「夫婦で歩くスイスアルプス」

ホーアー・ランデン ハイキング

2018年4月29日。前日に成田発の直行便でチューリッヒ空港に到着し、ボーデン湖西岸のドイツの町ラドルフツェルのアパートに入りました。滞在初日は快晴に恵まれましたので、スイス北端の国境付近をハイキングすることにします。列車をジンゲンで乗り換えてトゥットリンゲン駅へ行き、そこで更に1両のみの気動車に乗り換えました。ホーエンツォレルン地方鉄道が運行する路線ですが、乗客は写真のインメンディンゲン駅で全員降りてしまい、そこから先は貸切り状態でした。


気動車はのどかなアイトラッハ川の谷を遡り、終点のブルームベルク・ツォルハウス駅に到着しました。今日は間もなくここからヴータッハタール鉄道のSL観光列車が出発するので(今年の運行は前日の午後から始まったばかり)、民族衣装で着飾った紳士淑女や家族連れが大勢集まっていました。駅舎の中は博物館になっていて、その右手前の車両も内部は土産物店です。

博物館の内部(入場無料)。ヴータッハタール鉄道は19世紀末にドイツの軍事的な意図によって建設された歴史ある鉄道で、鉄ちゃんが感激しそうな物品が沢山展示されていました。

可愛い蒸気機関車に引かれて観光列車が入線してきました。機関車は後ろ向きに連結されています。我が家は列車には乗り込まず、一足先にハイキングへ出発します。

駅から南へ歩き、シュヴァルツヴァルト(黒い森)地方特産の燻製ハム・ソーセージのメーカー「シュヴァルツヴァルトホーフ」の本社工場前を通過します。

車道から東へ分岐している遊歩道に入り、ヴータッハタール鉄道を間近に見下ろせる場所で観光列車がやってくるのを待ちました。列車は写真左端のビーゼンバッハ高架橋を渡り、写真右奥に見えるエプフェンホーフェン村へ向かっていきます。

エプフェンホーフェン村の高架橋を渡る観光列車のズームアップ。列車は村の後方に見える線路を左から右へ走り抜けた後、高架橋を右から左へ渡ってきます。

ベンチが置かれている展望所から見下ろすエプフェンホーフェン村。列車は写真右端からやって来て手前のビーゼンバッハ高架橋を渡り、村の向こう側の山裾を右へ走ってから写真中央のエプフェンホーフェン高架橋を渡ってその手前のエプフェンホーフェン駅に停車。その後に写真右端へ走り去っていきます。ヴータッハタール鉄道はこのようなループ型の路線を繰り返しながら高度差を克服していて、ぐるぐる廻る路線の形状から「ザウシュヴェンツレバーン(豚の尻尾鉄道)」の愛称が付けられています。

明るい樹林帯を抜け、林檎の花が満開のランデン村を通過。写真は車道の分岐点付近から歩いてきた方向を振り返って撮ったものです。写真右上の車道はブルームベルク村方面へ、左手前の車道はエプフェンホーフェン村方面へ通じています。

ランデン村付近から西側の眺望。右の雪を被った山がシュヴァルツヴァルト最高峰のフェルトベルク(1,493m)で、写真左奥に見えるボンドルフ村の背後で少し残雪を見せているのがヘアツォーゲンホルン(1,415m)です。

畑の中を南へ進み、写真の大きな木が立つ分岐を右折して西方向への砂利道に入ります。

左手の牧草地にはタンポポが花盛り。写真左端に見える鉄塔の建っている山が、これから向かうホーアー・ランデンです。

樹林帯に入ると、道のすぐ左側にスイスとの国境が迫ってきます。国境の礎石の右側にドイツ?を示す「GB」の文字、反対側にはスイスを示す「CS」の文字が彫られています。林道は国境を越えずにドイツ領内を進みます。

森の中を緩やかに登ると視界が開け、ランデンホーフ(別名クラウゼンホーフ)の一軒農家を通過します。ここはまだドイツ領ですが、チューリッヒ州の方が所有しているらしく、スイス国旗が掲げられていました。その下の小さな旗は、ワイマール共和政時代に存在した「バーデン共和国」のもののようです。

ランデンホーフから少し南下すると、無人のランデン小屋の隣にベンチの置かれた広場があり、ここでカミさんお手製のサンドウィッチを食べました。風が吹くと周囲の針葉樹から煙のように花粉が舞っていて、日本の杉とは違うので私は平気でしたが、カミさんはマスクをしていても辛かったようです。

ランデン小屋の広場から西側の森の中を周回する遊歩道「クライナー・ルントヴェーク」に入ってみました。この辺りがホーアー・ランデンの最高地点(930m)です。

「シュヴァルツヴァルトブリック」という案内表示の先へ進むと、西側の眺望を楽しめました。写真右に見える森の左側はスイス領で、中央奥がシュライトハイム村、左の窪地に見えているのがベッキンゲン村です。写真左端の山はランデンブルク城址と展望塔「シュライトハイマー・ランデントゥルム」が建つシュロスランデン(896m)。この写真の右手にはフェルトベルク方面も眺められました。

元の林道に合流して南下すると間もなくスイス領内に入り(国境は見落としたのか分かりませんでした)、そこから少し東へ歩くとハーゲン小屋に至ります。無人の貸切用の山小屋です。

ハーゲン小屋の隣に広い草原の広場があり、その向こう側(海抜909m)に展望塔「ハーゲントゥルム」が建っています。

鉄階段を辿って高さ40mの展望デッキに上ると360度の眺望が楽しめます。写真は西側で、写真左端がフェルトベルク、その右で目立っているのがホッホフィルスト(1,190m)。ホッホフィルストの手前にラウスハイム村、その右にブルームエック村が見えています。

「ハーゲントゥルム」から東側の眺望。発電用風車が建つリュッテの森の向こうでピョコンと尖っているのが、ジンゲンの町の西側に聳えるホーエントヴィール(686m)で、写真左はホーエンシュトッフェルン(844m)。共に山頂に中世の城塞跡がある古火山で、写真の更に左手には同様のホーエンヘーヴェン(844m)もよく見えました。ホーエンシュトッフェルンの麓にビニンゲン村が、写真右上端にボーデン湖(ツェラー・ゼー)が見えています。

更に南のシュロスランデンやラング・ランデンまで歩いても良いかなと思ってましたが、眺望は「ハーゲントゥルム」と余り変わらなそうでもあり、大人しく西側へ下山することにしました。

途中に「シュティーゲンブリュンネリ」という小さな泉がありました。

樹林帯を抜けて牧草地へ出てきました。行く手(写真左)の窪地に見える家並みが、本日のゴール地点、ベッキンゲン村です。

菜の花畑が満開で、強い香りが充満していました。

ベッキンゲン村の中心広場に面したレストラン「ゾンネ」に入り、シャフハウゼン産のビール「ファルケン」を飲んで休憩してから、シャフハウゼン行きの路線バスに乗りました。

シャフハウゼンからは電車でラドルフツェルに戻りました。ラドルフツェル駅の南側がすぐツェラー・ゼーの湖岸です。家族連れが大勢なごんでいました。遊覧船の手前の湖水に人がしゃがんでいるように見えるものは「エル・ニーノ」というアート彫像です。

ラドルフツェルの小さな旧市街。写真左手前が市立博物館で、右奥が大聖堂です。


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