【ツェルマット周辺】 ローテンボーデン Rotenboden 〜 リッフェル湖 Riffelsee 〜 リッフェルアルプ Riffelalp (約2時間) 地図 ツェルマットを訪れるツアーが必ず日程に組み入れる定番のハイキングコースです。先ずは登山電車で車窓からの景色を楽しみつつ(進行方向に向かって右側の座席がオススメ)、ゴルナーグラートGornergratへ。終点駅のすぐ前がブライトホルンやモンテ・ローザ連峰を間近に眺められるテラスになっていますが、上手に建つ山岳ホテルの脇を通り抜けて東側の展望台へ行けば、ミシャベル山群等も含めて360度の眺望が得られます。ハイキングはゴルナーグラート駅から直接歩き始めることもできますが、大半のツアーは電車でローテンボーデンまで1駅下ってから出発します。ローテンボーデン駅のすぐ下が「逆さマッターホルン」の写真で有名なリッフェル湖(写真)。湖というより小さな池の雰囲気ですが、意外にも魚が沢山泳いでいます。少し下にも更に小さめの池があります。そのまま下っていくと道が左右に分かれます。草花やマーモットに出会いたい方は、線路を見ながら下る右側の道を辿り、小さな礼拝堂やレストランのあるリッフェルベルクRiffelberg経由でリッフェルアルプへ下りましょう。ダイナミックな眺めを楽しみたい方は、左側の道を辿ると、ゴルナー氷河から流れる広くて深い谷を見下ろしながら(その遥か上方をトロッケナー・シュテークに向かうロープウェイの姿が印象的)、直接リッフェルアルプへ下りられます。リッフェルアルプから更にツェルマットまで歩いて戻ることもできますが、樹林帯に入って山の眺めが限定されますので、疲れていたら無理をせず電車に乗り込む方が良いでしょう。 ツェルマットに来たら外せないコースではありますが、日本人ツアーの御用達ルートなので、静かな山々に日本のオバサン達のガハハ笑いがこだまし、自分が何処の国にいるのか分からなくなることも…。(1996年9月・1998年6月) ゴルナーグラート Gornergrat 〜 グリューンゼー Grünsee 〜 リッフェルアルプ (約3時間) 地図 起点と終点は上記のコースとほぼ同じですが、より東側を下るルートで、ハイカーが少ないせいか「静寂の道Weg der Stille」と名付けられています。ゴルナーグラート駅から線路沿いに少し下った先の分岐を右折して軌道を潜り、スキーリフトの降り場を経由して眼下に見えるゴルナーグラート湖Gornergratseeの湖畔(写真)へ下ります。ここから北へ進むと、幾つかの池を巡った後でローゼンリッツRosenritzの急な北斜面を下ります。草花の多いブライトボーデンBreitbodenの草原を経て、フィンデル氷河を眺めつつリッツェングラートRitzengratの北斜面を下ればグリューンゼーに行き着きます。湖畔で休憩したら、西へ歩いてツェ・ゼーヴィーヌ小屋Ze Seewjinuの前を直進しましょう。ガレた斜面をトラバースした後で樹林帯に入り、これを抜ければ右手にツェルマット村を見下ろす道となって、間もなくリッフェルアルプ駅に到着します。(2018年8月) スネッカ Sunnegga 〜 フィンデルアルプ湖沼群周遊 Findelalp (約6時間) 地図 ゴルナーグラートの北側、ウンター・ロートホルンとの間に広がるフィンデルアルプには美しい湖が点在し、マッターホルン等の山々を映す姿を楽しみながら周遊することができます。先ずはツェルマットから地下ケーブルカーでスネッカ展望台に上り、ここから右手にライゼーLeiseeを見下ろしつつ、ブラウヘルトBlauherdに向かって尾根の南側斜面を緩やかに登り始めましょう。