「夫婦で歩くスイスアルプス」

ビス・ド・クラヴォー ハイキング

2007年9月18日。今日は朝から雨でしたが、朝食を摂っているうちに明るくなってきました。南に見えるヴァリス・アルプスの山々にも薄日が差してきたので、やはり出掛けることにします。モンタナのアパートからメインストリートを西へ。写真のグルノン湖畔を通ってクラン地区に入っていきます。

クランの中心街を抜けて遊歩道に入り、牧草地と林の中を下ってイコーニュの村までやって来ました。あいにく雨が再び激しく降り始めたので、バス停のベンチでスパッツを付けました。

イコーニュ村の南から「ビス・ド・クラヴォーの道」と標識のある林道に入りますが、道は森の中をうねうねと下ってなかなか谷底に着きません。ようやくラ・リエーヌ川の橋を渡ると、対岸のレ・コンブの森を少し登り返します。意外なアップダウンにカミさんの機嫌が気になりますが(笑)、苔が美しい森です。

道はラ・リエーヌ川の峡谷に入り、岩をくり抜いた狭いトンネルを抜けると、左手がどんどん深い谷になっていきます。

谷の対岸には垂直に切れ落ちている断崖が眺められます。よく見ると、その真ん中を横切って道が付けられているのが分かります。対岸にもビス・ド・シヨナンと呼ばれる用水路が引かれているんですね。それにしても凄い場所に水を通したものです。

大きな導管が現れ、ここからクラヴォーのビス(用水路)が始まっていました。谷底のラ・リエーヌ川からポンプで水を汲み上げているのかと思いましたが実は逆で、谷底にある水力発電所へ一部の水を落としているものらしいです。クラヴォーのビスはここより上流のラ・リエーヌ川から水を取っていて、ここまでは地中を流れているので気付かなかっただけのようです。

周囲が広葉樹の明るい森に変わり、ビスに沿った平坦な道を快適に進んでいきます。

森が途切れ、農家小屋が点在するツァンポンに出てきました。ここから先はずっと葡萄畑の中を進みます。

シャスラー種と思われる白葡萄。これがヴァレー州名産のファンダンになるんでしょうか。

赤い葡萄も沢山あって、どれもたわわに実を付けています。

ラ・リエーヌ川の谷底から扇状に広がる斜面が一面の葡萄畑です。ビスは斜面を横切るように続いていて、それに沿って遊歩道が続いていますが、途中で折れた樹木が道を塞いで進めない場所があり、葡萄畑の中を迂回するのが大変でした。

ビスには金属製の樋も使われています。

歩いてきた斜面を振り返って。谷の奥から葡萄畑の斜面を巻くように歩いてきました。

ラ・リエーヌ川がローヌ谷へ出た場所にサン・レオナールの町を見下ろします。

ビス沿いの道はローヌ谷の北斜面に広がる葡萄畑の中を西へ続いています。前方に見えるのはエラン谷の入口で、その手前(写真右)に見える家並みはブラモワ村。

ビス・ド・クラヴォー沿いの道はシオンの街の北側まで続いていますが、前を歩いていたカミさんがモリニョン村の手前から誤って車道を進んだので、シオンの手前でローヌ河畔に下りてきてしまいました。写真正面がトゥルビヨンの丘。右手の車道に沿ってシオン市街へ向かいます。

シオン旧市街のグラン・ポン通りに面したカフェで昼食にしました。汚れた靴で入るのがちょっと憚られましたが、店員の洗練された応対が嬉しく、都会にやってきたことを実感します。

昼食を楽しんでいるうちに天気が回復して青空が覗いてきました。古城址のあるトゥルビヨンの丘に登ることにします。

トゥルビヨンの丘から眺めるノートル・ダム・ド・ヴァレール教会とシオン市街。正面奥の山の斜面に我が家が滞在していたオート・ナンダ村が見えています。

ノートル・ダム・ド・ヴァレール教会内部。壁に見えるのは、演奏可能なものでは世界最古とされる「燕の巣」型オルガン。ちょうどツアーの一団が来ていて、写真手前の禿げ頭の小父さんがオルガンの演奏席に上り、何曲か演奏してくれました。


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