直線上に配置

おすすめハイキングコース (40)

【ツェル・アム・ゼー周辺(オーストリア)】


フォルダーカーザー峡谷往復 Vorderkaserklamm 〜 ザイゼンベルク峡谷周遊 Seisenbergklamm (約4時間)
ツェル・アム・ゼーの北にあるザールフェルデン村Saalfelden am Steinernen Meerから北へ流れ下るザールアッハ川Saalachの谷は、両側に急斜面の山肌が連なり、氷河期に形成されたU字谷の特徴的な景観を味わえる場所です。ザールアッハ谷へ流れ込む支谷は深い峡谷になっているところが多く、その一部を訪ね歩くのがこのコースです。ツェル・アム・ゼーから1時間毎に出ているザルツブルク行き(一部の便はドイツ国境近くのウンケン村Unken止まり)路線バス(260番)に約45分間乗り、ヴァイスバッハ村Weißbach bei Loferを過ぎて2つ目の停留所「フォルダーカーザークラム」で下車します。バス停から南西方向へ延びる谷間の遊歩道に入り、アスレチック広場を経てシュットアッハ川Schüttach沿いを40分ほど進むと、フォルダーカーザーコップフの北麓にカフェと「フォルダーカーザー峡谷」の入口があります。遊歩道は山の斜面を少し登ってから木製の橋となって峡谷に入り、エーデンバッハ川Ödenbachの両側に迫る垂直の岩壁の間を進むと最奥部の滝の先で峡谷の上部へ抜け、回遊して峡谷の手前へ戻ってきます。来た道を辿ってバス停まで戻ったら、国道に沿った自転車道を通ってヴァイスバッハ村方面へ。途中に「ランプレヒト洞窟Lamprechtshöhle」があり、入口の脇にレストランもあるので立ち寄っていきましょう。洞窟から先は国道の脇を進み、ヴァイスバッハ村の手前で東へ入れば「ザイゼンベルク峡谷」入口があります。ヒンター谷Hintertalを流れ下るヴァイスバッハ川を遡っていくと、こちらも深いシュルフト地形になって地底渓谷のような景観(写真)を楽しめます。峡谷の上手で谷の南側へ渡れば、周囲の山々の眺望を楽しみながらヴァイスバッハ村へ下れます。ヴァイスバッハはごく小さな村ですが、雰囲気の良いカフェやホテル・レストランもあるので、帰りのバスの待ち時間をゆっくりお過ごしください。(2019年9月)