ブラウヘルトにはゴンドラリフトで行くこともできますが、この道は「マーモットの道Murmelweg」と名付けられていて、所々に4ヶ国語で書かれた(日本語もあります)木彫り付きの解説板が立ち、左手にオーバー・ガーベルホルンやヴァイスホルン等の山々も眺めながら歩ける、なかなか楽しい道です。ブラウヘルトの直下から先は「5湖巡りの道 5-Seenweg」とコース名が変わり、広々とした草原の中を東へ直進すると、やがて行く手にシュテリゼーStelliseeが現れます。湖畔を通って更に東へ緩やかに登っていくと、フルーアルプ小屋Fluhalphütteに到着。スネッカからここまで1時間半余りで、少し昼食には早いでしょうから、そのまま通り過ぎてもう少し東へ進みましょう。右手からモレーンが迫ってくる辺りに小さな池(写真)があり、その畔からモレーンの頂に登ると、眼下に迫力あるフィンデル氷河を一望できます。眺めを堪能したら来た道をフルーアルプ小屋まで戻り、テラスでマッターホルンを眺めながら昼食をどうぞ(ボリューム満点の定食が何種類も用意されています)。小屋から南側へ少し歩くとモレーンの尾根に出て、振り返るとリンプフィッシュホルンやシュトラールホルンとフィンデル氷河の眺めが綺麗。モレーンは左手が崩れてちょっと怖いですが、余り端を歩かないように注意して下っていくと、シュテリゼーからの湖巡りの広い道に合流します。直進して間もなく木立の美しいグリンジゼーGrindjisee。ここから引き返すようにモレーンの南側の道を進み、フィンデル氷河から流れ下る沢を越えて谷の南側斜面を下っていくとグリューンゼーです。この湖畔からはマッターホルンが半ば隠れてしまうので、オーバー・ガーベルホルンやツィナールロートホルン方面を背景にして眺めるのが良いでしょう。湖畔から少し西へ歩くとツェ・ゼーヴィーヌ小屋があり、直進すると登山電車のリッフェルアルプ駅に出られますが(上記のコースご参照)、ここから広い林道を辿って谷底へ下ります。谷を渡ってそのまま暫く進むと4番目の湖モージェゼーMosjesee。ここは人工の池で、水が白濁しているので山々を映せず、余り人気が無さそうです。通り過ぎて西へ下っていくとフィンデルンFindelnの村に到着。ここには何軒もレストランがありますが、中でも「シェ・ヴロニーChez Vrony」はテラスに何とも快適な背もたれ付のベンチが並んでいて、デザートを食べながらマッターホルンを眺めていると時を忘れてしまいそう。村の上手にあるエッケンEggenの集落を抜けてから折り返すように登ると、朝に見下ろしたライゼーの湖畔に出てきます。湖畔からひと登りすればスネッカの駅です。行程は長いようですが大半が傾斜の緩やかな広い道なので、休憩しながら一日かけて歩けばどなたでも楽しめるコースかと思います。(2005年9月) ブラウヘルト Blauherd 〜 ウンターロートホルン山頂 Unterrothorn 〜 トゥフテルン Tufteren 〜 スネッカ (約4時間半) 地図 ウンターロートホルンの山頂には上記ブラウヘルトからロープウェイが通じていますが、2018年の夏はこれが運休していたのでブラウヘルトから歩いて登りました。ロープウェイに沿った道もありますが急坂なので、東への緩やかな上り道を辿りましょう(下っているのはシュテリゼー方面への道なのでお間違えの無いように)。ウンターロートホルンの南斜面をトラバースして登るため、左手のヴァイスホルン方面はすぐ見えなくなりますが、右手にシュテリゼーを見下ろしつつ進むと前方にフィンデル氷河が近づいてきます。ウンターロートホルンの南東斜面でやや急な登りを乗り切れば、行く手にオーバーロートホルンが見えてきて、その左肩の鞍部フルキーFurggjiに達します。