「夫婦で歩くスイスアルプス」

パランツォーネ山 ハイキング

2017年5月2日。前日は雨天のためコーモ旧市街の散策しかできませんでした。今朝は青空が戻ってきたので、初日に乗ったケーブルカーで再びブルナーテに上り、石畳の旧街道を辿って「ヴォルタの灯台」方面へ向かいます。


「ヴォルタの灯台」の直下まで来ました。今日は展望台には立ち寄らず、車道を東へ辿ります。

尾根伝いに付けられた舗装道路「ストラーダ・パノラミカ(展望街道)」の脇には山小屋レストランが点在しています。写真は「CAO小屋(「CAO」は「労働者山岳クラブ」の略称らしいです)」。ただ、この時期の平日の朝なので、どの建物にも人影は見られませんでした。

道はアスファルト舗装から石畳に変わり、緩やかな登りが続きます。

ボンデッラ小屋の手前からピッツォ・デイ・トレ・テルミーニに向かう遊歩道に入りました。

ピッツォ・デイ・トレ・テルミーニ(1,140m)の山頂付近は前日に降った新雪で真っ白でした。写真左上の頂はモンテ・アステーレ(1,186m)で、右にはモントルファノ湖が見えています。更に右手にはモンテ・ローザ連峰やミシャベル山群が遠望できました。

尾根伝いに東進し、ボレット・ファブリーツィオ小屋(海抜1,180m)を通過。ここは外に数頭のロバがいて、人の気配がありました。

ボレット・ファブリーツィオ小屋の東側からモンテ・ボレットに登れますが、積雪があったため自重して北側の山腹をトラバースする道を選びました。左手に時折コーモ湖の眺望が広がります。湖の西岸(左側)はラーリオ村、東岸(右側)はポニャーナ村とその奥にカレーノ村。ポニャーナ村の右の山中にパランツォ村も見えています。写真右端の白い山はモンテ・サン・プリーモ(1,686m)、写真左端はコルメニョーネ(1,383m)です。

モンテ・ボレットの東尾根に出てきました。後方に見える頂がモンテ・ボレット(1,236m)です。南側には雪が無く、登れなくもなかったかなと思いました。

行く手にモンテ・ボレットーネ(1,317m)が近づいてきました。その手前がモリーナ峠です。

モンテ・ボレットーネへの登頂も積雪により諦め、モリーナ峠から北側山腹をトラバースする「センティエーロ・デイ・ファッジ(ブナ林の小道)」に入りました。森の中にはヤブイチゲ(アネモーネ・ネモローサ)が一面に咲いていました。

レムナ峠の近くに建つマーラ小屋(海抜1,125m)に到着。残念ながら小屋は閉まっていましたが、石造りの広いテラス席があり、ここに座って持参した昼食を摂りました。写真左の頂がモンテ・ボレットーネです。

マーラ小屋(レムナ峠)からモンテ・ボレットーネ方面への尾根道を辿って少し西へ登ると、南側の眺望を楽しむことができました。左がプジアーノ湖、右がアルセーリオ湖で、その間がエルバの町。プジアーノ湖の左奥に見える山はコッレ・ディ・ブリアンツァ山塊(別名モンテ・ディ・サン・ジェネージオ)のモンテ・クロチョーネ(877m)です。

レムナ峠からピッツォ・デッラジーノの東斜面をトラバースしながら北へ緩やかに登り、パランツォ峠(海抜1,210m)を通過。いよいよ行く手に見えるモンテ・パランツォーネへの登山道に入ります。

モンテ・パランツォーネは草原の山です。南斜面は乾いていて比較的楽に登れました。写真中央手前の頂がピッツォ・デッラジーノ(1,272m)で、その左後方がモンテ・ボレットーネ、右後方がモンテ・ボレットです。写真右奥からずっと尾根伝いに手前へ歩いてきました。

モンテ・パランツォーネ山頂(1,436m)に到着。立派な石造りの十字架塔が建っています。写真右はグリーニャ連峰で、その下方にソルマーノ村が見えます。十字架塔と案内標識の間に見えている山はモンテ・レニョーネ(2,609m)です。

