「夫婦で歩くスイスアルプス」

ノルトケッテ山脈ハイキング

2015年9月10日。前夜に羽田空港を発ち、フランクフルト経由で午前中にインスブルック空港着。路線バスを乗り継いで旧市街のど真ん中に建つ宿泊ホテルへ。未だ11時少し前でしたが幸いに部屋に入ることができ、身支度を整えてから早速ハイキングに出掛けます。アジアや中東からの観光客で賑わう「黄金の小屋根」の方向には背を向けて、旧市街の入口にある観光案内所へ。ここで72時間用の「インスブルック・カード」(1人47ユーロ)を購入しました。

旧市街の奥にあるフンガーブルク行きケーブルカー乗場。「インスブルック・カード」を改札機にかざすだけで乗れました。

モダンな車両のケーブルカーでフンガーブルクに到着。ここでロープウェイに乗り換えます。

ロープウェイの到着地点がゼーグルーベ(海抜1,905m)。下界は晴れているのに、山の上は半ば雲の中で肌寒いです。取り敢えずレストランに入って昼食にします。さすがに今日はテラス席には人がおらず、みんな屋内で食事してました。写真後方の小山はグルーベック(1,966m)。

更にロープウェイを乗り継いでハーフェレカール山上駅(写真左奥、海抜2,269m)へ。山上駅では食事ができないかもと思ってゼーグルーベで食べたんですが、山上駅にも簡素ながらレストランがありました。先ずは写真手前へ続く道を登ってハーフェレカールシュピッツェの山頂へ向かいます。

ハーフェレカールシュピッツェ山頂へ登る道から左手(北西方向)の眺め。中央手前の峰はグルーブライゼンテュルメ(2,266m)で、写真左端後方がクンプフカールシュピッツェ(2,393m)、写真右端の頂はミットレレ・イェーガーカールシュピッツェ(2,608m)とその左にグローサー・カッツェンコップフ(2,531m)。クンプフカールシュピッツェの右奥に見える雲の掛かった山群はドイツとの国境を成すヴェッターシュタイン山脈で、その右にはノートカールシュピッツェ(1,889m)やヴァンク(1,780m)等、ガルミッシュ・パルテンキルヒェン周辺のドイツの山々まで遠望できています。

北東側の眺望。奥に並んでいる峰々は、上の写真のミットレレ・イェーガーカールシュピッツェの右(東側)に連なるグライルシュ・ハルタール山脈で、左から順にヴェストリッヒェ・プラックスマーラーカールシュピッツェ(2,642m)、カスカールシュピッツェ(2,580m)、ゾンタークカールシュピッツェ(2,575m)、ヒンテラー・バッハオーフェンシュピッツェ(2,668m)、ハラー・ロスコップフ(2,670m)。ハラー・ロスコップフの手前はグライルシュターラー・ブラントヨッホ(2,372m)で、その右に見えている緑の頂がこれから目指すマンドルシュピッツェです。グライルシュターラー・ブラントヨッホの更に手前に見えるギザギザの岩峰はグライルシュツェーネ。

ロープウェイ駅から10分ほどでハーフェレカールシュピッツェ山頂(2,334m)に到着。南側にはインスブルック市街を見下ろせましたが、ご覧のとおり雲が多く、遠くの山々をスッキリ見渡すことはできませんでした。

ハーフェレカールシュピッツェ山頂には人懐っこい(図々しい?)キバシガラスが沢山いました。背後はインスブルック市街です。

すぐ近くにライチョウが2羽いました。残念ながら上手くお顔が撮れませんでしたが…。

一旦ロープウェイ駅の近くまで下り、山頂の南側斜面を東へ進むハイキングコース「ゲーテの道」に入ります。写真は山頂から東側の尾根を直接下ってくる道と合流した辺り。この先でご覧のように道が稜線上に出て、左手(北側)の眺望も開けます。

行く手に草原の鞍部が現れ、道は少しだけ北側へ廻り込んだ後、折り返すようにグライルシュザッテルと呼ばれる鞍部へ下って行きます。この鞍部の分岐で写真中央奥(北)の方向へ下るとマンドル谷で、そのまま川沿いに下ればドイツ国境に近いシャルニッツ村へ至ります。マンドル谷の向こうに並ぶのはハーフェレカールシュピッツェ山頂から眺めたグライルシュ・ハルタール山脈で、写真左がミットレレ・イェーガーカールシュピッツェ、中央がヴェストリッヒェ・プラックスマーラーカールシュピッツェ(手前にグライルシュツェーネ)、右がカスカールシュピッツェを経てゾンタークカールシュピッツェです。