ここから西へ20分登ればウンターロートホルン山頂(写真)で、北側のヴァイスホルン方面から西のマッターホルン、南側のブライトホルンやモンテ・ローザ連峰、東にフィンデル氷河やオーバーロートホルンの左肩に覗くミシャベル山群など、360度の眺望を楽しめます。フルキーに戻ったら北側のトゥフテルクンメTufterchummeの谷を下ります。ここはエーデルワイスの花が見られる場所で、その他の草花も多いです。やがて谷底にツェルマット村の家並みが見えてきて、農家小屋群のあるトゥフテルンに到着します。ここのレストランで休憩後、樹林帯の平坦な道を南下するとスネッカ展望台で、地下ケーブルカーでツェルマット村へ戻れます。ロープウェイを利用してウンターロートホルン山頂を起点にすれば、登り道の無い行程2時間余りのお手軽ハイキングコースになります。ウンターロートホルン山頂からはブラウヘルトを経由してスネッカまでマウンテンカートで下るアトラクションも楽しめるようです。(2018年8月) ウンターロートホルン山頂 〜 オーバーロートホルン山頂 Oberrothorn 〜 フルーアルプ Fluhalp 〜 スネッカ (約4時間半) 地図 ⇒ ブログご参照 (2022年8月) トロッケナー・シュテーク Trockener Steg 〜 ガンデック小屋 Gandegghütte (往復約1時間) 地図 ロープウェイで行ける展望台としては欧州で最も高いクライン・マッターホルンKlein Matterhorn(標高3,883m)の帰りに手軽に立ち寄れる絶景スポットがガンデック小屋です。先ずはツェルマット村の南外れにある乗場からゴンドラリフトに乗り込んでテオドゥル氷河湖の近くにあるトロッケナー・シュテークへ。ここで大型ロープウェイに乗り換えれば下テオドゥル氷河を越えてクライン・マッターホルンに上れます。山頂展望台の東にはブライトホルンが迫り、その奥にリスカムやミシャベル山群、北側にはヴァイスホルンやマッターホルン等の峰々が並びますが、西のモン・ブラン方面や南側のイタリア・アルプスもお見逃しなく。「マッターホルン・グレイシャー・パラダイスMatterhorn Glacier Paradise」と名付けられているとおり、夏スキーが楽しめる雪原へ降りたり、氷河を刳り抜いて作られた大きな洞窟を巡ることもできます。トロッケナー・シュテークに戻ったら、ロープウェイ駅から南へ続く道を緩やかに登り、荒涼とした岩原に建つガンデック小屋(写真)へ。小屋のすぐ南側を下テオドゥル氷河が流れ下っていて、その下流方向にはモンテ・ローザ連峰も眺められます。テラス席で間近に聳えるブライトホルンを仰ぎ見ながら食事を楽しんだ後、来た道をトロッケナー・シュテークへ戻りましょう。(2018年8月) トロッケナー・シュテーク 〜 シュヴァルツゼー Schwarzsee (約2時間半) 地図 マッターホルンの東麓を流れ下る氷河の末端に沿って歩く「マッターホルン氷河トレイルMatterhorn Glacier Trail」と呼ばれるコースで、氷河が後退した跡に整備された比較的新しい遊歩道です。上記トロッケナー・シュテークのロープウェイ駅の西側へ廻り込み、眼前に広がるテオドゥル氷河湖Theodulgletscherseeの湖岸へ下ります。左回りに湖岸を半周し、湖の西側を川に沿ってひと登りすると、目の前に上テオドゥル氷河の末端が現れます。池やケルンが点在する荒地の平原(写真)を北西方向へ進み、マッターホルンを間近に仰ぐフルク湖Furggseeの畔へ。左手にフルク氷河の末端を見送ると徐々に道が東寄りに向きを変え、フルクバッハ川Furggbachを渡ってスキーリフト駅のあるヒルリHirliの肩まで登ります。ここからジグザグの下り道を辿れば、間もなくシュヴァルツゼーのゴンドラリフト駅が見えてきます。