アジッツバーン山上駅 Bergstation Asitzbahn 〜 グローサー・アジッツ山頂 Großer Asitz 〜 ビーベルク Biberg (約4時間半)
ツェル・アム・ゼーの北隣の村マイスホーフェンMaishofenからは上記ザールアッハ川の上流にあたるグレム谷Glemmtalが西へ長く延びていて、その北側の尾根上を歩く「ザールアッハターラー・ヘーエンヴェークSaalachtaler Höhenweg」というハイキングコースがあります。一日で全部を縦走するのは無理ですが、中間地点に近いアジッツ山の肩までゴンドラリフトが通じているので、ここを起点にすれば比較的楽に半分を踏破できます(我が家は東半分のルートを歩きました)。ゴンドラリフト「アジッツバーンAsitzbahn」の乗場があるレオガング村Leogangには、ザールフェルデン村の郵便局前ターミナルPostamtでホッホフィルツェンHochfilzen行きバス(690番)に乗り換えて行きます(電車でも行けますが、バスの方が山麓駅の前に停留所があって便利です)。「アジッツバーン」の山上駅の脇には「アルテ・シュミーデAlte Schmiede」と「アジッツ・ブロイAsitzBräu」というレストランがあり、これらの前を通って広い草原の尾根を登ると貯水池のあるクライナー・アジッツKleiner Asitzで、そこからもう一登りすればグローサー・アジッツ山頂(写真)です。北側にローフェラー・シュタインベルゲ山塊からレオガンガー・シュタインベルゲ山塊を経てヴァッツマン等のベルヒテスガーデナー・アルペンに至る峰々、東側には遥かアンコーゲル方面、南にグロースグロックナーグロースヴェネーディガーを含むホーエ・タウエルンの高峰群、西にヴィルトゼーローダーガイスシュタイン等のキッツビューラー・アルペンという360度のパノラマを楽しんでから、南へ下るとすぐ「ザールアッハターラー・ヘーエンヴェーク」との分岐があります。長く歩きたくない方はここで右手へ進み、西に見えるヴィルデンカールコーゲルWildenkarkogelに登れば、その山頂かその先のコールマイスコップフKohlmaiskopfからゴンドラリフトでグレム谷のザールバッハ村Saalbachへ下れます。左手(東)の尾根を進むと、「ナトゥールキーノーNaturkino」という子供の遊び場を経てシャールベルクコーゲルScharbergkogel、更に小さな池の畔を通ってガイアーコーゲルGeierkogelに至ります。ここから一旦下って灌木帯の鞍部から登り返すとロッホアルムケップフルLochalmköpflで、更にハイダーベルクコーゲルHaiderbergkogelの北斜面を東進してドゥルヒェンコップフDurchenkopfへ。その先も尾根伝いに進めば展望塔のあるヴァイカースバッハー・ケップフルWeikersbacher Köpflを経由しますが、我が家は尾根の北側に付けられた林道を辿って山岳ホテル「ビーベルク」に出ました。ここでザールフェルデン村を見下ろしながら休憩した後、緩やかに下っていけばチェアリフト乗場とレストランのあるフッケンベルクHuggenbergです。チェアリフトに乗り込んでも良いですが、ローデルバーンRodelbahnという台車型の滑り台で下るのがオススメです(料金はチェアリフトと同額で、「アジッツバーン」の山麓駅でセット切符を買うことができます)。山麓駅から10分ほど歩くとツェル・アム・ゼー〜ザールフェルデン間の路線バスが通る停留所「ビーベルク」に出られます。(2019年9月)


シャットベルク東峰 Schattberg Ostgipfel 〜 シュテンマーコーゲル山頂 Stemmerkogel 〜 シャットベルク西峰 Schattberg Westgipfel (約2時間)
シャットベルクは上記グレム谷の村ザールバッハSaalbachの南にある山で、東峰・中央峰Mittelgipfel・西峰の3つの頂があり、ザールバッハ村から東峰山頂へ「シャットベルク・エクスプレスSchattberg X-press」、西隣のヒンターグレム村Hinterglemmから西峰山頂へ「ヴェストギプフェルバーンWestgipfelbahn」という2つのゴンドラリフトが通じているので、誰でも労なく登頂することができます。グレム谷にはツェル・アム・ゼー始発の直通ポストバス(680番)で行けます(ザールバッハ村ではゴンドラリフトと同名の停留所で、ヒンターグレム村では「ツヴェルファーコーゲルバーンZwölferkogelbahn」停留所で下車)。東峰山頂のリフト駅に隣接したレストラン「スカイ・レストSky Rest」の前から尾根伝いに西へ進み、中央峰の手前にある分岐から右手へ登れば西峰山頂まで40分ですが、我が家は分岐を左手へ進んで中央峰の南斜面をトラバースし、西峰から南へ延びる尾根上に出てそこからシュテンマーコーゲルに登りました。十字架が建つ狭い山頂(写真)はシャットベルクより僅かに高いだけですが、高度感のある眺望を楽しめます。山頂から南斜面を下り、そのまま尾根を南進すればホッホコーゲル方面へ至りますが、我が家は分岐で折り返してシュテンマーコーゲルの西斜面を北へ戻り、シャットベルク西峰へ登りました。西峰の広い山頂には立派な十字架と雰囲気の良いレストラン「ヴェストギプフェルヒュッテWestgipfelhütte」が建っていて、景色を眺めながらゆっくり過ごすのに最適です。コースを通じて北にローフェラー・シュタインベルゲ山塊からレオガンガー・シュタインベルゲ山塊を経てベルヒテスガーデナー・アルペン、東にホッホゴリングアンコーゲル、南にグロースグロックナーをはじめとするホーエ・タウエルンの主峰群、グロースヴェネーディガーツィラーターラー・アルペンを経て西にガイスシュタインビショフ等、360度のパノラマが広がっています。(2019年9月)


