「夫婦で歩くスイスアルプス」

ムッターベルク湖ハイキング

2015年9月13日。フルプメス村での滞在初日です。先ずは宿泊アパートの隣にある観光案内所が9時に開くのを待って、1週間内5日間有効の「シュトゥーバイ・カード」(1人60ユーロ+デポジット2ユーロ)を購入(前日到着した際に買っておけば良かったんですが、先にスーパーで買物していたらその間に観光案内所が閉まっちゃったんです…)。その足でシュトゥーバイタールの谷奥方面行きバスに乗り込み、終点のムッターベルクアルムに到着したところです。巨大な円形の山麓駅からゴンドラリフトに乗り込みます。

ところが乗り込んで数分後にゴンドラリフトが突然の急停止。反動でゴンドラが大きく前後に揺れ(床が30度くらい斜めになった感じ)、カミさんが悲鳴を上げました。10分近く宙吊り停止の後でようやく動き始めましたが、間もなく再び急停止。その後も何度も急停止を繰り返し、その度にゴンドラやケーブルが大きく揺れるので、高所恐怖症のカミさんは完全に青ざめて船酔い状態になってしまいました。

30分程も掛かってようやくフェルナウ中間駅が近づいてきました。すぐ右手にドレスナー小屋(写真、海抜2,308m)が見えます。この先のシャウフェルヨッホ行きゴンドラリフトが明日から点検修理のため5日間運休してしまうので、何とか今日のうちに「トップ・オブ・チロル」展望台へ上りたかったんですが、カミさんはとても乗り続けられる状態じゃありません。ともかくフェルナウ中間駅でゴンドラを降り、ドレスナー小屋に入って休憩することにしました。中間駅から外に出ると物凄い強風が吹き荒れていて、ゴンドラリフトが急停止を繰り返したのはどうやら風の影響だったように思われました。

ドレスナー小屋のレストランは真新しい白木造りで雰囲気が良く、コーヒーを飲んだら気分が落ち着いてきました。でもカミさんは「もう二度とあのゴンドラには乗りたくない」と言うので、今日はここから歩き始めることに。ドレスナー小屋の北側に聳えるエックエッセングラートの急斜面を登ります。写真右下に見えているのがドレスナー小屋で、その右奥がゴンドラリフトのフェルナウ中間駅。写真中央の山はグローサー・トレーグラー(2,902m)で、その右隣がパイルシュピッツェ(2,820m)、その右の鞍部がパイルヨッホ峠です。

急斜面を登り切るとエックエッセンゼーという池(海抜2,500m)が現れます。

エックエッセン湖畔から南に眺めるフェルナウ氷河の末端。左の山はフェルナウコーゲル(3,098m)です。氷河の奥には雲が掛かってきていて、この状況では「トップ・オブ・チロル」展望台へ上っても眺望は得られなかったかも知れない、と自分に言い聞かせました(笑)。

エックエッセングラートの西側の峠を抜けると、眼前に荒涼とした谷が広がり、砂利道の車道に合流します(写真左)。この車道を登って行くとガムスガルテンのスキーリフト駅へ通じていますが、我が家は右折して車道を下ります。写真正面の山はフォルデラー・ダウンコップフ(2,882m)です。

ムッターベルクアルムへ下って行く砂利道の車道。写真中央の氷河を抱いた山はルーダーホーフシュピッツェ(3,474m)で、その右はガムスシュピッツェ(3,097m)を経てノックヴァント(3,091m)。写真左上はヘルタールシュピッツェ(3,277m)です。

砂利道の右手にはエックエッセングラート(2,631m)。今日はこの裏側に建つドレスナー小屋からスタートして、写真右端の鞍部を越えてきました。

案内標識に従って車道から左手の遊歩道に入り、川を渡って谷の北側斜面を登ります。

フォルデラー・ダウンコップフ(写真左)の右にグラーマーグルーベという圏谷が見えてきました。フォルデラー・ダウンコップフの右奥がヒンテラー・ダウンコップフ(3,225m)、写真右がネルトリッヒャー・ダウンコップフ(3,075m)です。

フォルデラー・ダウンコップフの左に眺めるシャウフェル氷河の末端。写真中央がシュトゥーバイアー・ヴィルトシュピッツェ(3,341m)、左がシャウフェルシュピッツェ(3,332m)ですが、共に頂は雲の中です。遊歩道は次第にシャウフェル氷河に背を向け、山腹を北東方向へトラバースしていきます。

案内標識のある分岐を左折して登り、ムッターベルク湖畔(海抜2,406m)に到着しました。

ムッターベルク湖畔から見上げるヘルタールシュピッツェ(写真中央)とムッターベルガー・ゼーシュピッツェ(写真左奥、3,302m)。

ムッターベルク湖から東へ一段下ったところにも小川に沿って池が点在しています。この下手で山腹のトラバース道と合流して東へ進むと、別の湿地帯がありました。上空の雲がどんどん厚くなり小雨まで降ってきましたが、幸い濡れるほどではありませんでした。

進む右手の谷底にムッターベルクアルムのゴンドラリフト山麓駅を見下ろせるようになってきました。写真右上の山はグローサー・トレーグラー。左奥はマイルシュピッツェ(2,780m)で、その山麓にグラーヴァ滝が見えています。

ルーダーホーフの圏谷の下部を横断したところ。ここから谷底へ向けて下ります。写真は歩いてきた方向を撮っていて、中央の山がエックエッセングラートです。その左の谷がゴンドラリフトで上ったフェルナウ谷で、我が家は右の谷の右側斜面をトラバースして歩いてきました。写真右上の山がフォルデラー・ダウンコップフ。

下る途中で滝のような急流を見上げます。谷底で橋を渡り、ガムスガルテンから下ってくる砂利道の車道に再び合流します。

車道は森の中に入って蛇行しながら下り、ゴンドラリフトが動いているフェルナウ谷へ出てきました。写真中央に見える橋を渡って折り返すように手前へ下れば、間もなくムッターベルクアルムの山麓駅です。バスに乗ったカミさんは「生きて帰れた〜」と大袈裟に安堵してました(笑)。

翌9月14日。昼頃から雨との予報を受けて休養日としました。午前中にフルプメス村のスーパーマーケット「Mプライス」等でのんびり買物した後、再び谷奥方面行きのバスに乗ってフォルダーラウ村へ。シュトゥーバイ谷では最も奥にある小さな集落ですが、写真のレストラン「ガイアー・アルム」に入ってピッツァを食べたら意外にも(失礼)美味しかったです。

フォルダーラウ村の背後の山麓を少し登り、ミシュバッハの滝を間近に観に行きました。ところが、滝の周辺で土砂崩れがあったらしく、観瀑スポットの付近は道が荒れていました。跨いだつもりの倒木が泥だらけで、ズボンやウェストポーチ、それに首から提げていた新調したばかりのデジカメにもべったりと泥が付いてしまいました(ショック…)。

ミシュバッハの滝付近から見下ろすガスタイクの集落。地図では滝の下方でミシュバッハ川を渡ってガスタイク村へ下れるように見えましたが、その橋も無くなって(流されて?)いました。登って来た道を辿ってフォルダーラウ村へ下り、ガスタイク村まで車道を歩いてからバスに乗って帰りました。ミシュバッハの滝はガスタイク村からも眺められるので、泥んこになってまで登ることはなかったなぁ…と反省(笑)。


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