シュヴァルツ湖を見下ろしながら下り、山岳ホテルの前を通ってゴールインです。案内標識等には「所要2時間」と書かれているハイキングコースですが、ゆっくり歩くなら3時間近くみておく方が良いでしょう。全体的には起伏が少ない道ですが、最後にアップダウンがあるので体力を温存しておいてください。(2018年8月) シュヴァルツゼー 〜 フーリ Furi (約2時間半) 地図 ゴンドラリフトを上記シュヴァルツゼーで降りて湖畔へ。白い礼拝堂のある風景が絵になります。ここから北西方向の道を幾つかの小さな池を巡りつつ緩やかに下っていきます(写真)。次第にマッターホルンの北壁が姿を現し、シュタフェルアルプStafelalpの平原に出ます。この辺りで道は幾つかに分かれますが、右寄りの道を辿るとマーモットが沢山迎えてくれます。北壁に近い左寄りの道を辿り、ヘルンリ小屋への登山道を分ける地点で右折しても構いません。ベンチのある所から谷への道を下るとシュタフェルStafelのレストランがあり、後は谷の斜面の森に付けられた広い道をひたすら下ればフーリに到着します。ここからゴンドラリフトでツェルマットに戻れます。 我が家は当初シュタフェルの先で谷を渡りツムット村Zmutt経由でツェルマットまで歩く予定でしたが、シュタフェルアルプから谷へ下りる道を見落として広い平原をぐるっと一周してしまったため、精神的に疲れてしまってフーリ方面への道に変更した、というのが真相です。(1998年6月) シュヴァルツゼー 〜 ヘルンリ小屋 Hörnlihütte (往復約4時間) 地図 一般ハイカーでも気軽にマッターホルンの懐に近づける場所として人気のコースです。ツェルマットの村外れからのゴンドラリフトをフーリで乗り継ぎシュヴァルツ湖畔に降り立つと、正面にどーんとマッターホルンが迎えてくれます。マッターホルンの中腹には、既に目指すヘルンリ小屋がはっきり確認できます。先ずはシュヴァルツ湖畔に美しく映るオーバー・ガーベルホルン等の山々を楽しんでから、マッターホルンに向かって登り始めます。間もなくベンチの置かれた尾根に出て、ぐるっと見渡す山々の眺めが最高。もうひと登りするとスキーリフトの駅があるヒルリで、この広々とした場所を過ぎると岩山が迫り、岩壁に付けられた鉄柵の階段を登るなど、いよいよアルペン気分が高まってきます。左手にフルクグラート連山とそこから流れ下るフルク氷河を眺めつつジグザグに登っていくと、やがて稜線に出てマッターホルン北壁の眺めが一気に広がります。ここから暫くは平坦で眺めの良い快適な尾根道。シュタフェルアルプに下る道との分岐点を過ぎると、最後の急登が始まります。傾斜の急な場所には頑丈なロープが取り付けられていて安心ですが、北側の斜面は残雪がカチカチに凍っていたりするので、足を滑らせないよう要注意。道が尾根の南側に回り込むと、ヘルンリ小屋はすぐ上です。小屋の前のテラス(写真)は北風が遮られるので、山々を眺めながらの日光浴に最適(夏のシーズン中には食事もできます)。小屋の裏手からもう少し登ると、小屋を見下ろせる岩場の上に出て、北西側から順にダン・ブランシュ、オーバー・ガーベルホルン、ミシャベル山群、フィンデル氷河、モンテ・ローザ、ブライトホルン等の山々を一望できます。その先は黒いマリア像が設置された巨大な岩壁に突き当たり、素人ハイカーが到達できるのはここまで。慎重に来た道を下山しましょう。特別な登山技術を要求される道ではありませんが、ヘルンリ小屋の標高は3,260mと高いので、天候の安定した風の弱い日を選んでお出掛けください。(2005年9月) シュヴァルツゼー 〜 シェーンビール小屋 Schönbielhütte 〜 ツェルマット (約7時間) 地図 シュヴァルツ湖畔から、上記のフーリへのハイキングと同じ道を辿ってシュタフェルアルプ方面へ下ります。