シュヴァルツエックアルム Schwarzeckalm 〜 フントシュタイン山頂 Hundstein 〜 トゥーマースバッハ Thumersbach (約5時間)
フントシュタインはツェル湖の東に広がるディーンテン山地の最高峰です。ツェル湖側から登ると標高差が大きいですが、ザールフェルデン駅始発のポストバス(620番)でマリーア・アルム村Maria Alm am Steinernen Meerの先にあるヒンターモースHintermoosへ行き、そこからチェアリフト「シュヴァルツエックアルムバーンSchwarzeckalmbahn(週3回の運行なので要注意)を利用すれば比較的楽に登頂することができます。シュタイナーネス・メーア山塊展望台になっている山上駅から尾根伝いの農道を辿って南へ緩やかに登ると、牧畜農家のマイヤールヒュッテMaierlhütteとシュライナーアルムSchreineralmを経てラングエックLangegg(別名アーベルクAberg)の頂に至ります。山頂直下にレストラン「ベルクシュタドルBergstadl」が建っていますので、ここで休憩してシュヴァルツエックアルムへ戻れば、往復2時間ほどの軽いハイキングになります。先へ進むなら、ラングエック山頂から南に見えるフントシュタインに向かって尾根伝いに進み、右手にシュヴァルベンヴァント、左手にホッホエック(別名ホッホカーゼルン)を眺めつつ斜面を登り切れば、左手にフントシュタイン湖を見下ろして間もなくフントシュタイン山頂に建つ「シュタッツァー小屋Statzer-Haus」(写真)に到着します。山頂小屋での食事とホーエ・タウエルンの高峰群を含む360度の眺望を楽しんだら、西側の尾根を下ります。オクセンコップフOchsenkopfの手前に分岐があり、ツェル湖畔まで歩くならどちらの道でも所要時間に差はありませんが、右手の道を選ぶとオクセンコップフンの北東斜面をトラバースした後でシェーンヴィースコップフを眺めながらタウベンバッハの谷を下り、トゥーマースバッハ村の奥からツェル・アム・ゼー行きのバスに乗れます。但し、最奥の停留所「レーエンブリュッケLehenbrücke」には一部のバスしか来ないので、待ち合せが悪ければ更に10分ほど先の「ミッターベルクヴェークMitterbergweg」停留所まで歩いてください。(2019年9月)


シュミッテンヘーエ山頂 Schmittenhöhe 〜 ゾンコーゲル Sonnkogel (約1時間)
シュミッテンヘーエはツェル・アム・ゼーの西側にある山で、ロープウェイ「シュミッテンヘーエバーンSchmittenhöhebahn」を使って誰でも上ることができ、草原の頂は手軽なハイキングの起点として最適です。ツェル中心街の郵便局前広場Postplatzから30分毎に出ている71番のバスに乗ると、5分で終点のロープウェイ乗場に着きます。ポルシェ社のデザインによるカッコ良いゴンドラに乗れば、山頂に建つ山岳ホテルまで直通です。山岳ホテル前のエリーザベト礼拝堂Elisabethkapelleにお参りした後、その隣の展望台からホーエ・タウエルンの高峰群を眺めましょう。幾つかあるハイキングルートのうち、最も楽に歩けるのが尾根を北へ向かうこのコースです。山岳ホテルの北側にある展望休憩所を抜け、レストラン「ホッホツェラー・アルムHochzeller-Alm」の前を通過して進むと、ザーラースバッハケップフルSalersbachköpflの頂(写真)から北西方向にグレム谷が見下ろせます。この先は緩やかな下り道で、最後に少し登り返してシュラムバッハコップフSchrambachkopfの山頂直下にあるレストラン「ゾンコーゲル」に到着します。隣接する乗場からチェアリフト「ゾンコーゲルバーンSonnkogelbahn」に乗り込むと、ホーエ・タウエルンの峰々を眺めつつ中腹にあるレストラン「ゾンアルムSonnalm」の前に下ってきて、その裏手からロープウェイ「ゾンネンアルムバーンSonnenalmbahn」に乗り換えれば、出発地点の「シュミッテンヘーエバーン」山麓駅前に戻ってきます。健脚な方はリフト類を使わずにツェルの町まで歩いて下ることもできます。(2019年9月)


