「夫婦で歩くスイスアルプス」

モンテ・モーロ峠 ハイキング

2009年7月20日。サース・フェーの夜明けは快晴で、予報によれば天候が安定しているのは明日までとのことでしたので、狙っていたモンテ・モーロ峠へのハイキングを敢行することにしました。ところが、サース・グルントでマットマルク行きのポストバスに乗り換えた直後、フィスプからのバスが到着し、そこから見覚えのある日本人紳士が我が家の乗ったバスにやってくるではありませんか。目を疑いましたが、何と「いぶれす」さまと2年連続の遭遇と相成りました。昨年はグラン・サン・ベルナール峠までのバス車内でしかお話できませんでしたが、今回はご一緒にハイキングさせていただける幸運に恵まれました。バスはマットマルク・ダムの西縁に到着し、ダムに上るとマットマルク湖が眼前に広がります。正面奥の山がイタリア国境のモンテ・モーロ(2,985m)で、目指す峠はその左の鞍部になります(→拡大写真)。

ダムの上を東へ渡り、湖の東岸を奥へ向かって歩いていくことにしました。対岸に聳えるのはシュヴァルツベルクの峰々で、その右にアラリン氷河の末端が覗いています。

シュヴァルツベルクの左にはシュヴァルツベルク氷河の末端が眺められます。

東岸は未だ日が当らず肌寒いですが、「いぶれす」さまとの会話を楽しみつつ平坦な道を快適に進みます。私は草花の写真を撮るのに忙しく、2人の歩調に遅れがち…。正面の山は右がロートホルン(3,230m)、中央がゼーヴィーネンホルン(3,205m)で、左がモンテ・モーロ。目指す峠はその左ですから、写真の左端辺りになります。

ロートホルンの手前に覗くゼーヴィーネン氷河の末端。

マットマルク人造湖の南端まで歩いてきました。ここから谷川に沿って登り道が始まります。

ひと登りすると、テリボーデンという平原に出ます。正面のテリ谷には残雪がいっぱいですが、モンテ・モーロ峠への道は谷の右側の岩壁をトラバースしながら登っていきます。

雪渓のトラバースは踏み跡を辿れば大丈夫ですが、ちょっと怖いです。カミさんは写真より一段下の雪渓で見事に滑落してました(危険な場所ではなかったですが)。写真後方に見えているのが出発点のマットマルク人造湖。

マットマルク人造湖の向こうに覗くビーチホルン(3,934m)。その印象的な姿は歩いてきたマットマルク湖の東岸からも眺めることができました。写真右端はレッチェンターラー・ブライトホルン(3,785m)で、その左はブライトラウイホルン(3,655m)です。

登り道からテリ谷の奥を一望した図。谷奥はテリボーデン氷河になっている筈ですが、残雪が多すぎて区別がつきませんね。

岩壁のトラバースを終えて写真の雪原を横断した先が目指すモンテ・モーロ峠です。残念ながら峠付近だけ雲に覆われて視界が晴れません。

イタリアとの国境になるモンテ・モーロ峠(海抜2,868m)に到着しました。岩の上に金色のマリア像が建っています。

モンテ・モーロ峠のイタリア側を撮った写真です。右奥がマクニャーガ村へ下るロープウェイ駅ですが、点検修理中で運休でした。写真左は山小屋レストランですが、視界が悪くて初めはその存在に気付かず、作業資材の転がるロープウェイ駅で持参したおにぎりを食べました(「いぶれす」さまからお手製のサンドウィッチも分けていただき、美味しかったです)。食後に山小屋を見つけ、ストーブの灯るレストランで暖かい飲み物をいただきました。

ロープウェイ駅からアンザスカ谷を見下ろして。谷奥を流れ下るのがベルヴェデーレ氷河で、その奥にモンテ・ローザが聳えている筈なんですが、残念ながら雲に阻まれて見えません。

山小屋付近から眺めたモンテ・モーロ峠。岩山の向こう側がスイス領です。

登ってきた道を辿って帰路につきます。峠から下りてくると再び頭上に青空が広がってきます。写真左上の山はシュトラールホルン(4,190m)で、その右肩がフルフトホルン(3,795m)、写真中央がアラリンホルン(4,027m)です。

マットマルク湖畔に戻ってきました。帰りは湖の西岸を歩くことにします。こちらは舗装道路です。

湖の対岸に聳える山は、これもイタリア国境の山シュペッヒホルン(3,189m)。

途中で幾つかトンネルを通ります。

出発点のダム西縁に無事到着。バスの出発時刻までの間、バス停脇に建つ真新しいレストランに入ってビールで乾杯。モンテ・モーロ峠の池の畔から撮った美しいモンテ・ローザの絵葉書を「いぶれす」さまに買っていただき、おまけにビールもご馳走になってしまいました(「いぶれす」さま、どうもすみません)。写真中央の高峰はヴァイスミース(4,023m)です。

帰国後、マットマルク・ダムから出発前に撮ったモンテ・モーロの写真を良く見ると、その左にマリア像の建つ峠(写真左端)がしっかり写っていました。やはり、もっと早い時間に峠へ登っていたら、モンテ・ローザを眺められたんでしょうね。


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