モンテ・レニョーネ(写真左)のズームアップ。写真右端はピッツォ・アルト(2,512m)です。

モンテ・パランツォーネ山頂から南に見下ろすプジアーノ湖とエルバの町。

モンテ・パランツォーネ山頂から西に見下ろすコーモ湖。湖の向こう側の山はモンテ・ビスビーノ(1,325m)で、そこから尾根を右へ辿った先がコルメニョーネ、その背後の白い山がモンテ・ジェネローゾ(1,701m)です。写真右端手前の山はモンテ・ディ・パランツォ(1,391m)。

山頂から尾根伝いに北へ下る筈でしたが、山頂の北側は雪に覆われて道がよく分からず、羊の踏み跡に迷い込んでしまいました。雪と泥と羊の糞でグチャグチャにぬかるんだ斜面を下り、何とかロバが放牧された北側山腹のトラバース道に出ましたが、時間と体力を大きくロスする羽目になりました。

モンテ・パランツォーネの北側山腹から北側の眺望。写真右端の山はモンテ・サン・プリーモで、その麓がバス停のある高原「ピアン・デル・ティヴァーノ」。写真中央に見える集落はヴェーレゾ村です。

カーリオ峠(海抜1,124m)で本来のルートに戻れました。左の山がグリーニャ連峰で、右はレゼゴーネ山(1,875m)。写真中央の集落がソルマーノ村で、その右手前がカーリオ村、右奥はアッソ村です。

グリーニャ連峰のズームアップ。左がグリーニャ・セッテントリオナーレ(別名グリニョーネ、2,410m)、中央がツッコ・ディ・ギニョーリ(2,168m)、右がグリーニャ・メリディオナーレ(別名グリニェッタ、2,177m)です。

レゼゴーネ山のズームアップ。手前の尖峰はコルニ・ディ・カンツォ(1,373m)で、その左はモンテ・モレガッロ(1,276m)です。

コルマ・デル・ピアーノ峠から北へ下ってピアン・デル・ティヴァーノのバス停へ出ようと思いましたが、峠への分岐に案内標識が無かったため、南側のカーリオ村へ下って来てしまいました。でもカーリオ村は意外に立派な住宅が建ち並び、グリーニャ連峰を眺められる雰囲気の良いところでした。

それに、カーリオ村には「ジョヴァンニ・セガンティーニ通り」があり、古い街路のあちこちに画家セガンティーニの作品の複製パネルが掲げてありました。写真はサン・モリッツのセガンティーニ美術館にある遺作「生・自然・死」の複製パネル(実物よりずっと小さいですが…)。

画家セガンティーニは、スイスへ移住する直前の1885〜86年に、ここカーリオ村に滞在していたんですね。写真の建物がセガンティーニが住んでいた家らしいです。何も知らずにカーリオ村へやってきましたが、セガンティーニの絵が好きな我が家にとって嬉しいサプライズでした。

カーリオ村を通るバス便はもう無い時間帯なので、隣のソルマーノ村まで歩きました。でもここからのバスも18時台まで無く、カフェでビールでも飲めればと思いましたが、村内の商店は悉く閉まっていて、おまけに急速に曇って雨が降り出したので、仕方なくバス停のある公園で1時間余り手持ち無沙汰に過ごしました。写真は公園内にあった村の山岳会設立70周年記念のモニュメントです。
ようやく来たアッソ村行きバスに乗り込んでコーモまでの切符を買おうとすると、運転手曰く「アッソからコーモ行きのバスは今日はもう無いよ」。時刻表に書いてあった最終バスは今の時期は走っていないとのこと。アッソから電車に乗るしかないと教えてもらいましたが、アッソ駅に着いたら目の前で電車が出て行ってしまいました。仕方なく駅前のバーで1時間過ごし、次の電車でエルバ駅へ。エルバ駅前から再びバスに乗ってコーモ市内に着いたのは20時過ぎでした。


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