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休暇用アパートでの滞在について

我が家はスイスやその周辺国へ旅行する際、現地では休暇用アパート(短期滞在者用の貸別荘)を借りて滞在することが多くなっています。
旅行期間中ずっと同じ場所に滞在することになるので行動範囲が限られてしまいますが、皆さまも一度その魅力にハマると、もうホテル泊まりができなくなるかも知れませんよ(笑)。


【休暇用アパート滞在のメリット】

@広くてゆったり過ごせる
一軒家を丸ごと貸すものからステューディオ(ワンルーム)タイプまで、宿泊人数に応じて様々な休暇用アパートを選べますが、2人用なら「1LDK」タイプ、すなわちキッチン・ダイニングテーブル・ソファが置かれた大部屋と、ダブルベッドの寝室にバス・トイレが付いて計45〜60u程度の広さが一般的です。ホテルのダブルルームに比べれば3倍くらいの広さを占有できます。

A安く泊まれる
料金は立地や部屋数、設備内容等によってまちまちですが、物価の高いスイスでも2人用で1泊あたり100フラン前後と、ホテルに比べれば全般的にかなり割安です。大人数で滞在すれば更に割安感が増します。また、スイスではレストランでの食事代が大変に高くつくので、休暇用アパートに滞在して朝夕の食事を自炊すれば、滞在費を大きく抑えることができます。レストランでの食事は、夕食より安価なメニューのある昼食時に楽しむようにすると安上がりです。

B時間や服装を気にする必要がない
ホテル滞在ではハーフ・ペンション(朝夕2食付きプラン)がお得ですが、朝食や夕食の時間帯が決まっていて、早朝に出発したり日暮れ後まで出歩くことができません。自炊なら好きな時間に食事ができますし、他人の目を気にする必要が無いのでどんな格好をしていても許されます。自宅にいるような自由と気楽さを満喫できます。

C現地の食材を好みの調理法で味わえる
「旅行中にまで炊事や食器洗いをしたくない」という方も多いでしょうが、スーパーや青空市で旬の珍しい食材を見つけて試してみたくなったことはありませんか。外食ばかりが続くと胃腸がもたれることもあるでしょう。油や塩分を抑えた好みの調理法で食事を作れば健康にも良いと思います。

Dオーナー家族と触れ合える
休暇用アパートの中には、オーナーが自宅の一部を旅行者に貸し出しているケースがかなりあります。同じ建物内に家主さんが居れば困った時に相談できて安心なほか、家主さんも滞在者との交流を楽しみにされていて、差し入れを頂戴したり自宅内に招かれたりすることがあります。このような場合には日本から手土産を持参すると喜ばれると思います。但し、和菓子のような余りに日本的なものは先方の好みに合わないこともあるので、できるだけ無難なものを選びましょう。


【休暇用アパート滞在のデメリット】

@土曜日からの1週間滞在が基本単位
最近はBooking.comやAirbnbのような仲介サイトでも休暇用アパートを予約できるようになり、滞在日程を自由に選べる場合が多くなってきていますが、元々スイスの休暇用アパートは土曜日の夕方にチェックインして翌週の土曜の朝にチェックアウトするのが基本パターンです(2〜4週間続けて滞在する家族も多いです)。こうすることでオーナーはアパートの稼働率を高めることができ、滞在者の送迎手続や清掃作業も土曜日だけに限定できるという訳です。盛夏や冬のピークシーズンに数ヶ月前から予約を入れる場合は、滞在期間をなるべく「土曜〜土曜」に合わせる方がオーナーに喜ばれてスムーズです。3日間程度から予約できるアパートも多いですが、短期間の滞在ではアパート滞在の良さを実感しにくいと思います(宿泊料には定額の清掃代が加算されることが多いので、短期滞在ではコストも割高になります)。

Aチェックイン・チェックアウトの時間が限られる
ホテル等と違って、殆どの休暇用アパートには滞在者の世話をする人が常駐していませんので、事前にオーナーへ到着時刻を伝えておき、その約束時刻を守る必要があります(交通機関の遅れ等で約束時間に到着できない場合は必ず連絡を入れてください)。チェックインは16〜19時頃、チェックアウトは朝9時頃までが常識的で、深夜のチェックインやレイト・チェックアウトは基本的に不可能とお考えください。

B予約金の支払を要求される
多くの休暇用アパートでは予約時に宿泊料総額の30%程度に相当するデポジットをオーナーの銀行口座へ送金するよう指示されます。我が家は比較的安価で手軽な「ゆうちょダイレクト」を利用して海外送金していますが、3,000円の手数料を取られます。予約をキャンセルすると基本的にデポジットは返金されませんが、やむを得ない事情がある場合なら、その旨を説明して滞在期間の延期等に応じてもらえる可能性はあります。

Cクレジットカードが使えない
大半の休暇用アパートのオーナーは一般の個人のため、支払にクレジットカードは使えず、現金で支払うか、銀行口座へ送金することになります。事前に送金するのはリスクを感じるので、我が家はチェックインの際にアパートの状況を確認してから現金(宿泊料総額からデポジットを差し引いた金額)を手渡し、その場で領収サインを貰うようにしています。支払はチェックアウトするまでに済ませれば良いのですが、前払いする方がオーナーに安心して貰えて、その後の関係が円滑になると思います。なお、Airbnb経由で予約すればクレジットカードで決済できて便利ですが、その代わりに相当な手数料を取られます。