シュミッテンヘーエ山頂 〜 マウラーコーゲル山頂 Maurerkogel 〜 ホッホゾンベルクアルム Hochsonnbergalm 〜 シティ・エクスプレス中間駅 CityXpress Mittelstation (約4時間)
上記のシュミッテンヘーエ山頂から南側へ下ります。レストラン「パノラーマPanorama」の手前にある分岐を右折し、鞍部に建つレストラン「エーダー小屋Eder Hütte」の前を通ってハーンコップフHahnkopf(別名ケッティングコップフKettingkopf)へ登り返します。そこから西へ続く草原の尾根は眺望が素晴らしく、南にグローセス・ヴィースバッハホルングロースグロックナーキッツシュタインホルン等のホーエ・タウエルンの主峰群、北にレオガンガー・シュタインベルゲ山塊等を眺めながら快適に進みます。ケッセルシャルテKesselscharteの分岐で右手の尾根道を選べばマウラーコーゲル山頂に至り、グラナートシュピッツェグロースヴェネーディガーも少し近づいて見えます。尾根道は更に西へ続いていて、シャットベルクSchattbergのゴンドラリフト駅まで歩き通すこともできますが、6時間を要するロングコースになるので朝一番に出発する必要があります。我が家はマウラーコーゲルの西斜面の分岐を左折して南へ下り、レストラン「ホッホゾンベルクアルム」(写真)のテラス席で昼食を楽しみました。ここからマウラーコーゲルの南斜面を東へトラバースするとケッセルシャルテで往路の道に出合いますので、後は来た道を戻ります。そのままシュミッテンヘーエ山頂へ戻れば3時間余りの行程ですが、我が家は「パノラーマ」レストラン前の分岐を直進しました。レストラン「ブライトエックアルムBreiteckalm」の前を下ってヒルシュコーゲルHirschkogelの北斜面からレストラン「グロックナーハウスGlocknerhaus」脇の貯水池を経由し、ゴンドラリフト「シティ・エクスプレス」の中間駅まで歩きました。ここから「シティ・エクスプレス」に乗れば、ツェルの中心街へ直接下ってきます。(2019年9月)


ウンターラント Unterland 〜 キッツロッホ峡谷 Kitzlochklamm 〜 タクセンバッハ Taxenbach (約2時間)
キッツロッホ峡谷は、ツェル・アム・ゼーの東に位置するタクセンバッハ村が入口です。電車でも行けますがタクセンバッハの鉄道駅は村からかなり離れているので、ラウリス谷行きの640番のバスを利用するのが良いでしょう。下流側から峡谷を往復するのが一般的ですが、我が家はラウリス谷のウンターラント村の手前にある「エンバッハ村入口Abzweigung Embach」停留所までバスで行き、上流側から下りました。停留所から橋を渡ってエンバッハ村方面への車道を進み、間もなく現れる分岐を左折してラウリザー・アッヘ川Rauriser Ache沿いの遊歩道に入ります。次第に谷が深く険しくなって峡谷の入口(無人)に到着し、ここで棚に並べられているヘルメットを被って岩壁に設置された木橋を下ります。遊歩道はトンネルの連続で、針のような岩塔「エーダーシュピッツEderspitz」の脇を通り抜けた後で長い階段(写真)を下り、最後にを見て下流側の入口に達します。峡谷内の遊歩道は有料なので、入口脇のカフェで入場料をお支払いください。舗装道路を北上するとフラウエン礼拝堂Frauenkapelleの脇で国道を渡り、タクセンバッハ村に入っていきます。国道に面した中学校の前からツェル・アム・ゼー行きのバスに乗れます。(2019年9月)