マッターホルン北壁側の広い道を直進すると、広大なツムット谷の底に発電所の建物が見えてきます。道なりに谷底へ下り、発電所と貯水池の脇を通って谷の北側に連なるモレーンの背に登ります。モレーンの頂からはツムット氷河の末端(小さな氷河湖になっています)を一望できます。モレーンの上に付けられた道を谷奥に向かって緩やかに登っていくと、行く手の岩山の上に目指すシェーンビール小屋(写真)が見えてきます。最後にジグザグの道を登れば小屋に到着です。シュヴァルツ湖畔との標高差は100m余りですが、いったん谷底に下りているので500mほど登ってきたことになります。小屋付近からはツムット氷河の全容が見渡せるほか、ヴァントフルーホルンやシュトッキー氷河の末端も眺められましたが、我が家が歩いた日は雪が舞うあいにくの天候で、マッターホルンの北壁やダン・デランは雪雲の中に霞んでいました。 小屋で温かい飲み物を摂って休憩したら、来た道を辿って下山します。途中からはモレーンの北側を流れる小川沿いの道を選びましょう。ツムット氷河は見えなくなりますが、道端に草花が多くて楽しく歩けます。その先で滝の脇を下り、北側斜面の道を下っていくと、カルバーマッテンKalbermattenのレストランやツムットバッハのダム湖を経由してツムットZmuttの村に到着します。ここは小さな集落ですがレストランが何軒もあります。この先は郊外の遊歩道という雰囲気になり、牧草地や林を抜けて右手にフーリへのゴンドラリフトを眺めながら下り、ツェルマット村に戻ります。行程は長いですが大半は傾斜の緩やかな広い道で、距離の割には足への負担を感じずに歩けるコースです。(2005年9月) ツェルマット 〜 フーリ 周回 (約3時間半) 地図 ツェルマットの上手に点在する集落を訪ね歩くコースです。街中を流れるマッターフィスパ川左岸の道を遡り、十字架のある分岐点で左に折れて川沿いに下ります。「ゴルナーシュルフトGornerschlucht」の案内板を確認して森の中を登っていくと管理小屋があるので、ここで入場料を支払ってゴルナー峡谷の岩壁に付けられた木製の道を進みます。迫力ある渓谷の眺めを楽しんだら、その先の森の中の道を辿り、橋を渡ってブラッテンBlattenの集落を訪ねましょう。白い礼拝堂(写真)の前からはフーリに向かうゴンドラリフトが眺められます。村の上手にはキャンディメーカー提供のハーブガーデンもあります。そこから一登りすると人気レストランのあるツム・ゼーZum Seeの集落。更に階段状の道を登るとフーリです。橋を渡って舗装道路を東に進むと牧草地が広がり、その先の岩場からはツェルマットの街を一望できます。ここから森の中を下る道となり、モースMoosのレストランを過ぎて更に下っていくとツェルマット郊外のヴィンケルマッテンWinkelmatten地区に出てきます。フィンデルバッハの滝を右手に眺めながら住宅街を下り、ツェルマットに戻ります。集落毎に素敵なレストランや礼拝堂があるので休憩しながら散策を楽しめますし、疲れたらフーリからゴンドラリフトで戻ったり、ヴィンケルマッテンから村内循環の電気バスを利用することもできます。(2005年9月) フーリ 〜 氷河庭園 Gletschergarten 〜 ツェルマット (約2時間) 地図 フーリのゴンドラリフト駅から出発して集落を西へ抜けます。牧草地の斜面の分岐を左折して南へトラバースし、ゴンドラリフトのケーブルを潜って樹林帯を過ぎると、ゴルネラ川Gorneraの深い峡谷に架かる吊り橋(写真)が現れます。眺望を楽しみながらこれを渡った先に小さな公園があり、更に進むと「氷河庭園」の入口に着きます。