「夫婦で歩くスイスアルプス」

ボンヴィラールの葡萄畑からグランソン城へ

2014年5月7日、雨の朝です。イヴェルドン・レ・バン駅前からヌシャテル湖北岸を走るゴルジエ・サン・トーバン駅行きのポストバスに乗り込み、コンシーズ村で下車しました。ヌシャテル湖の北岸には葡萄畑が広がっていて、ここコンシーズ村にも数軒のワイナリーがあります。写真は「ドメーヌ・デュ・テレイエ」というワイナリーの玄関。

コンシーズ村を北へ抜けて登っていくと葡萄畑が広がります。この先が「グランソンの戦い」(1476年にスイスがブルゴーニュ公国に勝利した戦い)の古戦場ですが、余り深入りせずに左折し、葡萄畑の中を西へ向かいます。

「ドメーヌ・ド・サン・タニャン」というワイナリーの前を通過。

「ドメーヌ・ド・サン・タニャン」の葡萄畑。下手に見えるヌシャテル湖岸の家並みがコンシーズ村です。

剪定された葡萄の枝に小さな花芽が付いていました。

更に西へ進むと、麦畑の脇に刈り込まれた広場があり、4つの石柱が立っていました。「メンヒル」と呼ばれる先史時代の遺跡で、西欧には広く分布しているもののようです。手前の最も高い石柱だけは1843年に据えられたレプリカらしく、それらしき碑文が書かれていました。後方に見える家並みはコルセル村です。

「4つのメンヒル」の少し西にある十字路を右折して高速道路の上を越えます。高速道路の北側の道を再び西へ進むと、「プラ・ベルトゥーのドルメン」があります。高速道路の工事中に紀元前2300年頃のドルメン(支石墓)遺跡が発見され、2010年にここへ移設・復元されたものらしいです。写真後方の説明板に発掘から復元までの様子が解説されていました。

葡萄畑に沿って更に西進します。写真後方はオナン村。この辺りは高速道路が地下に潜っているため、静かでのどかな田園風景が広がっています。

ボンヴィラール村を通過。この地域のワイン造りの中心的な存在の村です。写真は「ドメーヌ・ラ・ブーラ」のワイナリー。

ボンヴィラール村の葡萄畑では農家の方々が葡萄の木の手入れをされていました。木の背丈が低いので、車輪の付いた椅子に座って作業している方が多かったです。

ボンヴィラール村の西隣にあるサン・モーリスの集落。ここで左折し、南のシャンパーニュ村へ向かいます。

シャンパーニュ村に到着。雨が上がって青空が広がってきました。写真中央奥の建物が「デュ・レザン」という如何にもワイナリーの村らしい名前のレストラン。ここで昼食にします。

地元産のワイン数銘柄がデシリットル単位の価格表で壁に掲げられていました。折角なので、ここシャンパーニュ村(Champagne)のワイナリー「ル・シャンパニュー(Le Champagnoux)」の白ワインを3デシ注文。当地のワインはフランスのシャンパーニュ地方から提訴されて「シャンパーニュ産」を名乗れず、「ボンヴィラール産」などと表記されています。当地シャンパーニュ村のワイン造りの歴史は9世紀にまで遡り、フランスのシャンパーニュ地方より古いにもかかわらず…です。ワイナリーの名前にオーナーの精一杯の抵抗が感じられますね(笑)。原産地表記を巡る悲運はともかく、「ル・シャンパニュー」のワインは大変美味でした。
他の客は殆ど日替わり定食を食べていて、そちらもリーズナブルな料金でボリューム満点のようでしたが、我が家は「今日のオススメ」と壁に書かれていたローストビーフをいただきました。

シャンパーニュ村から菜の花畑の中の道を南東方向へ進みます。写真右後方がオナン村、写真左がボンヴィラール村で、その背後の山はモン・トベール(1,339m)です。

高速道路の下を潜り、ラルノン川沿いに写真の一般車道を潜ってラ・ポワシーヌの集落へ。

鉄道線路を潜るとヌシャテル湖畔に出て、湖岸を西へ進むとコルスレット浜のキャンプ場があります。

湖岸の遊歩道を更に西へ。左手にも樹木が生い茂っていて、残念ながら湖の眺望はありません。どちらかというと歩くよりもサイクリングに適した道という感じです。

道が線路脇に出てくると、行く手にグランソン城が見えます。

グランソン城。11〜14世紀に建造された、見るからに堅固そうな要塞です。入場料12フランを支払って内部の博物館を見学。建物の内装だけでなく、展示品も中世の武器類からグランソンの戦いのジオラマ、地下のクラシックカーに至るまでバラエティに富んでいて、見応えがありました。

グランソン城の屋根上には回廊があり、周囲の眺望を楽しめます。写真は西側の眺め。丘の上に建っている白い建物は、12世紀の建立と伝えられるサン・ジャン・バプティスト教会。2006年に全面修復されたばかりで、内部はスッキリ小綺麗な感じでした。

湖岸の遊歩道を辿ってイヴェルドン・レ・バンへ戻ります。写真はキャンプ場やレストランがあるル・ペコ付近。

ル・ベー川の河口付近。この先は灌木が生い茂る中に遊歩道が続いています。

ル・ミュジョン川に出合うと、イヴェルドン・レ・バン市街に入ります。川沿いに歩いて中心街へ。

イヴェルドン寺院の前に建つ「民衆教育の父」ヨハン・ハインリッヒ・ペスタロッツィの銅像。ここはペスタロッツィが1804年に学園を開いた地なんですね。


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