ラウリザー・ホッホアルム Rauriser Hochalm 〜 シュヴァルツヴァント山頂 Schwarzwand (往復約2時間)
上記の640番のバスでラウリス谷の中心、ラウリス村Raurisへ(ツェル・アム・ゼーから所要約1時間)。村の南端にある乗場からゴンドラリフト「ホッホアルムバーンHochalmbahn」に乗り込むと、中間駅のハイムアルムHeimalmを経て西側の山腹に建つレストラン「ホッホアルム」の直下まで引き上げてもらえます(ゴンドラリフトは週3回のみの運行なので要注意)。ここで山々を眺めながら食事したり猛禽類のショーを楽しむだけの来訪者も多い感じですが、西へ続く広い道を緩やかに登ると小さなを経由してシュヴァルツヴァントまで楽に登れます。お天気が良ければ山頂(写真)からはホーエ・タウエルンの高峰群を眺められる筈。途中にある分岐で右手の斜面を登ると、ライスラッハコップフReißrachkopfに登頂してから尾根伝いにシュヴァルツヴァントまで歩くこともできますので、往路でこのコースを辿って周回して歩くのもオススメです。(2019年9月)


アルピーンツェンター Alpincenter 〜 マイスコーゲル Maiskogel (約3時間)
ツェル・アム・ゼー周辺で乗物を利用して上れる最も高い展望台がキッツシュタインホルンKitzsteinhornです。ツェル市街から30分毎に出ているカプルン村Kaprun方面行きのバス(660番)に乗り、終点の1つ手前の停留所「キッツシュタインホルン・ベルクバーンKitzsteinhorn Bergbahn」で下車します。ゴンドラリフト「パノラーマバーンPanoramabahn」に乗り込み、急峻な斜面を上ってラングヴィートLangwiedという圏谷の奥にあるホイズルアルムHäuslalmへ。ここでチェアリフト「ラングヴィートバーンLangwiedbahn」に乗り換え、到着したアルピーンツェンターで更に大型ロープウェイの「ギプフェルバーンGipfelbahn」に乗り換えます。山上駅を出たところが「トップ・オブ・ザルツブルクTop of Salzburg」と名付けられた展望デッキで、西側ヴェネーディガー山群ツィラーターラー・アルペン、北にローフェラー・シュタインベルゲ山塊や、ツェル湖の背後に並ぶベルヒテスガーデナー・アルペンホッホケーニッヒ等が一望でき、盛夏や冬季には「グレッチャー・シャトルGletscher Shuttle」というケーブルカーで眼下のシュミーディンガー氷河の雪原まで下ることもできます。山上駅からトンネルを進むとキッツシュタインホルンの西稜に張り出した別の展望デッキがあり、こちらからはグロースヴェネーディガーシュミーディンガー氷河だけでなく、ベーレンコップフ連峰やオーストリア最高峰のグロースグロックナーヴァイスゼー方面も眺められます。
さてハイキングコースはロープウェイで戻ったアルピーンツェンターを起点に各方面へ延びていますが、代表的なものが「アレクサンダー・エンツィンガー・ヴェークAlexander Enzinger Weg」と呼ばれるこの尾根歩きコースです。先ずはチェアリフト「ラングヴィートバーン」のケーブルに沿ってクレフェルダー小屋Krefelder Hütteへ下り、そこからラングヴィートの圏谷の西斜面をトラバースして北へ進みます。後方にホーアー・テングローセス・ヴィースバッハホルンキッツシュタインホルン等の高峰を眺めつつ沢を幾つか渡ると、シュタンゲンヘーエStangenhöheの痩せ尾根(写真)に入ります。右手にカプルン谷を隔てた峰々、左手にシュタインカールアルムの圏谷、背後にキッツシュタインホルン等を眺めながら尾根を北へ一段下り、小さなピークを2つ越えます。2つ目のピークの東側をトラバースした先がショッパッハヘーエSchoppachhöheで、ここからやや急な下り道となってドライヴァルナーヘーエDreiwallnerhöhe、更に下るとグロースグロックナーが見えるレストラン「グロックナーブリックGlocknerblick」があり、そこからゴンドラリフト「マイスコーゲルバーンMaiskogelbahn」の山上駅は近いです。山上駅の隣にもレストラン「ザウロッホアルムSaulochalm」があります。「マイスコーゲルバーン」のゴンドラに乗り込めばカプルン村の西外れに下りてきて、山麓駅の近くに往路で通ったバス停があります。(2019年9月)