グライルシュザッテルから見下ろすインスブルック市街。左手前へ分岐しているのがマンドル谷方面への下り道、右手奥への分岐はゼーグルーベに直接下る道です。我が家は引き続き尾根伝いに左(東)へ。

グライルシュザッテルの北東側にはグライルシュシュピッツェ(2,317m)が聳えています。なだらかな山容で登りやすそうでしたが、我が家はもう少し東へ歩を進めます。

グライルシュシュピッツェの南斜面に平坦な道が続いています。

右手にはインスブルック市街が真下に見えます。この辺りが最も快適に歩ける場所でした。

インスブルック市街(写真右端)の先(東)にはハルの町も一望です。

道がジグザグの上り坂になって再び稜線上に出ると、折り返すようにミュールカールシャルテ(2,243m)への登山道が分岐していますが、立ち寄らずに先へ急ぎました。

この稜線上からは目的地のマンドルシュピッツェが目の前です。「ゲーテの道」はその西斜面をトラバースしていきますが、我が家は写真右端の道を辿って山頂を目指します。

マンドルシュピッツェも草原に覆われたなだらかな山容で、山腹には沢山の羊が草を食んでいました。

マンドルシュピッツェ山頂(2,366m)。360度の眺望が楽しめました。

マンドルシュピッツェ山頂から西に眺めるノルトケッテ山脈。写真左端の頂がミュールカールシャルテ、その右の一段高いピークがグライルシュシュピッツェで、更にその右奥がハーフェレカールシュピッツェ。写真中央で最も高く見えている峰はケマッハー(2,480m)、その右がクンプフカールシュピッツェです。

北西方向に見下ろすマンドル谷。右の山はグローサー・カッツェンコップフとその右にミットレレ・イェーガーカールシュピッツェです。

北東側の眺望。写真左上がヒンテラー・バッハオーフェンシュピッツェ、その右はハラー・ロスコップフを経てシュテンペルヨッホシュピッツェ(2,543m)。右の急峻な山はルーマー・シュピッツェ(2,454m)です。写真では分かりづらいですが、中央の圏谷の奥にプファイス小屋が見えています。歩いてきた「ゲーテの道」を直進すると、この小屋に至ります。

ルーマー・シュピッツェと、その右に見下ろすハルの町。

南西側に見下ろすインスブルック市街と、その右にインスブルック空港。左後方の山はパッチャーコーフェル(2,246m)、中央奥にゼルレス(2,717m)、右はカルクケーゲル山塊です。

来た道を引き返して帰路につきます。途中で少しずつ南側の雲も取れてきて、パッチャーコーフェル山の背後にクラクセントラーガー(伊語名モンテ・ジェルラ、2,999m)が見えました。イタリアとの国境を成すツィラーターラー・アルペンの山です。

グライルシュザッテルの分岐で左手の道に入り、直接ゼーグルーベに下ることにしました。山腹をトラバースしながら狭い道が続いています。

順調に下っていた筈が、ハーフェレカール山上駅から下ってくる道との交差点で進路を間違えてしまいました。もう一段下の道を西へ進むべきだったようです。後ろから羊の群れが「おいおい、ここは俺達の道だぜ。邪魔だ、邪魔だ!」とでも言うように我が家を追い抜いて行きました。

行く手にゼーグルーベのロープウェイ駅が見えてきましたが、落石防護柵の設置された岩場に阻まれて直進できません。折悪しく霙交じりの雨まで降ってきて最悪の状況です。ここから急斜面を左手へ下り、何とか本来の道へ戻れましたが、カミさんは途中で転倒までしたようで、すっかりご機嫌斜めになってしまいました。どうも我が家の初日のハイキングは必ず順調にいかないジンクスがあるようです…(汗)。写真右上の峰はブラントヨッホシュピッツェン(2,599m)。

ゼークルーベからロープウェイで下るのが17時になってしまい、帰りにフンガーブルクのアルペン動物園に立ち寄る時間も無くなってしまいました。

ホテルに戻ってシャワーを浴びたら気分も良くなり、旧市街のレストラン「シュティフツケラー」へ夕食に繰り出しました。子牛肉のヴィーナー・シュニッツェルは以前より随分と小さくなってしまった気がしましたが、店員のキビキビした対応と、混雑しているのに料理がすぐ出てくる手際の良さは変わらずでした。気を良くして私はビールをお代わり、カミさんは壁に「シュトゥルム」の貼り紙を見つけて半発酵の白ワインを頼みましたが、大満足の味だったようです。


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