【休暇用アパートを利用する際の注意点・マナー】

@立地と設備を確認して選びましょう
休暇用アパートの数はホテルの何倍もありますが、観光の拠点となる駅やバス停から徒歩圏内で、かつ食料品店が近くにあり、希望の設備が付いていて、人数に合った規模で料金が予算範囲内… と絞り込んでいくと、意外に選択肢は限られてきてしまいます。山岳リゾート村の多くは傾斜地なので、地図で近くに見えても重い食料品を抱えて坂道を登るのが大変な場合もあり要注意です(高台の方がアパートからの眺めは良いですが…)。設備面も、オーブン・電子レンジ・コーヒーメーカー・食器洗い機・洗濯機・テレビ・Wi-Fi・バスタブ・バルコニー等のすべてが揃っていることはまず望めないので、「これだけは無いと困る」というものを優先して選びましょう。ウェブサイトに室内の写真やレイアウト図が出ていればイメージを掴みやすいですが、設備内容に不明な点があれば予約する前に照会して確認すべきです。なお、現地でレンタカーを借りて移動に使われる場合なら、むしろ村外れの少し不便な場所のアパートを選ぶ方が、安価に静かな滞在を楽しめるでしょう。

Aオーナーとの信頼関係が大事です
休暇用アパートのオーナーの中には、言葉が通じにくく生活習慣の異なるアジア人を滞在させることに前向きでない方が相応にいらっしゃいます。滞在中に部屋を汚したり周囲に迷惑を掛けたりするアジア人が少なくないのも事実なんです。過去にもスイスを旅行したことがあるとか、スイスの生活ルールを理解している旨を伝えるだけでも、オーナーに少し安心感を持っていただけるでしょうから、仲介サイトを通じて予約を申し入れる場合であっても、オーナーに直接メール等で自己アピールしてみてください。応諾の返事を貰える確率が高まりますし、事前にお互いのことを理解し合えれば実際に会った際のコミュニケーションがスムーズになります。室内での喫煙やペットの持ち込みを禁止しているアパートが多いので、喫煙者でないこと(或いは禁煙アパートであることを理解している旨)やペットを連れ込む予定の無いことを伝えるのも意味があります。
我々側にとってもオーナーが信用できる人かどうかは気になりますよね。予約金を支払ったのに連絡が取れなくなった…なんてことが万が一あったら大変です。仲介業者を通して予約するのも対策になりますが、その代わりに手数料を取られます。スイスの各自治体には観光局があり、ウェブサイトに地元の宿泊施設リストを載せていますので、そこに登録されているアパートを選ぶのも一手です。もしオーナーの対応に不満があれば、観光局に訴えて助けを求めることができるでしょう。希望条件に合うアパートが見つけられない場合は、その村の観光局に相談して探してもらうことも可能です。手数料は不要ですが、もし上手く紹介して貰えた際には、到着後に観光局を訪ねてお礼の気持ちを伝えるのをお忘れなく。

B到着時に備品の状態を確認しましょう
チェックインの際にはオーナー自身か管理人が室内の設備について説明してくれますので、電気製品の使い方やゴミの捨て方、インターネット接続のためのパスワード等はその際にしっかり確認しておきましょう。特にテレビや洗濯機の使用方法は分かりづらいので、後でも訊けるように携帯電話番号等を教えてもらっておくと安心です。もし電気製品が壊れていたり食器にヒビ割れが入っていたりしたら、すぐにオーナーへ連絡すること。そのまま放置すると後で自分達が壊したかのように疑われかねません。実際に備品を壊したり汚したりしてしまったら、隠さず正直に申告しましょう。申告しないと契約に違反し、トラブルに繋がります。山岳地帯では天候が急変しやすいので、晴れていても外出する際には窓を開け放ったままにしないことも大切です。調理の際には、醤油のように臭いの残りやすい調味料を使い過ぎないようにしましょう。

C深夜や休日の朝は物静かに過ごしましょう
スイス人は騒音に対して敏感な国民性です。アパートの隣室には地元の方がお住まいかも知れません。特に深夜や日曜・祝日の朝には、大声で談笑したり、テレビや音楽を大音量で聴いたり、掃除機や洗濯機等を動かすのは控えましょう。

Dゴミはルールを守って捨てましょう
スイスは自然環境の保全に対する意識が高い国で、ゴミの分別も徹底しています。再利用されるビール瓶等は販売店へ返却し(デポジットが返金されます)、ペットボトルもスーパーの入口に回収ボックスがあります。紙類・衣料・缶類や、再利用されないワインボトル等の瓶類は、村外れにある回収基地へ持っていきます(瓶類は色によって入れる箱が違います)。その他の生ゴミ等は必ず指定された黒いビニール袋に入れ(ゴミ袋の代金が回収費用を含んでいます)、建物脇のゴミ回収箱に捨てます。自治体によっても多少ルールが異なるので、詳細はオーナーか管理人に確認しましょう。

E綺麗にして退出しましょう
チェックインの時と同じ状態にして退出するのが原則です。家具や備品を移動させた場合には元の場所へ戻します。食器や調理器具は綺麗に洗って元の収納棚へ。料金に清掃代が含まれているからといって、汚したまま出ていくのはマナー違反です。ベッドシーツと枕カバーを外し、使用したタオル類・バスマット・布巾等と一緒に部屋の入口付近かバスルーム内に置きます。チェックアウトの際にオーナーや管理人が立ち会わない場合もありますが、我が家はオーナーから「日本人はマナーを守って綺麗に使ってくれるから大歓迎だ」と言ってもらえるように心掛けたいと思っています。



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