モーザーボーデン人造湖 Stausee Mooserboden 〜 フュルターモアールアルム Fürthermoaralm (約40分)
カプルン谷の奥には2つの人造湖があります。上記660番のバスで終点のケッセルファルKesselfallまで行き、窓口で切符を買ってシャトルバスPendelbusに乗り込むと、トンネルを抜けたところにレルヒヴァントLärchwandの巨大な斜行エレベーターSchrägaufzugが待っています。これで上ってから別のシャトルバスに乗り換え、ヴァッサーファルボーデン人造湖Stausee Wasserfallbodenの西岸にあるフュルターモアールアルムを経由してモーザー・ダムMoosersperreの西縁に到着します。ダムの上やモーザーボーデン湖畔から氷河を抱いた高峰群の眺めを楽しんだら、バス停脇に建つレストランの前から「草花探勝路Kräuterlehrpfad」と書かれたゲートを潜って遊歩道に入りましょう。ヴァッサーファルボーデン人造湖を見下ろしながら圏谷を巻いて緩やかに下る歩きやすい道で、距離も短いので家族連れに最適です。モーザー・ダム(写真)の方向を振り返ると、ベーレンコップフ氷河ヴィーリンガー氷河の末端を眺めることができます。放牧場を過ぎると間もなくフュルターモアールアルムに到着です。帰りのシャトルバスへ乗り込む前に、雰囲気の良いレストランで軽食休憩をどうぞ。(2019年9月)


ヴァイスゼー Weißsee 〜 カプルナー・テアル峠 Kapruner Törl 〜 モーザーボーデン人造湖 (約6時間半)
ヴァイスゼーはカプルン谷の西側に延びるシュトゥーバッハ谷Stubachtalの最奥にある人造湖です。ツェル・アム・ゼー駅から「ピンツガウ地方鉄道Pinzgauer Lokalbahn」のクリムルKrimml行き列車に30分余り乗り、ウッテンドルフUttendorf駅で下車してエンツィンガーボーデンEnzingerboden行きのポストバス(1日3往復しかないため要注意)に乗り換えます。終点バス停の前がヴァイスゼー行きのゴンドラリフト乗場で、ゴンドラに乗り込むと中間駅のグリューンゼーGrünseeを経て草原の斜面を上り、ヴァイスゼーの脇に建つ山岳ホテル「ルドルフス小屋Rudolfshütte」に到着します。ヴァイスゼーの湖畔へ下って湖面に映るゾンブリック氷河を眺めたら、東岸にあるメデルツMedelz行きチェアリフト乗場の前を通って東へ続く遊歩道へ。右手にエーデンヴィンケル氷河を眺めながら進むと間もなく岩壁に沿った急斜面の下りとなり、逆さ滝を眺められるアイスボーデン湖Eisbodenlackeの畔へ下ってきます。ここから北東方向にあるスキーリフト乗場を経由してタウエルンモース湖Tauernmoossee南端へ進み、その東斜面を登ります。斜面の上には湿原があり、西を振り返るとヴァイスゼーシュトゥーバッハー・ゾンブリック等の峰々が眺められます。東にはリッフル氷河を抱いた圏谷が間近に迫り、その北側斜面トーテンコップフを眺めつつ奥へ登り切ったところがカプルナー・テアル峠(写真)です。峠の東側はガレた急斜面で、ベーレンコップフ連峰クロッケリン等の高峰群、足許の草花を愛でながら下ると、カーリンガー氷河の末端でモーザーボーデン人造湖の南端に出てきます。後は湖岸の道を北岸のダムまで歩きますが、見た目よりも距離があって意外に時間が掛かります。ダムの上からはキッツシュタインホルンカーリンガー氷河クロッケリン氷河、眼下のヴァッサーファルボーデン人造湖等の眺望を楽しめ、その西縁にレストランもありますが、最終バスに乗り遅れないようご注意ください。ヴァイスゼーやカプルナー・テアル峠の東側にある急斜面は下るよりも登る方が易しい気がしましたし、もし最終便に乗り遅れてもルドルフス小屋に泊まれるという点で、我が家とは逆方向に歩く方が安全策かも知れません。(2019年9月)


