「夫婦で歩くスイスアルプス」

モースアルプからユングー村へ

2005年9月25日。今回のスイス旅行でハイキングを楽しめるのはいよいよ今日が最後です。テレビの天気予報では前線通過と言っていましたが、幸いにも朝から良いお天気。9時20分発のバスでグレヒェンを出て、ザンクト・ニクラウスから電車でシュタルデンへ。駅前から再びポストバスに乗って約50分、ようやくモースアルプに到着しました。フィスプ方面から上ってきたバスも停まっています。
広々とした駐車場の周りにレストランやカフェが点在していて、我が家と同じバスに乗ってきたお年寄りの団体は、同窓会か何かなんでしょう、全員がレストランの中に消えていきました。我が家も、トイレをお借りする目的もあり、先ずはカフェのテラスでのんびりコーヒーをいただきました。

モースアルプからは各方面へ手軽なハイキングコースが伸びています。我が家は写真正面の坂道を上って森の中へ。目指すは、ザンクト・ニクラウスから見上げる断崖の上の村、ユングーです。

初めは明るい森の中を森林浴気分で進みます。山の中とは思えない平坦な道で、全くと言って良いほど起伏がありません。実は道の下に水路があるのです。山上の村へ水を供給するために山奥から水路が敷かれてあり、その上が道になっているという訳です。お蔭でとても快適に歩けてありがたいです。

歩き始めて30分ほどで次第に森を抜けます。北側を振り返ると、ビーチホルンやレッチェンタール・ブライトホルン等の山々が並んでいます(残念ながら雲が多いですね…)。

上の農家小屋の少し先に「ビューポイント」と標識の立った草地が広がっています。丸太のベンチに腰掛けて景色を眺めながらサンドウィッチの昼食にしました。前方のサース谷の向こうにフレッチホルン等の白い峰が輝いています(こちらも雲が多いですが…)。

「ビューポイント」付近から眺めたテルベルの村。シュタルデン発モースアルプ行きのポストバスは、この斜面をジグザグに登ってきました。谷の向こう側の斜面に見えるのは高地ワインの産地として知られるフィスパーテルミネン村です。

「ビューポイント」付近からグレヒェン村を眺めます。奥の谷を流れ下るのはリート氷河、その上の高峰はデュレンホルン(4,035m)です。

間もなくエンプト村へ下る道を左に分けます。エンプトに下ればロープウェイで谷底のカルペトラン駅へ下りられますが、ここで下ってしまうのは余りにも勿体無い感じです。気持ちの良い山上テラスの道はまだ先へ続いていますから、前方に谷底のザンクト・ニクラウス村を見下ろしながら先へ進みます。マッター谷の奥にはブライトホルンとクライン・マッターホルンが聳えています。

尾根を回り込む辺りで2箇所ほどトンネルがあります。片方は結構長くて、中は真っ暗。手摺りに頼りながら恐る恐る進みますが、これも楽しいハイキングのアクセントになります。

アウクストボルト谷の手前の牧草地レーガーで平坦な道は終わり、ここから農家小屋の脇の細い道を下ります。

下った先の分岐点も、グレヒェン村を眺めながら休憩するのに適した場所です。ここから徐々に上り道になりますので、気を入れ直して先へ進みます。

アウクストボルトの谷を越えて、反対側の斜面をオーブリ・エービの尾根まで登ってきました。この辺り(海抜2,200m程度)が今日のコースで最も高い場所です。写真左奥に見えるシュヴァルツホルン(3,201m)の左がアウクストボルト峠で、ここを越えるとトゥルトマン谷に通じます。

マリア像の祠がある尾根を回り込むと、谷の向こう正面にグレヒェン村を眺められます。ひとっ跳びすれば谷を越えられそうなほど近くに感じます。右の山がゼータールホルン、中央の日陰になっている山がディステルホルン、その左隣の陽の当たった小山がヴァンネホルン、左端の尾根がハンニックアルプです(つまり前日に歩いたコースが一望できるという訳ですね)。

右へ目を移すと、リート氷河の末端が眺められます。下の斜面の村はガーゼンリートです。

道は険しい断崖の中腹を進み、眼下の深い谷に目が眩みます。でも危険な場所にはしっかり橋が架けられているので安心です。

断崖を過ぎて牧草地が現れたら、既にユングー村の上手です。小さな池の脇を通って村に入っていきます。

ユングー村の全景です。急な斜面に十数戸の家がへばり付くように建っています。集落の中の狭い道を下っていくと、写真左下に見えるレストランに行けます。

小母さんが一人で仕切るユングー村のテラス・レストラン。山々を眺めながらのビールは最高です。

村外れから4人乗りの小さなロープウェイでザンクト・ニクラウスへ下ります。ユングーの村には車道が通じていないので、このロープウェイが唯一の交通手段です。この日はハイカーと村人合わせて十数人が16時15分の便を待っていたため、全員を運び切るのに30分ほど掛かりました。


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