「夫婦で歩くスイスアルプス」

ティンメルス谷ハイキング

2014年9月14日。ゼルデン村からオーバーグルグル行きの始発バスに乗り、イタリアのモース・イン・パッサイアー(モーゾ・イン・パッシーリア)まで行くバスに乗り換えてティンメルスヨッホ峠(伊語名ロンボ峠、海抜2,509m)へやってきました。まだ8時台で、峠は強風が吹き付けて凍えるような寒さ。「何でこんな場所に来たのよ」と言わんばかりのカミさんの表情です(苦笑)。

ティンメルスヨッホ峠はオーストリアとイタリアの国境です。写真右の建物がレストランですが、未だ営業していない様子でした。

車道を南へ渡ったところに、東に向かって突き出した奇怪な建物があります。

建物の内部は無人ですが、ティンメルスヨッホ峠越え道路の建設の歴史等が展示してあります(入場無料)。奥からはガラス越しにイタリア方面の眺望を楽しめます。今日は雲が多くて遠くの山々はよく見えませんでしたが、寒風を避けられただけでも良かったです(笑)。

ティンメルスヨッホ峠からイタリア側へ下って行く道路。写真右上の頂はバンカーヨッホ(伊語名モンテ・パンカ、2,833m)。写真左端の山がラッチンガー・ヴァイセン(2,822m)で、その右隣にツェルマイトシュピッツェ(2,798m)、車道が見えなくなっていく後方がホーエ・クロイツシュピッツェ(伊語名プンタ・アルタクローチェ、2,743m)です。

ティンメルスヨッホ峠の西側に間近に聳えるバンカー・キルヒェンコーゲル(3,115m)。

ティンメルスヨッホ峠の北側の尾根にあった面白いケルン?と椅子のオブジェ?。

ティンメルス谷の北斜面に付けられた遊歩道を辿って谷を下ります。谷底に見えている車道がバスで上ってきた道です。

やがて遊歩道は谷底へ下り、ティンメルスバッハ川の河岸を進んでいきます。正面にゼルデン村西方の山々が並んで見えます。左端の尖峰がオイセレ・シュヴァルツェ・シュナイト(3,255m)、雲の右側がロープウェイが通じているガイスラッハコーゲル(3,056m)、中央右寄りの白い山がプイトコーゲル(3,345m)、写真右端がホーエ・ガイゲ(3,393m)です。行く手に「密輸者展示館」が見えてきました。

プイトコーゲルのズームアップ。

「密輸者展示館(シュムグラー)」。人型の入口からコンクリートブロック状の建物内部に入ると(ここも無人・無料)、かつてティンメルスヨッホ峠を越えて行われていたらしい密輸に関する展示があります。遊歩道と車道とティンメルスバッハ川が出合う場所で、徒歩や自転車で峠を目指して登ってくる人々の格好の休憩場所になっています。

「密輸者展示館」の前で車道を北側へ渡り、引き続きティンメルスバッハ川沿いに下ります。

小さな木橋でティンメルスバッハ川の左岸へ渡った辺りに羊の群れがいました。天気は良くなって気温も上がってきたんですが、遊歩道はこの辺りから牛の足跡と真新しい「落し物」がいっぱいで、歩きにくくなってきました。今日はティンメルス谷に放牧されていた牛達を谷底の村へ下ろす「アルムアプトリープ」の日なんですが、どうやら牛達の後を追って下る羽目になってしまったようです。

左岸の道を直進すれば「(バス停のある)ザーネシュテューバールまで30分」との案内標識がありましたが、我が家は木橋を渡って右岸の道を下りました。引き続き牛の後追いハイキングです。樹林帯に入ると道がぬかるんでいて、カミさんも私も見事に1回ずつ転倒してしまいました。あーあ、泥だらけ…。

ツヴィーゼルシュタイン村の上手まで下ってきて、ようやく牛達の群れに追いつきました。民族衣装を着た牛追いの人達もここで休憩していて、出番の時刻を待っているようでした。

ツヴィーゼルシュタイン村に到着。ティンメルスヨッホ峠から1,000m余りの標高差を下ってきました。ここはエッツ谷の分岐点で、写真中央奥へ延びているのがフェント谷、左手へ始まるのがグルグル谷です。

ツヴィーゼルシュタイン村の中心にある広場では村人や観光客が集まって歓談していました。楽団が賑やかな音楽を奏で、食べ物や羊毛製品の露店も出ていてお祭りの雰囲気です。我が家も雛鶏のローストとラドラー(ビールのレモネード割り)を買って長椅子に座り、昼食を楽しみました。

やがて広場近くの路上でアコーディオンの演奏に合わせてフォークダンスが始まりました。

山から牛達が村人と一緒に続々と下ってきました。

牛達は頭に立派な飾り物を付けてもらっています。

可愛い子供達も一緒に行進。観光客のリクエストに応えてポーズをとっていました。

男達が長い鞭(ゴアスル?)を振り回してパン!パン!と大きな破裂音をさせながら下ってきます。この音で牛達を追うのでしょうか、なかなかの迫力でした。

広場の脇に着飾った牛達が勢揃いしたところで「アルムアプトリープ」祭りは一段落。広場前の停留所からバスに乗ってゼルデン村のアパートに戻り、汚れた衣服の洗濯に精を出しました。


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