「夫婦で歩くスイスアルプス」

セガンティーニ小屋周辺ハイキング

2013年9月19日。今朝も小雨が降ってますが、天気の回復を祈ってムオッタス・ムラーユに上ることにしました。サメーダン村発のバスや電車はケーブルカーの発車時刻と待ち合せが良くない感じでしたので、サメーダン村から歩いて向かうことにしました。サメーダン駅の南側でイン川を渡り、鉄道線路を右手に見ながら草原の中の道を南へ進みます。写真後方の家並みがサメーダン村です。

アクラ・バルドゥン橋の袂でフラッツ川に出合います。橋を渡らずに右折し、土手を南下します。行く手に見える山はロザッチ山塊で、その左がピッツ・チャルチャーニュ(3,154m)です。

線路に出合ったらその手前でフラッツ川を渡り、線路沿いに進んでプント・ムラーユ駅へ。静かな無人駅です。

プント・ムラーユ駅から見上げるムオッタス・ムラーユの山上駅(2,456m)。

プント・ムラーユ駅の隣に建つケーブルカーの山麓駅。サメーダン村からここまで思ったよりも遠く(1時間近くかかりました)、乗ろうと思っていた便に結局乗れませんでした。仕方なく30分後の次の便を待ちます。

ムオッタス・ムラーユに上ると小雪が舞っていました。山上駅に併設されたホテル・レストラン(写真右)は瀟洒に改装されていて、その上手に幾つかの芸術作品が点在していました。写真はティモ・リンドナーという芸術家がケーブルカーの開業100周年を記念して2007年に製作した「イル・グオット(=しずく)」という作品。これらの芸術作品や「世界一正確な日時計」等を巡る遊歩道「センダ・ディンシュピラツィウン(=インスピレーションの小道)」が付けられていて、結構楽しめました。

ムオッタス・ムラーユから眺めるイン川上流の湖沼群。右手前がサン・モリッツ湖とサン・モリッツの街、写真中央がチャンプフェール湖、その左奥にシルヴァプラーナ湖、更にその奥にシルス村を挟んでシルス湖。左手前はシュターツ湖です。

当初は直接セガンティーニ小屋を目指して登るつもりでしたが、ケーブルカー乗場で貰ってきたパンフレットの地図を見ながらカミさんが「この奥にある湖へ寄ってみない?」と言い出しました。ちょうど「インスピレーションの小道」の奥から道が続いています。途中までは冬に「哲学者の道」として整備されているコースです。ムラーユ谷の北側斜面を谷奥に向かって進みます。写真右の尖峰はピッツ・ムラーユ(3,157m)、左の山はピッツ・ヴァドレット(3,199m)です。

ピッツ・ヴァドレットの麓にあるムラーユ湖(海抜2,715m)に到着。写真右端の鞍部はムラーユ峠(2,891m)で、これを越えるとチャムエラ谷へ至ります。

ムラーユ湖畔から南に眺めるピッツ・ムラーユ。左の氷河のように見える谷の奥はピッツ・クリュックス(3,130m)です。幸いお天気が急速に回復してきました。

ムラーユ湖から折り返すようにムラーユ谷の底を西へ下ります。行く手の正面に見えている高峰はピッツ・オート(3,246m)。写真右上の建物がムオッタス・ムラーユの山岳ホテル(今日のスタート地点)で、左の山腹をトラバースして奥へ続いている道がウンター・シャーフベルク方面へのハイキングコースです。我が家はその手前の分岐を左折してシャーフベルク(ロマンシュ語名ムント・ダ・ラ・ベシュチャ)の山頂を目指します。

登ってきたシャーフベルクの北側斜面とムラーユ谷を見下ろして。斜面の上部はガレていましたが、歩きやすい道が整備されていました。ムラーユ谷の奥の鞍部がムラーユ峠ですが、その手前のムラーユ湖はここからでは見えません。ムラーユ峠の左がピッツ・ヴァドレット、写真右上はピッツ・ムラーユとその右手前にラス・ソウルス(3,008m)です。

ピッツ・ヴァドレット(右のピーク)方面のアップ。中央の頂はピッツ・ダ・ラス・シュテルラス(3,175m)、左はイル・コルン(別名コルン・ヴァドレット、3,169m)です。

シャーフベルクの山頂付近から北側の眺望。写真中央の高峰がピッツ・ケッシュ(3,418m)で、その左はピッツ・ピシャ(3,171m)を挟んで白い角錐形のピッツ・ブライズン(3,200m)。右はピッツ・ヴァル・ミュラ(3,162m)とその右にピッツ・ヴィロウラ(3,062m)です。手前はムオッタス・ムラーユの山頂(2,568m)で、写真左に見える「イル・グオット」のモニュメント(小さな白い点)から右へ続いている上手の道が先程歩いてきたムラーユ湖へのコース、写真右下へ下っているのが最も一般的なハイキングコースです。

シャーフベルク山頂に建つセガンティーニ小屋(2,731m)に到着。南向きのテラス席で多くのハイカーがお茶していました。我が家もコーヒーとエンガディナー・ヌストルテ(ナッツ入りケーキ)を頼んで休憩することにします。