遊歩道を登れば、かつてゴルナー氷河がここを覆っていた昔に浸食されてできた岩の造形を見学でき、ツェルマット村方面も眺められます。「氷河庭園」からゴルネラ川沿いに下るとシュヴァイクマッテンSchweigmattenの牧草地に出て、左手の橋を渡ればフーリに戻れますが、我が家は北へ直進してレストラン「アルムAlm」で食事を楽しみました。ここから林道を下れば上記のモース方面へ至りますが、途中の分岐を左折するとゴルネラ川沿いの遊歩道を経て、左岸へ渡れば上記の「ゴルナーシュルフト(ゴルナー峡谷)」を通れます。そのまま左岸沿いに下り、アスレチック公園「ファン・パークFun Park」の前を通ってツェルマット村に戻ってきます。(2018年8月) ツェルマット 〜 トリフト小屋 Trifthütte 〜 ヘーバルメン Höhbalmen 周回 (約5時間半) 地図 ツェルマットの駅前通りBahnhofstrasseを奥へ歩き、豪華ホテル「モン・セルヴァン」の少し先にあるパブ「グランピーズGrampi's」の角を右折して登り始めます。見晴らしの良い別荘群をすぐに抜けて、白い十字架の立つ牧草地に入ります。左手からトリフト川Triftbachの流れが近づいてきて、橋でこれを渡ると、樹林帯の中をジグザグに登る道となります。間もなく眺めの良いエーデルワイス小屋Berggasthaus Edelweissに到着。この先は暫く緩やかな道ですが、その後再び急流の脇をジグザグに登ることになります。急流の上で谷の左岸に道が移ると森林限界を超え、草花の多い道を楽しく進んでいきます。行く手にオーバーガーベルホルンの尖った山頂が見えてくると、目指すトリフト小屋(写真)はもうすぐ。我が家が登った日はガスが多くてよく見えませんでしたが、小屋からはガーベルホルン氷河とトリフト氷河の流れ下る姿を間近に眺められる筈。小屋のテラスで休憩したら、周囲に広がるアルプの中を南へ歩き、草原の斜面を緩やかに登っていきましょう。トリフト小屋から300m程の標高差を稼ぐと、台地状に広がるヘーバルメンのアルプに出ます。天気の良い初夏には花畑と山々の眺めが素晴らしいだろうと思わせる場所です。標識のある分岐点からは西方のシェーンビール小屋を目指すハイカーが多いですが、我が家は東への下山ルートを辿りました。この道は直進するとエーデルワイス小屋に戻りますが、途中の分岐で羊の群れに見送られながら折り返すように下ると、農家小屋が点在するフーベルHubelに出ます。更に下っていくとヘルブリックHerbriggの農家小屋群を経て、ツェルマット村(教会の奥辺り)に戻ってきます。全体的に歩きやすい道ですが、約1,000mの標高差を上り下りすることになりますので、足回りをしっかり準備してお出掛けください。(2005年9月) テッシュアルプ Täschalp 〜 オーバー・ザットラ Ober Sattla 〜 トゥフテルン 〜 フィンデルン Findeln 〜 ツェルマット (約6時間) 地図 テッシュアルプは、ツェルマットから電車で1駅北にあるテッシュTäschの村から、東に伸びるテッシュバッハの谷を遡った先に広がる山間の草地です。公共交通の便はありませんが、夏のシーズン中はテッシュの観光案内所が乗合いタクシーの定期運行サービスを実施していて(2005年には1日3便・一人当り片道10フラン・事前予約不要でした)、気軽に利用できます。タクシーは10分余りでテッシュアルプの中心地オッタヴァンOttavanに到着します。ここからは山腹を巻く「オイローパヴェークEuropaweg」コースを辿って南(ツェルマット方面)か北(ランダ方面)に向かうハイカーが多く、また谷奥のテッシュ小屋を目指すルートもありますが、我が家は南東側に聳えるザットラの頂を越えてツェルマットを目指すことにしました。