)も見えています。

モーザー・ダムの西縁から南側の眺め。写真右端がホーエ・リッフルで、その左にカーリンガー氷河を挟んでシャットザイトケップフル、中央左寄りがシュヴァルツケップフル、その左奥に覗いているのがミットレラー・ベーレンコップフの頭、その左がクライナー・ベーレンコップフ(2,727m)。湖の対岸を写真右奥から左へ歩いてきました。

モーザーボーデン人造湖のダムの西縁から出る最終バス(16時45分発)にギリギリで何とか間に合いました。歩き疲れたので何処か外で夕食しようということになり、ツェル・アム・ゼー駅に着いたらちょうど電車が来るところだったので飛び乗ってブルック村へ行きました。お目当ては村の中心部に建つレストラン「ツァッハール・ブロイ」です。

ここは「ブロイ」という名のとおり、自家製(※)のビールを出してくれるレストランです。無濾過のラガービールは期待どおりの旨さで、珍しくカミさんも500ml入りの大グラスをお代わりしました。
(※)後でレストランのウェブサイトを見てみたら、ここでビールを造っていたのは実は昔の話で、今はザルツブルク郊外のビールメーカーに醸造を委託しているみたいです。

ツェル・アム・ゼー駅に戻ったら、ちょうど湖岸で「マジック・レイク・ショウ」が始まる時間だったので、観賞して帰ることにしました。モーツァルトやヨハン・シュトラウスの曲に合わせて噴水と光が踊り、オーストリアらしくて楽しめました。今日は長い一日でしたが充実していました。


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