鮮やかな赤い丸テーブルにスイス国旗と草花が飾られ、画家セガンティーニが命を落とした場所とは思えない華やかな雰囲気になっていました。その向こうに並ぶのはベルニナ山群。写真右端から順に、ピッツ・モルテラッチ(3,751m)、最高峰のピッツ・ベルニナ(4,049m)、クラシュ・タギュッツァ(3,854m)、ピッツ・アルジェント(3,945m)、ピッツ・ツポー(3,996m)、ベッラヴィスタ連峰(3,922m)、ピッツ・パリュー連峰(3,900m)、ピッツ・カンブレナ(3,606m)と続き、写真左端がピッツ・ダルラス(3,375m)です。ピッツ・パリュー連峰の左手前に見える黒い頂は、ディアヴォレッツァ展望台に近いムント・ペルス(3,207m)。

ピッツ・ベルニナの右手にはロゼック谷の全貌が見下ろせます。手前はポントレジーナ村。谷奥に並ぶ山々は、写真左端がピッツ・ロゼック(3,937m)とその右手前にピッツ・チェルヴァ(3,546m)の大きな三角、ラ・セッラ(3,584m)とピッツ・グリュシャイント(3,594m)を経て、ロゼック氷河末端の湖の後方にラ・ムオンジャ(3,415m)とその右にイル・チャピューチン(3,386m)、谷の右側はピッツ・ムルテル(3,433m)とその右手前に大きくロザッチ山塊(3,188m)です。

サン・モリッツ方面の眺望。サン・モリッツ・ドルフ(サン・モリッツ湖の右の街)の後方の山がピッツ・ユリア(3,380m)で、その左はピッツ・アルバーナ(3,100m)。サン・モリッツ・バート(サン・モリッツ湖の左の街)の後方に見える尖った頂はピッツ・ポラシン(3,013m)、その左奥がピッツ・ラグレフ(3,165m)です。

ピッツ・ユリアのズームアップ。

西に見下ろすツェレリーナ村(左)とサメーダン村(右)。ツェレリーナ村の下方手前がケーブルカー山麓駅のあるプント・ムラーユです。今朝歩いてきたサメーダン〜プント・ムラーユ間の線路沿いの道も見えています。後方の山々は中央右寄りがピッツ・オート、中央左寄りがピッツ・サルヴェール(3,161m)、その左にピッツ・グリューナ(3,106m)、ピッツ・コルヴィリア(3,083m)とその背後にピッツ・カルデラス(3,397m)の頭、ピッツ・ベーヴァー(3,230m)、ピッツ・グリッシュ(3,098m)、ピッツ・シュラッタイン(3,004m)と続き、写真左端がピッツ・ナイール(3,057m)とその右後方にピッツ・スルゴンダ(3,196m)です。

ピッツ・オートのズームアップ。右の尖った支峰はラス・セット・レーザス(3,044m)、左の支峰はピッツ・ダ・ラ・フンタウナ(3,092m)です。

セガンティーニ小屋から尾根の南側を東へトラバースする「シュタインボックの道」に入ります。写真は振り返ってセガンティーニ小屋とピッツ・オートを撮ったもの。写真左端に見えているピッツ・サルヴェールの右奥の頂はピッツ・マルシュ(3,123m)です。

アルプ・ラングワルトへ直接下る道の途中に建設中の小屋が見えましたが、ハイカー用の施設じゃないかも知れません。この道を右手に分け、トラバース道を直進します。

ガレた斜面のトラバースを抜け、再び歩きやすい道になったところです。ピッツ・ラングワルト(写真左上、3,262m)が近づいてきました。写真右の山はピッツ・アルブリス(3,166m)です。

ピッツ・アルブリスのズームアップ。麓に小さくラングワルト湖が見えています。

ベルニナ山群方面はモルテラッチ氷河の全容を眺められるようになってきました。その手前の尾根上にパラディス小屋が見えます。

モルテラッチ氷河末端のズームアップ。

ピッツ・ラングワルトの直下までやってきました。右の肩にゲオルギー小屋が見えます。当初は登頂できないかと考えていましたが、実際に見上げるとそんな元気はとても出てきませんでした(笑)。

ピッツ・ラングワルトへの登山道を左に分け、ラングワルト谷の奥へ下ります。ハイカーも少ないこの辺りではマーモットを沢山見掛けました。近づいても余り逃げようとせず、可愛い姿を楽しませてくれました。写真左の方向へ登ればラングワルト湖畔に行けますが、立ち寄りませんでした。

ラングワルト川の上流を渡り、パラディスの尾根に登ります。右手に見下ろすラングワルト谷と、その向こうに聳えるピッツ・ラングワルト。

ピッツ・ラングワルトの左手にはラス・ソウルス等の峰々。写真左端がセガンティニー小屋の建つシャーフベルクです。そこから写真右上へ続く「シュタインボックの道」を歩いてきました。

パラディス小屋(海抜2,540m)に到着。

パラディス小屋からはモルテラッチ氷河から手前のベルニナ谷までを一望できます。ベルニナ山群を眺めるのに絶好のロケーションです。

パラディスの尾根上を西へ進んだ後、再びラングワルト谷へ下ります。

ラングワルト川の右岸に渡り、下流へ向かいます。行く手の崖の向こうにゴール地点のアルプ・ラングワルトが見えてきました。谷の向こうにピッツ・アルバーナやピッツ・ユリアから右端のピッツ・オートまで山々が綺麗に並んでいます。

アルプ・ラングワルトのチェアリフト乗場(海抜2,326m)に到着。

チェアリフト乗場に併設されたレストランのテラスでカミさんが白ワイン、私はビールを飲みながらゆっくり休憩しました。

チェアリフトに乗ってポントレジーナ村へ下り、電車でサメーダン村に帰りました。


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