草地の斜面を羊の群を掻き分けつつ(笑)登っていくと、オッタヴァンの集落がみるみる眼下に遠ざかり(写真)、その上に聳えるテッシュホルンとアルプフーベルの雄姿が迫ってきます。谷の奥には氷河をべっとり纏ったリンプフィッシュホルンも。1時間半ほど掛けて約470mの標高差を登り切ると、オーバー・ザットラの頂(標高2,686m)です。ここでそれまで隠れていたマッターホルンと再会し、今度はマッター谷を見下ろしながら反対側の斜面を斜めに下っていきます。少しガレた谷を越え、やがて傾斜が緩やかになると、間もなくオイローパヴェークに合流します。この先は道幅も広がって平坦になり、眼下にツェルマットの街を見下ろしながら快適に歩いていけます。オーバー・ザットラから約2時間でトゥフテルンの集落に到着。ここにはマッターホルンを正面に眺められるテラス・レストランがあるので、一息入れていきましょう。この先は直接ツェルマットに下る道もありますが、右手にトリフト氷河を眺めながら山腹の道を直進すると、30分余りでスネッカに達します(テッシュアルプからオイローパヴェークを辿ってスネッカまで歩き、ケーブルカーで下りれば万人向けの手軽な散策コースになるでしょう)。我が家はそこから更にフィンデルン村を経由し、フィンデルバッハの谷を眺めながら森の中の道を辿ってゴルナーグラート鉄道の線路を渡り、ツェルマットの村まで歩いて下山しました。(2005年9月) ランダ Randa 〜 チャールズ・クオーネン吊橋 Charles Kuonen Hängebrücke 〜 オイローパ小屋 Europahütte 周回 (約5時間) 地図 上記「オイローパヴェーク」のコース上に歩行者用としては世界最長の吊り橋が2017年に設置されました。ツェルマットやテッシュアルプから歩くとロングコースになるので、ツェルマットから電車で2駅目のランダ駅を起点にして周回するハイキングが人気です。ランダ駅から村の中を北へ登り、教会の前を通ってランダ村の北外れから東の樹林帯に入ります。案内標識に従って南寄りに登って行くと、「クロイツKreuz」と書かれた少し開けた場所に出て、谷越しにビス氷河やホーリヒト氷河が眺められます。更に登ると分岐で折り返すように北へ進み、次の分岐を過ぎて間もなくハウシュピールHauspil(Höüschbiel)という草地を経て、チャールズ・クオーネン吊橋に至ります。吊橋の上(写真)からはヴァイスホルン方面の眺望が良く、北側へ渡り切ると草原の斜面が広がっているので、景色を眺めながら休憩するのに最適です。吊橋の北側からランダ村への下り道を辿るハイカーが多いですが、草原の斜面を登ると、ドーム小屋への登山道を右に分けた先にオイローパ小屋があり、テラス席で眺望を楽しみつつ食事休憩ができます。オイローパ小屋から少し北へ進めば、ミースボーデンMiesbodenという尾根上の展望所に至り、西側のヴァイスホルンやツィナールロートホルンに加えて、東にホーベルク氷河の末端も眺められます。ここから更に北へトラバースし、ホーベルク氷河直下の吊橋の手前から下り道に入ります。ビルヒバッハ川Birchbachの急流に沿った道ですが、リンドウやコゴメグサ等の草花を愛で、小さな滝を眺めつつ下って行くと、キューボドメンChüebodmenという牧草地が現れ、その先は傾斜が緩やかになります。右手にマッター谷や山崩れ跡を見下ろしながら進み、ドルフベッヒー川Dorfbächjiを渡ってランダ村へ戻ってきます。(2018年8月) ※ 各コースの標題末尾の括弧内は、歩行に要した時間です(施設の見学や休憩等に費やした時間を含んでいません)。 |