「夫婦で歩くスイスアルプス」

シャンペ村からラ・フォルクラ峠へ

2008年9月15日。予報では天気は回復に向かっている筈なんですが、シャンペ村から見渡す山々は未だ厚い雲に覆われたままです。視界が晴れなくても楽しめそうなコースということで、シャンペ村からラ・フォルクラ峠までの山腹ハイキングに出掛けることにしました。シャンペ村の西外れにあるチェアリフト乗場を過ぎた先から「TMB」の案内標識に従って左手の林道に入ります(この道はモン・ブランを一周する「トゥール・デュ・モン・ブラン」コースの一部なのです)。

林道を直進すれば近道のようにも思えましたが、案内標識に従って一旦シャンペ・ダン・バの集落に下ってきました。周囲の牧草地では黒牛達がのんびり草を食んでいます。風は弱いですが肌寒い曇り空で、何とチラチラ雪まで舞ってきました。

再び林道に入って緩やかに登り、プラン・ド・ローの放牧場に出てきました。右手に十字架の立つ丘があり、ローヌ谷方面の眺望が開けています。写真前方の農家小屋では軽食も摂れるようで、牧草地には可愛いポニーが飼われていました。

ラ・ジュールの谷奥に向かって歩いていくうち、ようやく陽が差してきました。今回のスイスで初めて見る青空です(笑)。谷の奥で沢を3本渡ります。写真中央奥に見えている山はシ・キャロ(2,826m)で、左端の山がクロシェ・ダルペット(2,814m)。

急斜面の山道を登り切ると、広大な草原が広がってきます。道はここから右手へ折れて平坦に変わり、尾根を巻くようにして快適に進んでいきます。眺めを楽しめる筈の場所ですが、あいにく下から雲が湧いてきて視界を閉ざしてしまいました。

尾根を回り込んだ所にボヴィーヌの農家小屋があります(海抜1,975m)。小屋は閉まっていましたが、木製のテラス席が並んでいて格好の休憩場所です。反対側からやってきた犬連れの夫婦と一緒に座り、持参したおにぎりを広げて昼食にしました。

放牧場を過ぎると再び樹林帯に入ります。この辺りは北側斜面のためか今朝かなりの霰が降ったようで、午後になっても木々の葉を白く彩っていました。遠目には花が咲いたようで綺麗でした。

林が途切れる場所からは右手の眼下にマルティニーの街並みとローヌ谷が一望できます。写真右上に見えている尖った山はピエール・アヴォワ(2,473m)。

樹林帯の中に現れるラ・ジエートの農家小屋の辺りです。右手にはローヌ谷の向こうにダン・ド・モルクル等の山々が眺められました。

ラ・フォルクラ峠(海抜1,527m)に到着しました。峠に建つホテル・レストランのテラス席に座り、カミさんのリクエストに従って「ファンダン(白ワイン)を3デシリットル」頼んだつもりが、出てきたのは「瓶入りファンタ・オレンジが3本」(何で2人なのに3本なんだぁ〜笑)。実は、同じ失敗を以前にもやったことがあるんですよね〜。発音悪過ぎ。

ファンタ・オレンジでチャプチャプになったお腹を抱え(笑)、帰りのバス待ちの時間を利用して少し峠の近くを散策してみることに。南側に延びるトリアン谷の奥から峠までビス(用水路)が設けられていて、それに沿った平坦な道が手頃な遊歩道になっています。

ビス・デュ・トリアン沿いの道からは谷奥にトゥール針峰(3,540m)とグラン氷河が眺められます。

遊歩道の右手は急斜面でトリアン谷に落ち込んでいます。ほぼ真下にトリアン村を見下ろします。

トリアン谷の向こうにはテット・ド・バルム(写真中央、2,321m)、クロワ・ド・フェール(その右、2,343m)等の山々が並びます。テット・ド・バルムの左の鞍部がフランスとの国境になるバルム峠で、その向こうはシャモニー谷です。「トゥール・デュ・モン・ブラン」のコースはバルム峠から手前に流れ下っているナン・ノワール川の左斜面を登って行きますが、ここからは結構ハードな登りに見えます。

トゥール針峰の左にトリアン氷河が見えてきました。氷河の左の山はポワント・ドルニー(3,270m)でしょうか。擦れ違った東欧からの観光客が「氷河展望のレストランまであと30分足らず」と教えてくれましたが、マルティニーに下るバスの発車時刻を考えると我が家は時間的にそろそろ限界です。残念ながらここから引き返すことにしました。


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