ヴィルトコーゲル山頂周遊 Wildkogel (約2時間)
ヴィルトコーゲルはオーバーピンツガウ地方(ピンツガウ谷の上流地域)の村ノイキルヒェンNeukirchen am Großvenedigerの背後にある山で、冬は家族向けのスキーゲレンデとして賑わうところです。ツェル・アム・ゼーからノイキルヒェン村までは上記のクリムル行き「ピンツガウ地方鉄道」または670番のポストバスに乗って1時間余りです。村の東側にある乗場からゴンドラリフト「ヴィルトコーゲルバーンWildkogelbahn」に乗れば、山頂の西側の尾根まで引き上げてもらえます。山上駅の隣には展望レストランが建ち、北側には子供向けの「冒険広場」があります。ここから山頂へ直接登れば片道1時間弱ですが、我が家は先ず北側の圏谷東斜面グローサー・レッテンシュタイン山に向かって緩やかに下り、レストラン「ガイズル・ホッホアルムGeisl-Hochalm」の裏手から東の斜面を登りました。間もなくキッツビュール方面を望む幅広の尾根上に出て、これを南へ辿っていけば十字架ケルンが建つ山頂に達します。山頂からは北東にキッツビューラー・アルペン、南東にグロースグロックナーグローセス・ヴィースバッハホルン、南にはハーバッハ谷や2つのズルツバッハ谷の奥にグロースヴェネーディガー、西にはツィラーターラー・アルペンの山々が眺められ、360度の素晴らしい眺望です。山頂から南西麓に見えるレストラン「ヴィルトコーゲル・アルムWildkogel-Alm」(写真)に向かって下り、その隣の貯水池の脇を通って小山の南側の道を西へ進めば、「ヴィルトコーゲルバーン」の山上駅に戻ります。(2019年9月)


クリムル滝周遊 Krimmler Wasserfälle (約2時間)
オーバーピンツガウ地方の西端(最上流)に位置するクリムル村Krimmlの南にはクリムル滝があり、落差380mで欧州最大の滝とされています(但し、3つの滝に分かれていて各々の滝はそれほど大きくありません)。上記「ピンツガウ地方鉄道」の終点クリムル駅はクリムル村のかなり手前にあり、村や滝へ行くにはバスに乗り換える必要があります。上記670番のポストバスはクリムル滝の遊歩道入口まで直通で行きます。ツェル・アム・ゼーからの所要時間は1時間半余りで、鉄道+バスの方が少し速いです。遊歩道を進むと間もなくレストランや土産物店が並ぶ広場に出て、その奥に料金所があります。ジグザグの遊歩道を登ると先ず「下の滝Unterer Achenfall」の観瀑台があり、更に登ると「中の滝Mittlerer Achenfall」が現れます。その上手にレストラン「シェーンアンガールSchönangerl」が建っていて、その裏手の河原から「上の滝Oberer Achenfall」(写真)が眺められます。ここから「上の滝」近くの観瀑台までは更に片道30分掛かるので、我が家は行きませんでした。来た道を下って広場まで戻ったら、分岐を右折して「下の滝」の滝壺へ下るのをお忘れなく。有料だけあって遊歩道は綺麗に整備されていますが、レストラン「シェーンアンガール」まででも標高差200m余りの登り下りになるので、疲れるのが嫌な方はレストラン前までタクシーで上るか、「下の滝」周辺だけの観光に留める方が良いかも知れません。(2019年9月)



※ 各コースの標題末尾の括弧内は、歩行に要した時間です(施設の見学や休憩等に費やした時間を含んでいません)。

前のページへ  次のページへ  トップページへもどる

直線上に配置