「夫婦で歩くスイスアルプス」

モンテ・ガンバローニョ ハイキング

2006年5月4日。下り坂の気圧配置にもかかわらず朝から快晴だったので、再び手頃な山に登ることにしました。目指すはマッジョーレ湖の南岸に聳える山、モンテ・ガンバローニョ。何か元気が出てくるような名前の山じゃないですか(笑)。
ロカルノ港から定期船で対岸のマガディーノに渡り、そこからマイクロバス型のポストバスに乗り換えます。乗客は我が家の他にはインデミニ村の郵便局へ出勤する小母さん1人のみ。バスはマッジョーレ湖を見下ろす眺めの良い村々を縫うようにして斜面をぐんぐん上り、海抜1,395mの峠アルペ・ディ・ネッジャに到着しました。朝靄に霞む下界の上に山々が並んで幻想的な美しさです。峠のレストランはこの時期未だ営業していない様子で、早速に山頂を目指して歩き始めます。

正面の山頂に小さく十字架が光っていますが、登山道は直接山頂を目指さず、左回りに山腹を巻いて緩やかに登っていきます。

登ってきた道を振り返ったところです。背後の山はモンテ・タマーロ(1,962m)。こちら側との間の谷間がバスを降りたアルペ・ディ・ネッジャになります。当初はこのモンテ・タマーロに登る検討もしていましたが(遥か左後方に見えるアルペ・フォッパまでロープウェイが通じています)、ご覧のとおり未だ残雪が相当あるので自重しました。

日当たりの良い東側斜面には、岩の間にプリムラ・ヒルスタが可愛い花を沢山咲かせていました。

登山道の脇にはあちこちにクロッカスが顔を出していて、目を楽しませてくれます。

「の」の字を逆に書くような道程を辿り、1時間余りで大きな十字架の立つ頂上に到着しました。この十字架、2000年9月に建てられた比較的新しいもののようです。

十字架付近からはマッジョーレ湖とその北側にずらっと並ぶ山々を一望できます。写真はマッジャ河口の三角州で、川を挟んで左側がアスコーナ、右側がロカルノの街です。三角州の対岸の手前の町はサン・ナッザーロ。マガディーノからのポストバスは一旦このサン・ナッザーロまで湖岸を走ってから斜面を上り始めます。町の上手に花いっぱいの植物園があります。

十字架の立つ場所を頂上と書きましたが、実はその背後にあるこちらの方が本当の頂上のようです(標高1,734m)。農家小屋の脇を通ってすぐに到着しますが、頂上には残念ながら三角点標識以外に何もありません。

山頂からそのまま西側の斜面を下ります。正面にマッジョーレ湖を眺めながらの快適な下り道で、途中に気分の良いベンチも置かれています。対岸の町はブリッサーゴで、その背後に聳えるのはグリドーネ山(2,188m)です。

広葉樹林帯まで下ってくると、間もなくアルペ・チェドゥッロの立派な小屋が現れます。未だ無人でしたが、夏のシーズン中はチーズや飲み物を出してくれるようです。

更に明るい森の斜面を歩いていくと、サンタ・アンナ礼拝堂に出ます。綺麗な礼拝堂の裏手半分が山小屋になっていて、ちゃんと暖炉やベッドもありました。ということは…そうです、少し離れた場所にトイレがありました! スッキリしたカミさんが手前の案内標識を見て曰く「サン・ナッザーロまで2時間15分かぁ…歩いてみる?」 …あのー、ここからまだ標高差1,100m以上あるんですけど…。珍しく私の側から制して、おとなしくインデミニ村への道(標識では所要45分)を進みます。

ガンバローニョ山の南斜面を回り込むと、道が二手に分かれます。上り道を行けば出発点のアルペ・ディ・ネッジャに戻るガンバローニョ山一周コース。インデミニ村へは下り道の方を辿ります。

やがて眼下に舗装道路が見えてきて、インデミニ村に到着です。急斜面に石造りの家々が建ち並んでいて、想像したよりもずっと大きな集落です。村の周囲は桜が満開でした。バス停近くのレストランに入ったら、朝のバスの運転手さんと郵便局員さんに再会(みんなここで昼食だったんですね)。バジルの香りに誘われて我が家もスパゲッティを頼みましたが、すぐそこがイタリア国境だというのに、パスタはしっかりスイス風(つまり茹で過ぎ…笑)。

インデミニ村の立派な教会やミニ博物館等を訪れて時間を潰し、再び村始発のポストバスに乗ってマガディーノに戻りました。写真は、ロカルノに向かう帰りの定期船から眺めたガンバローニョ地方の村々。右手の山が登頂したモンテ・ガンバローニョです。


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